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主に映画の感想文を書いています

映画「シン・ウルトラマン(2022)」感想|詳しくなくても大丈夫、シュールが好きなら大丈夫。

メフィラスかっこいい(ゆめかわいいくらいのニュアンス)と噂の『シン・ウルトラマン』観てきました。わたしのウルトラリテラシーはそう高くなくて、かつて父が観ていたセブンを一緒に見たような気がする幼少期の記憶だったりとか、初代マンからレオあたり…

映画「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022)」感想|とりあえず楽しかったからヨシ!

MCU28作目『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』観ました。お決まり的に書いておくと、ネタバレありです多分。さて、一応わたしとMCUの仲についてですが、とりあえず映画は全作履修済(ただし観た端から順に忘れる)。ドラマは『ワンダ…

映画「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ(2020)」感想|この話は“きれいごと”じゃない

シネマ・チュプキ・タバタのウクライナ難民支援上映で、ドキュメンタリー映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』を観ました。2010年から2015年までウルグアイの大統領を務めたホセ・ムヒカ。在任中も公邸ではなく農場の自宅に住み、給料の9…

映画「カモン カモン(2021)」感想|これに心動かされない自分、なんか落ち込むかもとか思いつつ。

渋谷のWHITE CINE QUINTOにて映画『カモン カモン』を観ました。ひょんなことから幼い甥っ子の面倒をみることになってしまったおじさんホアキン・フェニックスのお話。すごく評価の高い作品ですし間違いないやつでしょうと安心しきって観たのですけども、お…

映画「オードリー・ヘプバーン(2020)」感想|慈善活動に尽力した晩年までしっかりと見せてくれるドキュメンタリー

本作、ポスタービジュアルだけ見るとオードリーの輝かしい女優キャリアにスポットを当てた作品とも見えるのですが、その実は「人間オードリー・ヘプバーン」のドキュメンタリーとなっていて、彼女の生い立ち、私生活、晩年尽力した慈善活動まで、広く知るこ…

映画「猫は逃げた(2022)」感想|城定秀夫×今泉力哉コンビによる、不貞な男女と猫の群像物語。

『愛なのに』を観たのはもう2ヶ月も前で、この『猫は逃げた』もその後すぐ公開されていたのになんか時間が合わず新宿武蔵野館を何度素通りしたことか……。kikiさんの最終上映でやっと滑り込めました。 どんなお話かというと、ざっくり「倦怠夫婦もの」でしょ…

2022年4月に観た映画を振り返る〈感想記事の一覧〉

2022年4月に観た映画やいろんなこと(今月はかなり、いろんなこと)を振り返ります。 一応、25本。実際には多分30本くらい。もっとかも。今月は本当になんというか、雑多、ごった? 散らかってんな!という感じになってしまいました。そして意外と新作が少な…

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想③|「梅切らぬバカ」他、いつぞやのチュプキ編

3週間前くらいのチュプキ鑑賞メモを超絶遅延で書きます(下書きに眠らせすぎました)。『梅切らぬバカ』『普通に死ぬ 〜いのちの自立〜』『人生フルーツ』の3本です。「梅切らぬバカ(2021)」自閉症の息子と、自身も老いてきたなか二人暮らしで介護の日々を…

映画「無法松の一生(1943)」感想|二度の検閲で切り刻まれても伝わってくる松五郎の想い

稲垣浩監督による1943年の阪東妻三郎版『無法松の一生』、だいぶ前にBSプレミアムで録っていた4Kデジタル修復版を観ました。今村昌平監督の『黒い雨(1989)』を先日観た際に、新藤兼人監督の『さくら隊散る(1988)』を連想しました。『さくら隊散る』は広…

映画「黒い雨(1989)」をシネマ・チュプキのウクライナ難民支援上映で観た

今村昌平監督作品『黒い雨』を、シネマ・チュプキ・タバタのウクライナ難民支援上映で観ました。この支援上映については『ピアノ -ウクライナの尊厳を守る闘い-(2015)』の感想記事などでも触れましたが、そもそもの発端は、今村昌平監督のご子息・今村広…

まっぷるトラベルガイドさんに記事を書かせていただきました

こんな告知をする日が来るとは。「まっぷるトラベルガイド」さんにて、どういうわけか映画の記事を書かせていただきました。 「泣ける映画50選」という地獄の50本ノックみたいなお題に当初は遠い目をしていたのですが、1作品150字でまとめたものをストックし…

映画「ZAPPA(2020)」感想|フランク・ザッパへの勝手な誤解がとけていくドキュメンタリー

フランク・ザッパのドキュメンタリー映画『ZAPPA』を観てきました。じつを言うとわたしはザッパを聴いたことがなかったのですが、ザッパ門下生であるスティーヴ・ヴァイにはかつて傾倒しておりまして、名前としての親しみだけならそこそこ強く持っていました…

アトロクのスタジオへ行ってしまった話 〜TBS潜入の記録〜

前回の記事にて、映画『ピアノ-ウクライナの尊厳を守る闘い-(2015)』に関連して、ウクライナ難民支援上映のことでシネマ・チュプキ・タバタ代表・平塚千穂子さんがアトロクに出ますよ〜なんてお知らせを他人事のようにしていたのですが、すみません、じ…

映画「ピアノ —ウクライナの尊厳を守る闘い—(2015)」をアジアンドキュメンタリーズのウクライナ緊急支援企画で観た

「アジアンドキュメンタリーズ」で現在実施されている「ウクライナ緊急支援企画 視聴料寄付プロジェクト」。その看板的作品である『ピアノ ―ウクライナの尊厳を守る闘い―』を遅ればせながら観ました。月額視聴でも単品購入でも495円が寄付されます。2014年2…

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想②|「ペトルーニャに祝福を」「ものすごくうるさくて〜」ほか

前回に引き続き、溜めてた感想を一気に供養していく回です。 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011)』 『THE END(2011)』 『ペトルーニャに祝福を(2019)』 タイトルだけ見るとデスメタルみたいな顔面の映画を想像してしまうのですが、じつ…

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想①|「聲の形」「建築学概論」「ストーリー・オブ・ラブ」ほか

前回の投稿から10日も開いてしまいました。生きてます。 その間も映画自体は15本くらい観ていたのですが、節操がなさすぎてもはや何も書けませんでした。そんなわけで「まとめて雑感」スタイルにて一旦リセットしようと思います。まずは5本、なんとなくラン…

映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」続編と併せた感想|筋が通った家庭内ドキュメンタリー

本作でカメラが捉えるのは、アルツハイマー型認知症を患った87歳の「母」と、そんな母を老老介護する事になった95歳の「父」。そしてカメラの手前にいるのは、両親の姿を記録することにした「ひとり娘=信友監督」。認知症という繊細な対象をドキュメンタリ…

映画「屋根の上に吹く風は」「夢みる小学校」感想|新たな学びのかたちを考えさせられるドキュメンタリー2本

シネマ・チュプキにて、学校教育もの2本立て『屋根の上に吹く風は』『夢みる小学校』を観ました。ともに2021年製作の2本、一見すると非常に似た作品です。どちらもとにかく既存の枠にとらわれない自由なかたちの教育をしている学校であることは同じ。ただ、…

杉田協士監督作品「ひとつの歌」「ひかりの歌」感想|監督の作家性が、わかったりわからなかったり。

『春原さんのうた』杉田協士監督の過去作『ひとつの歌』と『ひかりの歌』を、いずれもポレポレ東中野の特集上映にて観ました。ポレポレさんに行くのはじつは今回が初めて。中央線沿いのこのあたりって妙な精神的距離があって一歩踏み出せずにいたのですがよ…

聖蹟桜ヶ丘・キノコヤさんほか「春原さんのうた」ロケ地探訪

最近どうも自分のなかで特別な存在になっている映画『春原さんのうた』。たった一首の短歌を原作とした、杉田協士監督の作品です。その劇中で主要な舞台となっているのが、とっても雰囲気のいいカフェ「キノコヤ」。こんなカフェあったらいいなあと思ってい…

映画「やがて海へと届く(2022)」感想|岸井ゆきの×浜辺美波に釣られ、何も知らずに観てみたら。

彩瀬まるさんの同名小説が原作となっていることはエンドロールまで知らず、鑑賞動機は単純(っていうか不純)に「岸井ゆきの×浜辺美波」だなんてそんなの観ないわけがないでしょ!というもの。しかもなんか、百合みあるし。観るでしょ。 そんなわけで全く予…

2022年3月に観た映画を振り返る〈感想記事の一覧〉

24本。うち19本を映画館で観ています。ぎょ、そんなに行ったのか。ただ今回はBunkamuraル・シネマの濱口竜介監督特集上映で丸2日こもる(一気に7本鑑賞)、みたいなこともやっているのでイコール足を運んだ回数ではないんですけども。しかしこの調子だと今年…

映画「ひまわり(1970)」感想|ウクライナで撮影された、図らずも再び厭戦を伝える名作。

風にそよぐ一面のひまわり畑から始まりそして終わるこの映画、2020年には公開50周年を記念したHDレストア版が公開されています。しかし今再び注目を集めているそうで、その理由は、この印象的な「ひまわり畑」がウクライナで撮影されているということ。ひま…

映画「ベルファスト(2021)」感想|ポップで温かい、血が通った“最新型”の白黒映画。

先日のアカデミー賞(では7部門ノミネート、うち脚本賞を監督のケネス・ブラナーが受賞した映画『ベルファスト』を観てきました。なんか地味な白黒映画っぽいなーといまひとつ食指が動かなかったのですが、いざ観てみたらすっごいよかったです。はい、まあ大…

映画「春原さんのうた(2021)」感想|たった一首の短歌が原作! 風通しのいい映画

シネマ・チュプキにて『春原さんのうた』を観てきました。この映画、たった一首の「短歌」が原作になっています。エンドロールで「原作短歌」とクレジットされるまで知らなくてびっくりしたのですけど、でもなるほど短歌という31文字の宇宙を広げた映画と言…

映画「14歳の栞(2021)」感想|とある中学校の「2年6組」35人全員に密着したドキュメンタリー

「とある中学校の3学期、『2年6組』35人全員に密着」という公式の謳い文句だけで、とてつもないドキュメンタリーであることが伝わると思います。この時代にそんなことが可能なのか?? 実際問題、可能にしてしまったのですからすごいです。なお本作、その性…

濱口竜介監督作品「親密さ(2012)」と中編3本の感想|“言葉と乗り物”にますます浸る

先週に引き続き、Bunkamuraル・シネマの企画上映「濱口竜介監督特集上映《言葉と乗り物》+『寝ても覚めても』特別上映」に昼から籠ってきました。今回観たのは『親密さ』『永遠に君を愛す』『不気味なものの肌に触れる』『天国はまだ遠い』の4本です。日本…

映画「ナイトメア・アリー(2021)」感想|好きな監督×好きな俳優=好きとは限らない

観たい新作映画が大渋滞を起こすなか、ギレルモ・デル・トロ監督の最新作『ナイトメア・アリー』を観てきました。ルーニー・マーラとケイト・ブランシェットの『キャロル』コンビがデルトロ映画に出演!という超ビッグニュースに湧き立って以来楽しみにして…

「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜(2011)」感想|完全に大人向けのアニメと言っていい

先日『のび太の宇宙小戦争 2021』で四半世紀ぶりにドラ映画を観たことによりわたしのドラ好きがほのかに再燃してきたため(あと「わさびドラ」の食わず嫌いをあっさり克服したため)、おすすめしてもらった『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団』を観まし…

映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」「香川1区」感想|このタイトルで、じつは家族の物語。

大島新監督の連作ドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』を観てきました。これが、まいった。勝手に想像していた「政治ドキュメンタリー」とは全然違って、まずとにかく「面白い」し、どういうわけかめちゃくちゃ「泣ける」し、なん…