観たい新作映画が大渋滞を起こすなか、ギレルモ・デル・トロ監督の最新作『ナイトメア・アリー』を観てきました。
ルーニー・マーラとケイト・ブランシェットの『キャロル(2015)』コンビがデルトロ映画に出演!という超ビッグニュースに小躍りして以来楽しみにしていた作品です。
ケイト様とルーニー・マーラでデルトロ?????? そんなん年間ベスト確定じゃん??????
— 353 (@threefivethree) February 1, 2020
2年前か、結構経つんですね。デルトロ監督に関してはもう少し遡って2018年、やはり今の時期に観た『シェイプ・オブ・ウォーター(2017)』がこの上なく刺さりまして(アカデミー賞で『スリー・ビルボード』と競ってた頃ですね、懐かしい)、所謂オールタイムベスト的なものを選ぶとしたら入るんじゃないかなって程度には思い入れのある作品です。
当時3つも書いた記事を読み返してみると、この頃からわたしは「手話」の出てくる映画が好きなんだなとか、初見時から『キャロル』を連想していて驚いたりとか、いろいろおもしろい気付きも。
さておき、そんなわけで好きな監督×好きな俳優のマリアージュに期待しかなかった作品『ナイトメア・アリー』。結論から申し上げるとあんま好きじゃなかったです。我ながら意外だ。
要素要素はすごくいいんですよ。見世物小屋の悪趣味な感じはめっちゃデルトロだし、ルーニー・マーラはかわいい。世界へ飛び出してからの超ハイソな生活(何あのいい音するグラス)やレット・バトラーみたいな色気ムンムンのブラッドリー・クーパーは痺れるし、ルーニー・マーラはきれい。雨じゃなく雪が降りしきる白銀ノワール世界とケイト・ブランシェット、あなうつくしや。
ただなんていうか、身も蓋もないんですけど、人生の150分を割いてまで観たい映画じゃなかったなというか。富と名声を築いた男の失墜劇、あんま興味ないなっていうか。まあ単純にルーニー・マーラを粗末に扱う男は地獄に堕ちるべきだし、一方ケイト様のラストなんかはいまひとつカタルシスを生んでいない気がしたし、滅すべき男の顔面どアップで終わるのもいまどきちょっとね、みたいな(滅すべき男には尺を割かないのがトレンドだぜ)。究極に理不尽なこと言うと、わたし『アリー/スター誕生(2018)』も好きになれなかったからブラッドリー・クーパーと「アリー」にご縁がないのかも。
もっかい「よかったほう」に話を戻すと、俳優陣はみなさま素晴らしかったです。ナイトメア・アリ・アスター『ヘレディタリー/継承(2018)』のトラウマ顔トニ・コレット、最新フィルモグラフィーがネタバレになるウィレム・デフォー、悲哀漂う大富豪リチャード・ジェンキンス、短い出番ながら物語を感じさせる側近ホルト・ハッキャラニー(『マインドハンター』s3ないのかな)、青天の霹靂メアリー・スティーンバージェン(BTTF3のクララか!)、ほか多数。
そして、真っ赤なコートがとにかく似合うルーニー・マーラ様。いちいち高価そうな布を纏うケイト・ブランシェット様。このお二人は期待通りかそれ以上! シンプルに、お話が好みじゃなかったってだけですね。
(2022年50本目/劇場鑑賞)
1946年に出版されたノワール小説が原作とのことです。