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「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜(2011)」感想|完全に大人向けのアニメと言っていい

先日『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021(2022)』で四半世紀ぶりにドラ映画を観たことによりわたしのドラ好きがほのかに再燃してきたため(あと「わさびドラ」の食わず嫌いをあっさり克服したため)、おすすめしてもらった『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団を観ました。1986年公開『ドラえもん のび太と鉄人兵団』のリメイクです。


「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」ポスター
「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜」ポスター


いやはや、『宇宙小戦争2021』もかなり良かったけれどこちらも傑作でした。そうだリルル好きだったわ〜〜とか次々に記憶の扉が開いていきました。ただ例によって、物語の細部を全然覚えていなかった! 『宇宙小戦争』も軍事政権の独裁国家を描いた骨太な作品でしたが、本作は本作でまた「地球人の総奴隷化」を目的とした侵略作戦だなんて、そんなハードコアな内容だったんですね……。最終的な解決策が歴史改変なのも皮肉です。業が深すぎてどうしようもないんだ。

そして内容もさることながらアニメーション作品としてのクオリティが非常に高く、デジタル作画とは思えない重量感(ロボットアニメなのでこれ大事。ぬるっとしていないことが好ましい)、筆圧を感じさせる素朴な線、漫画表現のような中割り、背景とのマッチング等々、これ今観ても最高峰なのではと思いました。物語の深みと映像面での素晴らしさ、両方が合わさり、完全に「大人向け」と言って差し支えない映画になっておりました。

リメイクに伴う改変部分で最も大きいのは、ザンダクロス(ジュド)の頭脳が「ピッポ」という可愛いキャラクターに姿を変えるところ。これもわたし気付かなくて。どんだけ覚えてないのよって話ですけど、あれ〜こんな可愛いことになるんだっけか〜と違和感こそ覚えはしたものの最後まで自分の記憶違いだろうと思い込んでましたね。Wikipediaによれば「頭脳を改造して思考を改変する」というのが原作の展開だったらしく、なるほどそんなロボトミー手術みたいなこと今の倫理観にはそぐわないか。納得。

あと、ミクロスの登場シーンが大幅に減っているとか。あ〜言われてみれば! 「言われてみれば」なあたりの不憫さがじつにミクロスっぽいです。めっちゃ怒りそう。ごめん。そういえばわたし、マクロスより先にミクロスと出会ってるんですよね。もじりだと知ったのはずっと後のこと。

はじめにも書きましたが『鉄人兵団』はリルルが好きで。正確には、リルルとしずかちゃんのエピソードがすごく好きで。身体を綺麗にしてあげるところの藤子Fエロスが子供心に刺激的だったという刷り込みもあるし(今作もそこはやたら丁寧に踏襲されていた)、飴ペロッとか消え際の台詞も好きだし、何より物理攻撃を受けてもなおリルルを見放さないしずかちゃんの姿がかっこいいんです。『宇宙小戦争』のしずかスネ夫コンビしかり、大長編における別働隊の動きってのが好きですね。

そんな感じでざっくりと『新・鉄人兵団』の感想でございました。

(2022年47本目/PrimeVideo)

新旧取り揃えてございます。