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主に映画の感想文を書いています

2010年代の作品

「この空の花 長岡花火物語」バリアフリー版、大林千茱萸さんの全面監修にて上映します(7/14〜@シネマ・チュプキ・タバタ)

2020年、大林宣彦監督の訃報をきっかけにわたしが大林映画および大林監督にまさしく心酔してしまったことは、本ブログを読んでくださっていた方であれば嫌というほどご存知かと思います。 一気見した関連作品は50本超、本も読み漁り、得られる情報は得られる…

大林千茱萸監督作品「100年ごはん」上映会へ行ってきたはなし。

2024年6月28日、雨。梅雨生まれの誕生日にふさわしい雲模様の中、溝の口のおしゃれなライブハウスで、とある映画の上映会に参加しました。その映画とは、大林千茱萸監督の『100年ごはん』。 大林千茱萸(ちぐみ)さんは大林宣彦監督のご息女。2013年に一本だけ…

アトロク「オリジナル音声ガイド制作プロジェクトby日比麻音子アナ」の経緯を振り返る

アトロクことTBSラジオ「アフター6ジャンクション」にて、シネマ・チュプキ・タバタとの合同企画「オリジナル音声ガイド制作プロジェクト」完結編が放送されました。矢野ほなみ監督の短編アニメーション作品『骨噛み(2021)』に、TBS日比麻音子アナウンサー…

ノンフィクション映画6選の記事を書きましたっていうのと、9/28(水)のアトロクは必聴!ばなし。

まとめすぎたタイトルです。さて、毎月書かせていただいている「まっぷるトラベルガイド」さんでの映画紹介。9月はまず「ノンフィクション映画のおすすめ6選」という記事が公開されました。 おすすめのノンフィクション映画6選!必見の実話にもとづくおすす…

映画感想「百年と希望」「ゆめパのじかん」「さとにきたらええやん」|チュプキ9月前半鑑賞メモ

2週間も開いてしまいました。生きてはいます、353です。さらに言うと映画自体は前回の投稿から20本くらい観ています、353です。というわけで、まずは2週間前に観たやつ、2022年9月前半の[シネマ・チュプキ・タバタ](https://chupki.jpn.org/)鑑賞メモです。…

チュプキで観た「プロメア」と「劇場版SAO オーディナル・スケール」と、ダメ押しでクラファンの話。

シネマ・チュプキにて、滑り込みで『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』と『プロメア』を観てきました。ひとつひとつじっくり書けるくらい両方とも良かったのですけど、スピード感重視の(しかし文字は無駄に多い)2本立て感想で今…

ソードアート・オンラインはじめました&「劇場版SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア」感想

時は2022年。高性能VRによる完全没入型オンラインゲームの中、「現実世界の生死」をかけたデスゲームが発動してしまう——というお話。最近『イカゲーム』でも思いましたが、デスゲームってフィクション性が高いのにひどく入り込めてしまう不思議なコンテンツ…

まっぷるさんで新海誠作品7本の紹介記事を書きました

「まっぷるトラベルガイド」さんにて、新海誠監督の劇場用作品全7本について記事を書かせていただきました。それぞれ簡単な作品紹介と聖地ガイドになっています。新海誠監督につきまして良く言えば「フラットな視線を持つ」、悪く言えば「熱心なファンじゃな…

映画感想「ハンナ・アーレント」「キャスティング・ディレクター」|チュプキ7月後半鑑賞メモ

時間がないぜシリーズその2、こちらは2022年7月後半のシネマ・チュプキ鑑賞メモ。『ハンナ・アーレント(2012)』と『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性(2012)』を観ました。1本目『ハンナ・アーレント』。先月から続いていた「あ…

まっぷるさんで細田守監督作品6本の紹介記事を書きました

「まっぷるトラベルガイド」さんにて、今週&来週の金曜ロードショー『時をかける少女』『竜とそばかすの姫』放送に合わせた記事を書かせていただきました。全6作の作品紹介と簡単な聖地紹介です。いや待って『竜とそばかすの姫』わたし結構けちょんけちょん…

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想③|「梅切らぬバカ」他、いつぞやのチュプキ編

3週間前くらいのチュプキ鑑賞メモを超絶遅延で書きます(下書きに眠らせすぎました)。『梅切らぬバカ』『普通に死ぬ 〜いのちの自立〜』『人生フルーツ』の3本です。「梅切らぬバカ(2021)」自閉症の息子と、自身も老いてきたなか二人暮らしで介護の日々を…

映画「ピアノ —ウクライナの尊厳を守る闘い—(2015)」をアジアンドキュメンタリーズのウクライナ緊急支援企画で観た

「アジアンドキュメンタリーズ」で現在実施されている「ウクライナ緊急支援企画 視聴料寄付プロジェクト」。その看板的作品である『ピアノ ―ウクライナの尊厳を守る闘い―』を遅ればせながら観ました。月額視聴でも単品購入でも495円が寄付されます。2014年2…

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想②|「ペトルーニャに祝福を」「ものすごくうるさくて〜」ほか

前回に引き続き、溜めてた感想を一気に供養していく回です。 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011)』 『THE END(2011)』 『ペトルーニャに祝福を(2019)』 タイトルだけ見るとデスメタルみたいな顔面の映画を想像してしまうのですが、じつ…

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想①|「聲の形」「建築学概論」「ストーリー・オブ・ラブ」ほか

前回の投稿から10日も開いてしまいました。生きてます。 その間も映画自体は15本くらい観ていたのですが、節操がなさすぎてもはや何も書けませんでした。そんなわけで「まとめて雑感」スタイルにて一旦リセットしようと思います。まずは5本、なんとなくラン…

杉田協士監督作品「ひとつの歌」「ひかりの歌」感想|監督の作家性が、わかったりわからなかったり。

『春原さんのうた』杉田協士監督の過去作『ひとつの歌』と『ひかりの歌』を、いずれもポレポレ東中野の特集上映にて観ました。ポレポレさんに行くのはじつは今回が初めて。中央線沿いのこのあたりって妙な精神的距離があって一歩踏み出せずにいたのですがよ…

濱口竜介監督作品「親密さ(2012)」と中編3本の感想|“言葉と乗り物”にますます浸る

先週に引き続き、Bunkamuraル・シネマの企画上映「濱口竜介監督特集上映《言葉と乗り物》+『寝ても覚めても』特別上映」に昼から籠ってきました。今回観たのは『親密さ』『永遠に君を愛す』『不気味なものの肌に触れる』『天国はまだ遠い』の4本です。日本…

「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜(2011)」感想|完全に大人向けのアニメと言っていい

先日『のび太の宇宙小戦争 2021』で四半世紀ぶりにドラ映画を観たことによりわたしのドラ好きがほのかに再燃してきたため(あと「わさびドラ」の食わず嫌いをあっさり克服したため)、おすすめしてもらった『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団』を観まし…

濱口竜介監督作品「ハッピーアワー」「PASSION」「何食わぬ顔」感想|渦巻く本音の会話劇たち

日本映画初となるアカデミー賞作品賞ノミネートにより近作『ドライブ・マイ・カー』が世界的に注目を集めている濱口竜介監督。その初期作品『PASSION』『何食わぬ顔』と、317分尺のミニマムな超大作『ハッピーアワー』の感想について、鑑賞順に書いていきま…

サム・ライミ版「スパイダーマン」全3作と「アメイジング・スパイダーマン」全2作の一気見感想

MCU最新作のスパイダーマンなんちゃらかんちゃらを楽しむため、過去の『スパイダーマン』シリーズをスピード履修中。サム・ライミ版の3本と、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ2本の計5本を3日で一気見したので、ざっくばらんに鑑賞メモです。 なお…

映画「くじらびと」「大海原のソングライン」「地球交響曲 ガイアシンフォニー 第九番」|シネマ・チュプキ12月後半プログラムまとめて感想

東京・田端のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」に一日籠って、12月後半のプログラムから『くじらびと』『大海原のソングライン』『地球交響曲 ガイアシンフォニー 第九番』を観てきました。3本ともドキュメンタリー作品です。 くじらびと(2…

映画「インシディアス」シリーズ4作品を一気に観た|そっちが主役?!そんなSF展開あり?! 予想外が楽しい連作ホラー

ジェームズ・ワン監督率いる**『インシディアス』**シリーズ4作品を一気に観ました。 怖さという点ではだいぶ苦手なタイプで、4作品通して同じ感想だったので多分しっかりとコンセプトが定まっているのだと思います。ただしアイデア的な面白さでは『死霊館』…

映画「君はひとりじゃない(2015)」感想|ホラー映画からホラー演出を抜くとこうなる、のかも。

予備知識ゼロで観たこの映画、序盤からなかなかシュールで、ヨルゴス・ランティモス作品であるとか、はたまたアリ・アスター作品であるとか、ちょっとワケありなアート映画の雰囲気が漂います。加えてささやかなポルターガイスト的現象なども発生し、これは…

「死霊館」シリーズのスピンオフ作品5本を一気に観た

ジェームズ・ワン監督率いる『死霊館』シリーズにどハマりしてしまったので、スピンオフ含む「死霊館ユニバース」の全8作品を一気見しました。本編3作品を除いた5作品について簡単に感想を書きます。 なお、いきなりハマった理由と本編3作品のほうの感想(主…

津軽三味線映画「いとみち」「津軽のカマリ」感想|物語も演奏も、思っていたのと違った

気になりつつも観るタイミングを逃していた映画『いとみち』、ようやく観てきました。越谷オサムさんによる同名小説を原作としています。まずはポスターをご覧いただきましょうか。印象に残っていたのは一枚目(左)のポスター。多分『スウィングガールズ(2…

映画「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」とシリーズ過去作にハマる|よもやホラーで目頭を熱くするとは

滑り込みで『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』を劇場鑑賞してきました。いや〜、ド直球ラブストーリーで最後は泣いた。めちゃくちゃよかった。え? タイトル間違えてないかって? いいえ、まごうことなき『死霊館』シリーズ最新作『死霊館 悪魔のせいなら、…

映画「ホドロフスキーのDUNE」と1984年版「デューン/砂の惑星」を観た 〜ヴィルヌーヴ版の予習として〜

先週からドゥニ・ヴィルヌーヴ版の『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開になっていますが、「ドゥニ・ヴィルヌーヴ版」とか書いておきながらわたし、この『DUNE』というSF作品のことをそもそも全く存じ上げず。せっかくなら予習してから観るか〜と関連2作品を鑑…

タイ映画「バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017)」感想|カンニングは海をも超える! 世界規模の答案伝達大作戦

本作はずばり「カンニング」映画です。タイ映画、切り取り方がいちいち面白い。そして期待を裏切らず非常に面白い作品でした。なんといっても、カンニングという題材でここまで見栄えのする映画が作れるのか!!という驚きですね。U-NEXTの作品紹介には「高…

映画「カンタ!ティモール(2012)」感想|東ティモールってどこ? 全く知らなかった日本との関わり

東ティモールについて扱った作品なのですが、東ティモールのことをわたしは何も知りません。地理にめっぽう弱いので、オーストラリアの真上にあるだなんて思いもしませんでした。オーストラリアなら一度行ったことがあります。いきなり身近に感じます。 とに…

映画「世界一と言われた映画館(2017)」感想|かつて山形県酒田市に存在した豊かな文化発信地、その消失と継承

山形県酒田市にかつて存在した映画館「グリーン・ハウス」のドキュメンタリー作品。かの淀川長治氏はこのグリーン・ハウスをなんと「世界一の映画館」と評したそうだ。 そんな大袈裟な、たかが街の映画館でしょ。そう舐めてかかっていたら度肝を抜かれた。回…

映画「ニーゼと光のアトリエ(2015)」感想|芸術療法の先駆者、ニーゼ・ダ・シルヴェイラ医師を描いた実話

実在の精神科医ニーゼ・ダ・シルヴェイラとその功績を描いた映画『ニーゼと光のアトリエ』を観ました。時は1944年、ブラジル。ロボトミー手術や電気ショック療法などが最先端とされていた時代に、そういった荒療治とは対極にある芸術療法のパイオニアとして…