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主に映画の感想文を書いています

2010年代の作品

映画「ホドロフスキーのDUNE」と1984年版「デューン/砂の惑星」を観た 〜ヴィルヌーヴ版の予習として〜

先週からドゥニ・ヴィルヌーヴ版の『DUNE/デューン 砂の惑星』が公開になっていますが、「ドゥニ・ヴィルヌーヴ版」とか書いておきながらわたし、この『DUNE』というSF作品のことをそもそも全く存じ上げず。せっかくなら予習してから観るか〜と関連2作品を鑑…

タイ映画「バッド・ジーニアス 危険な天才たち(2017)」感想|カンニングは海をも超える! 世界規模の答案伝達大作戦

本作はずばり「カンニング」映画です。タイ映画、切り取り方がいちいち面白い。そして期待を裏切らず非常に面白い作品でした。なんといっても、カンニングという題材でここまで見栄えのする映画が作れるのか!!という驚きですね。U-NEXTの作品紹介には「高…

映画「カンタ!ティモール(2012)」感想|東ティモールってどこ? 全く知らなかった日本との関わり

東ティモールについて扱った作品なのですが、東ティモールのことをわたしは何も知りません。地理にめっぽう弱いので、オーストラリアの真上にあるだなんて思いもしませんでした。オーストラリアなら一度行ったことがあります。いきなり身近に感じます。 とに…

映画「世界一と言われた映画館(2017)」感想|かつて山形県酒田市に存在した豊かな文化発信地、その消失と継承

山形県酒田市にかつて存在した映画館「グリーン・ハウス」のドキュメンタリー作品。かの淀川長治氏はこのグリーン・ハウスをなんと「世界一の映画館」と評したそうだ。 そんな大袈裟な、たかが街の映画館でしょ。そう舐めてかかっていたら度肝を抜かれた。回…

映画「ニーゼと光のアトリエ(2015)」感想|芸術療法の先駆者、ニーゼ・ダ・シルヴェイラ医師を描いた実話

実在の精神科医ニーゼ・ダ・シルヴェイラとその功績を描いた映画『ニーゼと光のアトリエ』を観ました。時は1944年、ブラジル。ロボトミー手術や電気ショック療法などが最先端とされていた時代に、そういった荒療治とは対極にある芸術療法のパイオニアとして…

映画「白い肌の異常な夜」とそのリメイク版「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」を見比べる

ソフィア・コッポラ監督の『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017)』を観ました。あれ?なんかこのお話、うっすら知ってるな。イーストウッドの初期作品あたりで似たやつなかったっけ? と思っていたら、本作は1961年のドン・シーゲル監督×クリント…

映画「ナイスガイズ!(2016)」感想|ライアン・ゴズリングの情けなさが光る「低み」コメディ

ラッセル・クロウとライアン・ゴズリングのバディムービー『ナイスガイズ!』を観ました。2016年の作品ということで、ライアン・ゴズリングはこの年『ラ・ラ・ランド』と2本出てたんですね。 ちなみに何故いきなりこれを観たかというと、愛聴しているラジオ…

映画「ブラック・ウィドウ(2021)」ほか「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」「シビル・ウォー」などの話

MCU最新作『ブラック・ウィドウ』を観ました。感想は「面白かったけど、忘れていることが多すぎた」。 てなことで、関連作をいろいろ観ていたここ一週間でした。まずはDisney +で配信中のドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』全6話。『ブラ…

映画「カタブイ 沖縄に生きる」「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」シネマチュプキ7月前半鑑賞メモ

田端のユニバーサル・シアター「シネマ・チュプキ・タバタ」7月前半のプログラムで鑑賞した沖縄関連の映画を2本、まとめて書きます。書いてたら長くなったのでまとめなくてもよかったかもしれない(いつものこと)。 『カタブイ 沖縄に生きる(2016)』 『返…

映画「横道世之介(2013)」感想|これは吉高由里子ベストアクトである、と断言

吉田修一さんの同名小説を原作とした映画『横道世之介』を観ました。監督は『おらおらでひとりいぐも』の沖田修一さん、だったのか、と今知る。 横道世之介、「よこみち・よのすけ」と読みますが、これライムスター宇多丸さんの映画評や映画話に頻出するタイ…

サンクスシアターにて片渕須直監督のドキュメンタリーと大九​明子監督の短編を観た

「ミニシアター・エイド基金」のリターンとして先月末まで特設配信サイト「Thanks Theater」内で観ることができた2作品「Starting Position」「ただいま、ジャクリーン」を駆け足で観ました。

映画「沖縄 うりずんの雨(2015)」感想|何も知らなかった沖縄のこと、知らないといけない沖縄のこと。

ドキュメンタリー映画『沖縄 うりずんの雨 改訂版(改訂版の公開は2019年)』を観ました。 6月23日「沖縄慰霊の日」に合わせたシネマ・チュプキ・タバタの特別プログラムで本日6/29まで上映されていた本作。昨日、滑り込みで観てまいりました。ただあまりに…

ショートムービー「もぎりさん」ほか、シネマチュプキ鑑賞メモ('21/05/24)

昨日は平日休みだったので、田端のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」で3本観てきました。もちろんすべて音声ガイド&日本語字幕付き。晴眼者であっても音声ガイド付きで映画を観るのは楽しいのです。 現在チュプキでは大九明子監督の『勝手…

映画「光(2017)」余談と感想|音声ガイド製作者を主人公にした河瀬直美監督作品

河瀬直美監督の『光』を観ました。映画の音声ガイド製作を題材にしたラブストーリー、というなかなか珍しい作品です。 この作品を観るのは今回が初めてだったのですが、その割にいろいろとエピソードがあります。どこから書いたものか迷います。長い余談から…

インド映画「マッキー(2012)」感想|ハエを甘く見るな

インドのハエ映画『マッキー』を観ました(掴みがいい)。監督は『バーフバリ』シリーズのS・S・ラージャマウリ。ざっくりのストーリーは「悪漢に殺された男が、愛する女性を守るためハエとして転生する」というもの。同じ女性に好意を寄せていたがために恋…

映画「でーれーガールズ(2015)」感想|ゆるいタイトルと侮るなかれ、でーれー=とっても泣かされた。

原田マハさんの同名小説を映画化したもので、優希美青さんと足立梨花さんがW主演。また彼女らの30年後を元タカラジェンヌの白羽ゆりさんと安蘭けいさんがそれぞれ演じています。「でーれー」とは岡山弁で「すごい」「とっても」を意味する言葉。東京から岡山…

斜に構えて「シンエヴァ」を観た。すごくよかった。【前半: 序破Qの復習/後半: ネタバレ雑感】

なんやかんや一応テレビシリーズから全部観てはいるんだけど、とはいえそんな熱心なファンじゃないしさ、と斜に構えていた『シンエヴァ』公開祭り。というより、ただのミーハーなノリで観に行くのは失礼かなみたいなところもあったんですが。 でもまあ、なん…

映画「津波そして桜(2011)」感想|震災当時訪日していたイギリス人監督によるドキュメンタリー

東日本大震災から10年。2011年製作の短編ドキュメンタリー映画『津波そして桜』を観ました。これは震災のタイミングで偶然日本を訪れていたイギリス人のルーシー・ウォーカー監督による作品。監督はもともと「桜」に個人的な思い入れがあり、日本にいたのも…

映画「インサイダーズ/内部者たち(2015)」感想|アルバトロス!じゃねえよ

劇中いちしょうもない台詞をサブタイトルにしました。「モヒートでモルディブ」とも迷ったけど、やっぱこっちだろうな。あの“接待ゴルフ”嫌すぎるでしょ。完全フィクションであることを祈る。というわけで『インサイダーズ/内部者たち』という韓国映画を観…

音声ガイド付きで映画「音響ハウス」「ようこそ映画音響の世界へ」 を鑑賞 〜バリアフリー映画館シネマ・チュプキさんの取り組みについて〜

JR田端駅近くのバリアフリー映画館シネマ・チュプキ・タバタさんにて、『音響ハウス』と『ようこそ映画音響の世界へ』のドキュメンタリー映画2本を音声ガイド付きで観てきました。 先日『愛がなんだ』を観た際に映画のバリアフリー化に興味を持ち、シネマ・…

イラン映画「ジャスト6.5 闘いの証(2019)」感想|穴と犬と、ペルシア語の語感が最高

イラン映画(!)の『ジャスト6.5 闘いの証』を観てきました。本作は2019年の東京国際映画祭で最優秀監督賞ほかを受賞しており、この度正式に日本で配給されたかたちです。 掴みはかなり良かった! 特に序盤の2案件が最高だったのでさわりだけ書いておきまし…

映画「愛がなんだ(2019)」感想|成田凌のダメなところが愛おしい。ていうかみんな愛おしい。

今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』を観ました。朝ドラ『おちょやん』で成田凌さんのひょうひょうとしたキャラクターと塩顔に惚れ込んでしまい、成田凌成分摂取してえ〜〜〜と思ったことが鑑賞動機その1。 その2は、ラジオ番組『アフター6ジャンクション』で2…

映画「殺されたミンジュ(2014)」感想|2時間たっぷり耳野郎&マ・ドンソク

キム・ギドク監督の『殺されたミンジュ』を観ました。本作のポイントはふたつ。まず、ドラマ『愛の不時着』ファンの人なら愛さずにはいられない「耳野郎」ことキム・ヨンミンさんが主演! それから「マブリー」ことマ・ドンソクさんも主演! もとは「耳野郎…

映画「天国にちがいない(2019)」感想|小鳥をどかすシーンだけで永遠に見ていられる

アップリンク吉祥寺にて、映画『天国にちがいない』を観ました。デザイナーの大島依提亜さん(本作のパンフレットも担当)がTwitterでおすすめしているのを見て、これは観に行こうと思っていた作品です。 エリア・スレイマン監督『天国にちがいない』デザイ…

映画「哀しき獣(2010)」感想|牛骨バトルが夢に出そう

『チェイサー(2008)』『哭声/コクソン(2016)』のナ・ホンジン監督作品『哀しき獣』を観ました。ナ・ホンジン監督はこの3本しか長編を撮っていないので、一応コンプリートです。 主演はハ・ジョンウとキム・ユンソク。前作『チェイサー』の主演ふたりで…

映画「ミスミソウ(2018)」感想|白銀のB級スプラッタ

同名コミックを原作とした映画『ミスミソウ』を観ました。悪質ないじめの果てに家族をも失った女子中学生が復讐者と化していく物語です。ずっとマイリストの底に沈んではいたのですが、ふいにAmazonが「観ない?」と通知してきたのでじゃあ観ようかなと。 ミ…

映画「サイコキネシス -念力-(2018)」感想|超能力おじさんコメディ、しかしやはり背景には負の韓国現代史が。

『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』『新感染半島 ファイナル・ステージ(2020)』などのヨン・サンホ監督によるNetflix映画『サイコキネシス -念力-』を観ました。 主演はシム・ウンギョンさんとリュ・スンリョンさん。シム・ウンギョンさんは最…

映画「ポエトリー アグネスの詩(2010)」感想|重くてやるせない、ハードコアおばあちゃん映画

イ・チャンドン監督の作品『ポエトリー アグネスの詩(うた)』を観ました。タイトルにでかでかと出た「시」に「……し??」と思わず首を傾げ、続けて出た「詩」で「し!!」と膝を打ったハングル覚えたてのわたしです。なんの話かというと原題は「시(詩)」…

映画「私の少女(2014)」感想|ぺ・ドゥナ主演、イ・チャンドン監督プロデュースのシリアスな作品

『子猫をお願い(2001)』に引き続き、ぺ・ドゥナさん主演の韓国映画『私の少女』を観ました。ユリイカ「韓国映画の最前線」特集号で監督のインタビューが組まれていたことから知った作品です。 ユリイカ 2020年5月号 特集=韓国映画の最前線 ―イ・チャンドン…

映画「チャンシルさんには福が多いね(2019)」感想|何も起こらないのが嬉しい(耳野郎も出てます)

公開されたばかりの韓国映画『チャンシルさんには福が多いね』を劇場鑑賞しました。ポスターからなんとなく『おらおらでひとりいぐも(2020)』みたいな、おばあちゃんが主役の話なのかなと思い込んでいたんですけども、これがじつはアラフォー独身女性のお…