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主に映画の感想文を書いています

映画

是枝裕和監督作品「歩いても 歩いても(2008)」雑感|希林さんのおかげで俄然明るくなった是枝作品

是枝裕和監督の作品履修を『誰も知らない(2004)』から再開したはいいものの、早速その次の『花よりもなほ(2006)』が一切配信されていないという壁にぶち当たりました(笑) 配信時代のこのもどかしさはなんとも言いがたい。そんなわけでいきなり飛ばして、…

是枝裕和監督作品「誰も知らない(2004)」雑感|こんなのきっと気付かない

『幻の光(1995)』『ワンダフルライフ(1999)』『DISTANCE(2001)』と順番に観てきたところで一年近く途切れてしまっていた是枝裕和監督の作品履修を再開。まずは2004年の『誰も知らない』から。 実際に起きた育児放棄の事件をモチーフとしたオリジナル脚…

Netflix映画「エノーラ・ホームズの事件簿(2020)」雑感|強く逞しく可愛いミリボビちゃんが見れて満足

Netflixオリジナルの映画作品として配信されている『エノーラ・ホームズの事件簿』を観ました。主演は『ストレンジャー・シングス』シリーズのミリー・ボビー・ブラウン。シャーロック・ホームズの妹(という設定の)エノーラを主人公とした同名小説が原作で…

ジャック・ドゥミ監督作品「ロバと王女(1970)」雑感|大好きなタイプの妙ちきりん映画

『シェルブールの雨傘(1964)』『ロシュフォールの恋人たち(1967)』などで有名なジャック・ドゥミ監督の作品『ロバと王女』を観ました。主演は常連のカトリーヌ・ドヌーヴ、音楽も同様にミシェル・ルグラン。ですがちょっとマイナーな作品というイメージ…

映画「TENET テネット(2020)」雑感|時間の逆行は身体的負担が大きい(体調のいい日に観ましょう)

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』をIMAX鑑賞しました。かなり前から予告を見ていたので、ついに公開されたのかという感じの作品ですね。ネタバレらしいネタバレはありません(ネタバレできるほど理解してないし)。 出演は『ブラック…

黒澤明監督作品「羅生門(1950)」雑感|こんなにもシニカルでホラーでカルトなサスペンスコメディ、だったとは

まだ観てないんですと言いづらい映画の個人的筆頭『羅生門』をようやく観ました。国立映画アーカイブで特別展示が始まったらしいぞ、行きたいな、その前に観ないとな、っていう謎な流れです。 言わずもがな芥川龍之介を原作とした黒澤明監督の作品ですが、芥…

映画「ミッドウェイ(2019)」雑感|真珠湾攻撃〜ミッドウェイ海戦を中立視点から描いたローランド・エメリッヒ最新作(しかし居心地が悪い)

ローランド・エメリッヒ監督の新作『ミッドウェイ』を劇場鑑賞しました。太平洋戦争における真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦までの戦局を、日米双方の視点で描く作品です。日本からは山本五十六役の豊川悦二さんをはじめ、國村隼さん、浅野忠信さんらが海軍…

大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」2回目の雑感|脚色のことや、ありったけの感想など

池袋・新文芸坐さんの2本立てで、大林宣彦監督の「新・尾道三部作」1〜2作目にあたる『ふたり』と『あした(1995)』を観ました。とはいえ『ふたり』はつい一週間ほど前にBlu-ray(新たにリリースされたもの)を購入して観たばかり。こんなにもすぐにスクリ…

大林宣彦監督作品「あした(1995)」雑感|終始美しいグランドホテル形式ファンタジー

池袋・新文芸坐さんにて大林宣彦監督の『あした』を劇場鑑賞しました。監督の生まれ故郷・尾道を舞台にした「新・尾道三部作」の1本目で、つい先日観たばかりの『ふたり(1991)』が2本目となります(今回こちらも同時上映だったので併せてスクリーンでの鑑…

映画「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐(1960)」雑感|エメリッヒ版「ミッドウェイ」の予習を兼ねて

ちょっとお久しぶりの戦争映画です。この週末からローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』が公開ということで、いちばん関連性が高そうな作品『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』を観ました。シリーズではないのでしょうが『太平洋の翼(1963…

大林宣彦監督作品「ふたり(1991)」本編と、“ウソからマコト”極まるメイキングの雑感

4月に大林宣彦監督が亡くなり、どれか観てみようかなと思っていたところで最初におすすめいただいたのが『ふたり』でした。調べてみると確かにとても人気の高い作品、しかし配信がどこにもない! 最寄りTSUTAYAも潰れて久しいわたしは諦めて『HOUSE/ハウス…

映画「レディ・バード(2017)」雑感|グレタ・ガーヴィグ監督×シアーシャ・ローナンの第一弾作品

グレタ・ガーヴィグ監督の『レディ・バード』を観ました。監督&主要キャストが共通している『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)』の公開タイミングで観ようと思っていたのですがずるずる後回しになっておりましたよ。あるある。 物語…

映画「コレット(2018)」雑感|“奔放”な女流作家、という印象を持つこと自体間違っているのかもしれない。

先日ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ』を観劇したとき、カンカン帽をかぶった文筆家のヒロインを見て「あ、そういえば観なきゃ」と頭をよぎった映画がありました。それが『コレット』です。 主演はキーラ・ナイトレイ。とても好きなお顔立ちの女優さ…

深田晃司監督作品「よこがお(2019)」雑感|血の気が引く、背筋が凍る、胸糞悪い、でもめちゃくちゃ面白い

深田晃司監督の『よこがお』を観ました。WOWOWでなんとなく録画しておいた一本だったのですが、これが非常に面白かった。監督、かなりの変態ですね……。 本作はまず何より主演・筒井真理子さんの怪演を愉しむ映画であり、あらすじを書いてしまうと楽しみが削…

2020年8月に観た映画を振り返る

8月の鑑賞映画を振り返ります。7月分はこちら。 新作 アルプススタンドのはしの方 ようこそ映画音響の世界へ ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 旧作 ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語(2019) この世界の(さらにいくつもの)片隅に…

映画「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019)」雑感|スカッと笑いたい全ての人へ

女優としても活躍するオリヴィア・ワイルドの長編初監督作品『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を劇場鑑賞しました。 「ブックスマート=book-smart」とは「(学歴や教養はあるが)世間知らず」な人のことを形容する言葉だそうです。つまりこ…

ドキュメンタリー「ようこそ映画音響の世界へ(2019)」雑感|映画体験の半分は、音だ。

現在公開中のドキュメンタリー映画『ようこそ映画音響の世界へ』を観てきました。映画音楽ではなく、映画「音響」。もちろん音楽もその一部ですが、それ以外にも効果音や環境音、演者が発する声の扱いまで、「映画音響」の仕事は多岐に渡ります。しかし作品…

「EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ」は確かに凄かった|自主製作映画時代の大林宣彦監督作品雑感・16mm編

商業映画デビュー以前の大林宣彦監督作品を集めたDVD『大林宣彦 青春回顧録 DVD SPECIAL EDITION』を購入、鑑賞しました。前回の記事ではDISC1の8mm作品6本について書きましたが、今回はDISC2に収められている16mmの4作品を紹介します。 なかでも1966年の『E…

映画「トラ・トラ・トラ!(1970)」雑感|真珠湾攻撃を日米共同製作で描いた作品

1970年の映画『トラ・トラ・トラ!』を観ました。タイトルは「ワレ奇襲ニ成功セリ」を意味する暗号電信文。第二次世界大戦において日米開戦の引き金となった真珠湾攻撃を描いた作品ですが、てっきりアメリカ映画だと思っていたので日米合作であることに驚き…

自主製作映画時代の大林宣彦監督作より「絵の中の少女(1958)」ほか雑感

商業映画デビュー以前の大林宣彦監督作品を集めたDVD『大林宣彦 青春回顧録 DVD SPECIAL EDITION』を購入、まずはDISC1に収められている8mm作品6本から観ました。 なお制作年に関してパッケージ上とその他資料で違いがあったため、ここでは著書等にフィルモ…

本多猪四郎×円谷英二の戦争映画「太平洋の鷲」「さらばラバウル」雑感|米空軍提供の記録映像も見られる作品

毎年8月を意識的に戦争映画月間にしているというライムスター宇多丸さんに倣い、今月中はとことん戦争映画を観ていきます。さて今回観たのは1953年の『太平洋の鷲』、1954年の『さらばラバウル』です。どちらも本多猪四郎監督×円谷特撮のタッグで撮られてお…

岡本喜八監督作品「ジャズ大名(1986)」雑感|アバンギャルドな幕末ジャムセッション映画

どうやら岡本喜八監督作品の集中履修期間に突入しつつあります。今回は1986年の『ジャズ大名』という映画を観ました。何やら妙ちきりんなタイトルですが、なんと『時をかける少女』の筒井康隆さんによる同名小説が原作だそうです。筒井さんは岡本監督の大フ…

映画「キャリー(1976)」雑感|ホラーテイストで痛烈に“いじめ問題”を描いた作品

ひたすら日本の戦争映画を観ていた流れから「何故!!」っていうような『キャリー』観ました。ブライアン・デ・パルマ監督による1976年公開のホラー映画で、原作はスティーブン・キング。これもスティーブン・キングなのか……。 この作品、Netflixのドラマ『…

映画「独立愚連隊(1959)」雑感|岡本喜八監督の描く戦争コメディ

岡本喜八監督の初期作品『独立愚連隊』を観ました。岡本喜八監督というと『日本のいちばん長い日(1967)』のようなどっしりとした作品を主に作られる方なのかなと思っていたのですがじつは反戦思想のなかにも喜劇性を強く持つ作家だったようで、キャリア初…

映画「激動の昭和史 軍閥」「激動の昭和史 沖縄決戦」雑感|東宝8.15シリーズを観る②

春日太一さんの新著『日本の戦争映画』から「東宝8.15シリーズ」と呼ばれる作品群のことを知った&ちょうどWOWOWが一挙放送してくれていた、ということで8.15シリーズ鑑賞記の第2回です。第1回はこちら。 今回は、似たようなタイトルですが『激動の昭和史 軍…

終戦から75年の日、池袋・新文芸坐で大林宣彦監督の戦争三部作「この空の花」「野のなななのか」「花筐」を観た

池袋の名画座・新文芸坐さんにて、「追悼・大林宣彦 〜永遠の魔法〜④ 戦後75回目の夏に…」と題された『この空の花 長岡花火物語('12)』『野のなななのか('14)』『花筐/HANAGATAMI('17)』の3本立てを観てきました。新文芸坐さん、企画ありがとうござい…

映画「日本のいちばん長い日」「連合艦隊司令長官 山本五十六」雑感|東宝8.15シリーズを観る①

春日太一さんの新著『日本の戦争映画』を読んでいて、「東宝8.15シリーズ」と呼ばれる作品群があることを知りました。その第一弾となったのが1967年の岡本喜八監督作品『日本のいちばん長い日』。2016年に『シン・ゴジラ』が大ヒットした際、岡本喜八監督の…

映画「アルプススタンドのはしの方(2020)」雑感|じつは悔しいのかもしれない自分語りの巻

城定秀夫監督の映画『アルプススタンドのはしの方』を観ました。高校演劇の人気演目を原作とした作品で、甲子園を舞台としながらもグラウンドや選手の姿は一切登場せず、「アルプススタンドのはしの方」だけが映り続ける映画です。 夏の甲子園一回戦、アルプ…

塚本晋也監督版「野火(2015)」雑感|非常にハイクオリティな戦争疑似体験映画

大岡昇平さんの同名小説を原作とした映画『野火』を観ました(1959年の市川崑監督版ではなく2015年の塚本晋也監督版)。 この映画、タイトルは知っていましたがあまりいいイメージを持っていなかったというか、趣味の悪い映画かなと勝手に遠ざけていました。…

ドキュメンタリー「大林宣彦&恭子の成城物語(2019)」ほか雑感|大林映画は“夫婦”の作品

U-NEXTで『ノンフィクションW 大林宣彦&恭子の成城物語 [完全版] ~夫婦で歩んだ60年の映画作り~』を観ました。元々はWOWOWで60分番組として放送されたもので、現在U-NEXTほかで配信されているこちら82分尺の「完全版」は昨年の東京国際映画祭にて公開され…