353log

主に映画の感想文を書いています

2022年の作品

「梟-フクロウ-」「落下の解剖学」のはなし。

ちょっと溜め気味。でもこの2本、観た方であれば「あ、狙ってまとめたな」と思われるかも。要素としてわかりやすく共通点のある2本ではあります。 ▼新宿武蔵野館にて『梟-フクロウ-』鑑賞。盲目の鍼灸師がドロドロの政治劇に巻き込まれてしまう韓国時代劇…

試写感想「ビニールハウス('24.3.15公開)」

3月15日から公開となる韓国映画『ビニールハウス』を試写で観ました。「半地下はまだマシ」という煽りみの強いキャッチコピーがちょっと話題にもなったりしましたが、韓国映画でビニールハウスといえば、やはり『バーニング 劇場版』を連想するところです。 …

アジアンドキュメンタリーズのパレスチナ関連作品とか、「ほつれる」「さよなら ほやマン」などのはなし。

▼アジアンドキュメンタリーズにて配信中の、パレスチナ関連のドキュメンタリー『オスロ・ダイアリー』『医学生 ガザへ行く』を観ました。宇多丸さんとアジアンドキュメンタリーズ代表の伴野さんが春に対談本『ドキュメンタリーで知るせかい』を出版予定との…

「彼方のうた」「パトリシア・ハイスミスに恋して」「ゴジラ-1.0」のはなし。

まとめて書くにはジャンルが違いすぎて、適度に振り分けて書こうかな、なんて思っているとどんどん書かずに過ぎてゆき。てなわけで、やっぱり全部ごちゃ混ぜに書いてゆきます。ここ2週間くらいで観た新作映画たち。(の、結局前編。未来のわたしより) ▼東京…

「ジョン・ウィック:コンセクエンス」「ダンサー イン Paris」のはなし。

映画観るスイッチと書きたいスイッチが同時に入っているので逃さずいってみよう。まずは、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』観ました。4作目ですね。すっかり忘れてるけど大丈夫かなーと思いつつ、親切すぎる「前回までのあらすじ」のおかげでばっちりで…

「最後まで行く」「M3GAN ミーガン」、2回目の「ウーマン・トーキング」のはなし。

TOHOシネマズ日比谷の宝塚劇場下、本館、シャンテをはしごした或る一日の記録。『最後まで行く』『M3GAN ミーガン』、2回目の『ウーマン・トーキング 私たちの選択』を観ました。 『最後まで行く(2023)』 誤って人を轢き殺してしまった主人公の刑事が、な…

「ウーマン・トーキング」「渇水」「ライオン少年」、プレ「怪物」のはなし。

ここ数日で観た新作映画のはなし。サクッとね、記録として書いていきましょうね。 『ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022)』 6月2日(金)公開。——とても閉鎖的なキリスト教の村で日常的に繰り返され、かつ黙殺されてきた強姦行為。しかし女たちは遂に立…

「別れる決心」「モリコーネ 映画が恋した音楽家」ほか、2月に劇場鑑賞した新作の感想

いつの間にか3月。「映画館の人」になったら映画が観れなくなった353です。覚悟はしていた、していたが! そんなわけで今年は「観た映画は必ず感想を書…けたらいいな」くらいのゆるモードで運用していくことになるのではないかな、と思っております。 さてさ…

「アトロク映画祭2023」にて「THE BATMAN」「ガメラ 大怪獣空中決戦」を観た

すぐにでも書きたかったのに書きそびれてしまった感想その2「アトロク映画祭2023(2/5@新宿バルト9)」をお送りします。その1は、アトロクでもお馴染み『骨噛み』を含む、「『幾多の北』と三つの短編」の話。あわせてどうぞ。 さて「アトロク映画祭2023」。…

映画「『幾多の北』と三つの短編」感想|アニメーション作家・山村浩二の監督/プロデュース作を同時上映

すぐにでも書きたかったのに書きそびれてしまった感想その1「『幾多の北』と三つの短編(1/29@新文芸坐)」をお送りします。「一晩寝かせる」をしない心の強さ(および睡魔への負けなさ)が欲しい。寝かせたら終わりです。 映画「『幾多の北』と三つの短編…

サンライズ瀬戸で行くノープラン旅行記【③松山の夜を味わい尽くす】

サンライズ瀬戸の話は初回で終わったタイトル詐欺な旅行記「サンライズ瀬戸に乗りたい(ただしその先は決めてない)」その3。前回、高松から松山、さらに愛媛の端っこ八幡浜港までやってきて、おもむろに『すずめの戸締まり』聖地巡礼を始めた353。九州まで…

映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022)」感想|ワインスタイン報道に尽力したジャーナリストたちの手記を映画化

ご無沙汰しております。ようやくあれこれ落ち着いてきて、元日ぶりに映画館へ行きました。何にしようか迷ったのですが、どっぷり入り込みたい気持ちだったので『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』をセレクト。 映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴…

映画「窓辺にて」「そばかす」感想|年始におすすめ、息がしやすくなる映画たち。

元日、映画初めとして『かがみの孤城』を鑑賞し、完全に満ち足りてからハシゴで(予約しちゃってたんで)観た2本の話をします(でもどちらもすごくよかったです)。1本目はテアトル新宿で、今泉力哉監督の最新作『窓辺にて』。噂に違わず、よかったです。「…

映画「かがみの孤城(2022)」感想|静かで優しく温かく、包み込まれるような作品。

2023年1本目、原恵一監督の劇場用アニメーション作品『かがみの孤城』を最寄りシネコンにて観てきました。先に言う。これ数日前に観てたら番狂わせだったし、年を跨いだところで今年のベストに残っている可能性が大。めちゃめちゃ、良かったです。 映画「か…

2022年「自分の世界に食い込んできた映画」トップ5

テレビでは紅白が始まってしまいました。まだ感想を書いていない映画が何本もあります。納まらない。納まらなさがすごい。どうにかシネマランキング的なものだけ書いて2022年を終えたいと思います。 今年観た映画は、重複も含めて230本くらい。うち半分ほど…

Netflix映画「聖なる証(2022)」感想|かっこいい映画だな!

舞台は19世紀半ばのアイルランド。ある村に、ずっと断食状態で生き続け、もてはやされている「奇跡の少女」がいる、と。おいおいインチキなんじゃないのー、ってことでフローレンス・ピュー演じる看護師が観察要員として派遣されるのですが、どうも本当に何…

映画『ケイコ 目を澄ませて(2022)』感想|スクリーンで、ざらついた質感を堪能すべし。

三宅唱監督の最新作『ケイコ 目を澄ませて』を、池袋シネマ・ロサで観てきました。 映画「ケイコ 目を澄ませて」ポスター ろう者のプロボクサーを岸井ゆきのさんが演じるということで、注目はしていました。しかし『ドライブ・マイ・カー』『CODA あいのうた…

映画「夢半ば」「にわのすなば」—「春原さんのうた」を観た人にもおすすめの新作2本+「道草」の感想

今回は、12月前半に劇場鑑賞した2本+先週に劇場鑑賞した1本のお話。1本目は、安楽涼監督の最新作『夢半ば』です。安楽さんは『まっぱだか(2021)』でも共同監督の片山享さんと共に監督・出演をされており、この一年でとても馴染み深い存在に。ポスタービジ…

映画「すずめの戸締まり(2022)」ネタバレ感想|よくぞ新海監督、これを。

新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』を観てきました。なかなか新作映画を観に行けない日々で、本作も人が落ち着いてから行こうかなと思っていたのですが、どうも評判がいいらしい。これは気になっちゃうな〜ということで、公開3日目に行ってまいりました…

映画「四畳半タイムマシンブルース(2022)」感想|面白くないわけがないんだ

映画『四畳半タイムマシンブルース』を観てきました。と言っても、いつぞや『マイ・ブロークン・マリコ(2022)』を観た日、ええと、10月9日に観たので、うっかり一ヶ月近く書きそびれていたわけですが。まずいまずい。書くことがなかったわけじゃないんです…

映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022)』感想|たった82分でえげつない面白さです

渋谷シネクイントにて『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』を観てきました。この映画、試写会の感想ツイートがタイムラインに流れてきて「え、なんだこの面白そうな映画は」と気になったのが最初の出会いでした。んで公開日が来て…

S・S・ラージャマウリ最新作「RRR(2022)」感想|3,000円くらい払って観たい満足度

『バーフバリ』シリーズで大旋風を巻き起こしたS・S・ラージャマウリ監督の最新作『RRR』、初日に観てきました。もともと、初日に観るほどの熱量はなかったんです。『バーフバリ』シリーズはそこまでハマったわけでもないし。でもTwitterで「観たら元気にな…

映画「わかりません(2022)」感想|年相応のレールから外れた私たちへ

池袋シネマ・ロサにて、片山享監督の映画『わかりません』を観ました。こちら、まず面白いのが、出演者の多くが「本人役」であるところ。ボブ鈴木さん演じる「ボブ鈴木」と、木原勝利さん演じる「木原」という、実在の「おっさん」二人の物語なのです。そし…

映画「マイ・ブロークン・マリコ(2022)」感想|マブダチの遺骨を抱えて旅する映画

映画『マイ・ブロークン・マリコ』を観ました。平庫ワカさんの同名コミックを原作として、『浜の朝日の嘘つきどもと(2021)』のタナダユキ監督が実写映画化。永野芽郁さんと奈緒さんW主演ということで(クレジット的には永野芽郁さん単独主演なのかな、でも…

映画「ファーストミッション(2022)」感想|じつは今きっと日本一アクションがすごい映画

シネマ・チュプキにて10/15(土)まで上映中の映画『ファーストミッション』を観ました。こちら、SNSで評判を見ていると『カメラを止めるな!(2017)』や『ベイビーわるきゅーれ(2021)』などと併せて語られる傾向がありまして、その辺りのタイトルにピンと…

映画「LOVE LIFE(2022)」感想|というか、当事者キャスティングについていろいろと思ってみる。

深田晃司監督の最新作『LOVE LIFE』をBunkamuraル・シネマにて観てきました。なんていうか、すごく良かったんですけど、そこまで何かを書こうという気持ちにならなくて、とりあえず書き始めた現時点でもまださほどアウトプット欲がありません。ちなみに深田…

映画感想「百年と希望」「ゆめパのじかん」「さとにきたらええやん」|チュプキ9月前半鑑賞メモ

2週間も開いてしまいました。生きてはいます、353です。さらに言うと映画自体は前回の投稿から20本くらい観ています、353です。というわけで、まずは2週間前に観たやつ、2022年9月前半の[シネマ・チュプキ・タバタ](https://chupki.jpn.org/)鑑賞メモです。…

映画「激怒(2022)」感想|高橋ヨシキ長編監督デビュー作、これは観ておかねば。

映画ライター、アートディレクターの高橋ヨシキさんが企画・脚本・監督をつとめた映画『激怒』を新宿武蔵野館にて観てきました。高橋ヨシキさんといえば雑誌「映画秘宝」などでもお馴染みですが、わたし的にはアトロクことTBSラジオ「アフター6ジャンクショ…

映画「さかなのこ(2022)」感想|すべての「さかなクン」たちへ。好きを貫け!

映画『さかなのこ』を観てきました。のんさんが「さかなクン」を演じるらしい、程度の情報で止まっておりさほど注目もしていなかったのですが、いざ公開されるや、おや、評判が良さそうだぞ…? そこで初めて知ります、沖田修一監督だったのか!というわけで…

映画「こちらあみ子(2022)」感想|あの坊主頭みたいになれたらいのに、みんな。

森井勇佑監督の映画『こちらあみ子』を観ました。今村夏子さんの同名小説を原作としていますが、小説を全然読まないわたしがそのタイトルを知ったのは『花束みたいな恋をした(2021)』を観た際。劇中で「今村夏子さんの『ピクニック』」というワードが何度…