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主に映画の感想文を書いています

ここ最近の鑑賞映画まとめて感想①|「聲の形」「建築学概論」「ストーリー・オブ・ラブ」ほか

前回の投稿から10日も開いてしまいました。生きてます。

その間も映画自体は15本くらい観ていたのですが、節操がなさすぎてもはや何も書けませんでした。そんなわけで「まとめて雑感」スタイルにて一旦リセットしようと思います。まずは5本、なんとなくランダムでセレクト。


5作のジャケット画像を並べたもの
見事にカップ


「殺さない彼と死なない彼女(2019)」

間宮祥太朗さんと桜井日奈子さんW主演の、ちょっと変わった恋愛群像劇です。「死ね」が口癖の「彼」と「死にたい」が口癖の「彼女」、はぐれもの同士の二人が心を通わせていく物語。

ものすごいベタベタなのかな?と思いきや独特な要素が多くて、コントラスト低めの淡い映像はひたすら儚げに美しいし(桜井日奈子さんの可愛さを最大限記録した貴重な映像)、純文学のような書き言葉のセリフがフィクショナルに発される感じは大林宣彦作品みたいだなとか(つまり、特に好みだったポイント)。

主演二人以外の物語も同時進行していくのですけど、群像劇としても結構複雑な組み立てになっていて、終盤ようやく「あ、そういう!」とわかってくる、侮れない作品でございました。なお原作はTwitter発の四コマ漫画。頭身を上げつつかなり雰囲気寄せてあり、見事な実写化ではないかと思います。

建築学概論(2012)」

けんちくがく・がいろん。やたらカッチカチなタイトルですが韓国の大ヒット恋愛映画です。これずっと観たかったんですけどなかなか手が伸びなくて、ようやく観ました。

15年越しに再会した「初恋の人」からいきなり「自宅の設計」を依頼される建築士スンミン。なんじゃらほいと怪訝に仕事を進めていくなかで、苦かった初恋の記憶が男女それぞれの側から少しずつ回想されます。初恋の人ソヨンの学生時代を演じるペ・スジさんが超可愛くてぎえええええってなります。

監督は実際に建築士でもあるそうで、言われてみれば建築面でのディテールが恋愛ドラマらしからぬ細かさです。劇中で重要な役割を果たす「ソヨンの家」は、記念館的なかたちで済州島に実在するそう。行ってみたい。

ワン・デイ 23年のラブストーリー(2011)」

宇多丸さんが『ちょっと思い出しただけ』評で挙げていた、非常に似た構造を持つという作品。『ちょっと〜』は「7月26日」だけを一年ずつ遡っていく物語なのですけど、本作は「7月15日」だけを過去から現在まで一年ずつ進めていく物語になっております。

そんなん絶対おもしろいじゃんと思ったものの、個人的にはそこまで刺さってくるものではなかったです。先日観た『ナイトメア・アリー』しかり、ショウビズ界での成功と堕落みたいな要素が、最近なんか受け付けないのかな。

ヒロインでありながら地味なキャラクターのアン・ハサウェイは良かったです。アン・ハサウェイ、静止画だと好みじゃないのだけど動くと魅了されちゃうんだよなあ。

「映画『聲の形』(2016)」

テーマ的に興味はありつつなかなか観れずにいた作品です。ろう者の少女と、彼女を小学生の頃いじめていた少年の物語。と言うと心温まるストーリーを想像するのですが実際のところはかなりヒリついた、始終きれいごとの対極をいくような内容になっていました。

かつてはいじめっ子だった少年が手話を覚えてろう者の少女と交流するようになるというお話なので、手話での会話パートが全編通して多数登場。クオリティの程は判断できないものの、『響け!ユーフォニアム』での楽器演奏ディテールなどを見るにおそらく今回もしっかり京アニの腕が光るところなのかなと思います。

多くの部分では少年が「読み取る」かたちで聴者の観客も手話の意味がわかるようになっていますが、なかには二人の間のみで成り立っている会話も。「言っていることがわからない」感覚を疑似体験させられると同時に、手話を学びたいと思わせてくれる演出でもありました。

ストーリー・オブ・ラブ(1999)」

俳優業引退を発表したブルース・ウィリスの、隠れた名作的ポジションっぽい作品。いや、わたし全然ブルース・ウィリスとは縁の薄い映画ライフだったので、超のつく門外漢なんです。なんか観たいなと探していたら「倦怠夫婦もの」とのことで観てみました。で、好きだった!

ブルース・ウィリスミシェル・ファイファーが演じるのは、「子はかすがい」でなんとか形を保っている夫婦。このままでは離婚まっしぐらなので、ひとまず子供たちが夏休みの長期キャンプで家を空ける間だけ別居生活をすることに。冷え切った関係は果たして修復できるのか?ってなお話です。

特筆すべきは、倦怠夫婦ものなのに胸キュンがあるところ、だと思います。実際こんな展開があるのかはわからないけれど、『花束みたいな恋をした』の別れ話シーンのパラレルワールドみたいな感じだけど、倦怠夫婦を題材にしてこんな胸キュンのラブコメに仕上げられるんだなあと驚かされました。ミシェル・ファイファーの魅力も大きいのかも。

以上、5本分の供養でした。

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