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主に映画の感想文を書いています

映画「14歳の栞(2021)」感想|とある中学校の「2年6組」35人全員に密着したドキュメンタリー

ドキュメンタリー映画『14歳の栞』シネマ・チュプキにて観ました。

「とある中学校の3学期、『2年6組』35人全員に密着」という公式の謳い文句だけで、とてつもないドキュメンタリーであることが伝わると思います。この時代にそんなことが可能なのか?? 実際問題、可能にしてしまったのですからすごいです。

なお本作、その性質上から現時点ではソフト化・配信の予定はなく、劇場上映や自主上映会のみでの公開となっているそう。また、SNS等での感想投稿においても子供達の未来を十分に配慮してくださいと本編前後に注意書きが入ります。そんなわけでわたしの感想もいつも以上にざっくりとしたものにしておこうと思います。


映画「14歳の栞」ポスター
映画「14歳の栞」ポスター


観る前は正直もっとヒリついた作品なのかなと想像してたのですけど、扉を開けてみればこの「2年6組」はまあ明るい。正真正銘の「いいクラス」なんです。とはいえ話を聴いてみれば35人全員が「6組サイコー!」と思っているわけではなくて、集合体としては「いいクラス」を保ちつつも一人一人はそれなりに何かしら思ったり考えたり抱えたりしている。これ別に「裏」とか「闇」とかじゃなくて当然のことですが、あらためて一人一人の中学生から言葉として聴けるのは新鮮でした。

それでいて、中学生ってやっぱり全体的には男女共にかなりやんちゃなお年頃らしく、時折おバカで可愛いんですよね〜。終始にこにこして観てしまいました。3学期だからバレンタインとかもあって、そのあたりの平和さもにこにこでした。元吹奏楽部員としては、3年生を送る会(お茶会)めっちゃ懐かしかったな。やったやった、ああいうの。

いちばんの感想はなんだろうと考えてみて、とにかくみんな立派です。それに尽きる。心のうちを知れば知るほど、中学校・クラスというわりともうどうしようもないコミュニティの中で本当によく頑張ってる。それから、はっきりとした人生設計を立てている子が多いことにも驚きました。わたしなんて彼らより20年以上長く生きてて未だに将来のビジョン何ひとつ定まってないのにな。尊敬しかない。まあ、年若いがゆえの未来に対する固定概念みたいなものもあるのかもですけどね。

ちなみにわたし中学校はかなりエンジョイしたと思っているのですが、でも記憶はもうほとんどないです。人間関係もほぼほぼ消えました。あの頃の悩みは、何かあったんだろうか。あったにしろ、今には引きずっていないようです。つまるところ、みんな今後の人生それぞれ好きなよう幸せになっておくれよと、そんな気持ちでいっぱいです。次に取材来たときは宇宙行っちゃってるかもよ、って言ってたあの彼かっこよかったな。

(2022年55本目/劇場鑑賞)

チュプキでの上映は今月いっぱいで終了してしまいますけども、結構いろんなところで春の再上映がおこなわれているようですのでご興味ある方はぜひ(→劇場情報上映会について)。

あと、『ちょっと思い出しただけ(2022)』同様この映画もクリープハイプの曲が制作の発端になっているんですよね。なんなんだクリープハイプ。なんなんだ尾崎世界観。こちらもこちらで、ちょっと思い出したりできる映画です。