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主に映画の感想文を書いています

「コカイン・ベア」から山形国際ドキュメンタリー映画祭まで、最近観た映画あれこれのはなし。

この一週間くらいの、雑多な鑑賞記録をどうぞ。

▼グランドシネマサンシャイン池袋にて、今泉力哉監督の最新作『アンダーカレント』を鑑賞。あ、こんな寡黙な映画も撮るんだと驚きつつ、今泉作品に求めているテイストではなかったなという気持ちが強く、という感じ。あと『福田村事件』なんか観た後だと、あんまりにも同じ人ばっかり出てんなあというような気持ちもちょっとばかしノイズに。俳優いないのかしらと思っちゃいました。

▼TOHOシネマズ池袋(初めて行った。ブリリアホールもあのへんなのね。ハイソな雰囲気にちょっとテンション上がった)にて、『コカイン・ベア』を鑑賞。コカイン過剰摂取しちゃったクマさんが自然公園で人間殺しまくるスプラッター・ホラー・コメディ。なかなかエグいんだけど最終的には金ローでやってそうなアドベンチャー映画風に終わろうとするのがうける。あと何気にキャストが豪華。ハン・ソロだったん?!

▼山形にて先週開催されていた「山形国際ドキュメンタリー映画祭」へ、クロージングのタイミングで空気だけ味わいに行きました。ヤン・ヨンヒ監督の『愛しきソナ』と、レアなテレビドキュメンタリー『揺れる心』を、監督のトーク付きで鑑賞。『揺れる心』は、在日コリアンの高校生たちが通名(日本名)を使い続けるかどうか同級生と一緒に考えていく記録。

ヤン・ヨンヒ監督の『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』『スープとイデオロギー』は少し前に横浜シネマリンで一気に観て、このブログにも下書きでほぼ書き上がっていたのだけど上げられていなくて。端的に言えばすごくハマってしまって。ヤン・ヨンヒ監督のドキュメンタリーはとにかく人間が魅力的で、監督自身がカメラを回しナレーションもつけていくスタイルによる作家性も非常に強くて、ああ好きだなあと今回改めて確認。

チャン・リュル監督の『白塔の光』という作品も観に行ったのですが、こちらは三分の二くらい寝てたのでノーカンで(睡眠不足が、ここにきて)。表彰式の空気まで吸って、夜行バスで鶴岡へ。

▼翌日、今年3月に再オープンした「鶴岡まちなかキネマ」へ行きました。なかなか気軽に行ける場所ではないので、いいタイミングでした。ここでは『almost people』を鑑賞。四篇からなるオムニバスの日本映画。二篇目がめっちゃ変な作品だったのでキョトンとしてしまったものの、全体的には味わいの深い、誰かと感想を語り合うのが楽しいタイプの作品でした。

同日、鶴岡から特急で20分くらいの酒田へ。酒田は、じつはわたしの本籍地で。とはいえ物心ついてからは訪れていなかったので、へえ〜〜こんな町だったんだ〜〜と新鮮でした。勝手に抱いていたイメージよりも「いい町」でした。ここでは『世界一と言われた映画館』のグリーン・ハウス跡地などを探してみたりしました。


▼本日、早稲田松竹にて。Twitterで情報を見かけた「シャンタル・アケルマン監督特集」が、なんだか今の自分に必要な気がして滑り込み。『ゴールデン・エイティーズ』『一晩中』の二本立てを鑑賞。アケルマン監督は、作品はおろか名前すらよく知らず、まったくただの直感だったんですが。

『ゴールデン・エイティーズ』は、偶然にも我が生まれ年1986年の作品。すごく小さなショッピングモールみたいな「狭い世界」のみで展開していく、ダサダサなフレンチミュージカル。惚れて腫れて、横恋慕だのなんだの、「恋は病」極まりないコメディなのですけど、あれ?意外とこれ、深いかも。傷ついた心を救ってくれる映画かも。おすすめです。

もう一本の『一晩中』は、商業要素ゼロのジム・ジャームッシュ『ナイト・オン・ザ・プラネット』みたいな。真っ暗な画面でよく知らん男女とかが沈黙したり抱き合ったり、が延々続きます。静かな映画なのに生活音が超やかましいです。もしかしてコメディなのか?と思いました。夜が明けるところでようやく目が覚めました。疲れの取れる映画です。

以上、観れてる観れてる。よしよし。