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主に映画の感想文を書いています

2010年代の作品

映画「ブラック・ウィドウ(2021)」ほか「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」「シビル・ウォー」などの話

MCU最新作『ブラック・ウィドウ』を観ました。感想は「面白かったけど、忘れていることが多すぎた」。 てなことで、関連作をいろいろ観ていたここ一週間でした。まずはDisney +で配信中のドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』全6話。『ブラ…

映画「カタブイ 沖縄に生きる」「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」シネマチュプキ7月前半鑑賞メモ

田端のユニバーサル・シアター「シネマ・チュプキ・タバタ」7月前半のプログラムで鑑賞した沖縄関連の映画を2本、まとめて書きます。書いてたら長くなったのでまとめなくてもよかったかもしれない(いつものこと)。 『カタブイ 沖縄に生きる(2016)』 『返…

映画「横道世之介(2013)」感想|これは吉高由里子ベストアクトである、と断言

吉田修一さんの同名小説を原作とした映画『横道世之介』を観ました。監督は『おらおらでひとりいぐも』の沖田修一さん、だったのか、と今知る。 横道世之介、「よこみち・よのすけ」と読みますが、これライムスター宇多丸さんの映画評や映画話に頻出するタイ…

サンクスシアターにて片渕須直監督のドキュメンタリーと大九​明子監督の短編を観た

「ミニシアター・エイド基金」のリターンとして先月末まで特設配信サイト「Thanks Theater」内で観ることができた2作品「Starting Position」「ただいま、ジャクリーン」を駆け足で観ました。

映画「沖縄 うりずんの雨(2015)」感想|何も知らなかった沖縄のこと、知らないといけない沖縄のこと。

ドキュメンタリー映画『沖縄 うりずんの雨 改訂版(改訂版の公開は2019年)』を観ました。 6月23日「沖縄慰霊の日」に合わせたシネマ・チュプキ・タバタの特別プログラムで本日6/29まで上映されていた本作。昨日、滑り込みで観てまいりました。ただあまりに…

ショートムービー「もぎりさん」ほか、シネマチュプキ鑑賞メモ('21/05/24)

昨日は平日休みだったので、田端のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」で3本観てきました。もちろんすべて音声ガイド&日本語字幕付き。晴眼者であっても音声ガイド付きで映画を観るのは楽しいのです。 現在チュプキでは大九明子監督の『勝手…

映画「光(2017)」余談と感想|音声ガイド製作者を主人公にした河瀬直美監督作品

河瀬直美監督の『光』を観ました。映画の音声ガイド製作を題材にしたラブストーリー、というなかなか珍しい作品です。 この作品を観るのは今回が初めてだったのですが、その割にいろいろとエピソードがあります。どこから書いたものか迷います。長い余談から…

インド映画「マッキー(2012)」感想|ハエを甘く見るな

インドのハエ映画『マッキー』を観ました(掴みがいい)。監督は『バーフバリ』シリーズのS・S・ラージャマウリ。ざっくりのストーリーは「悪漢に殺された男が、愛する女性を守るためハエとして転生する」というもの。同じ女性に好意を寄せていたがために恋…

映画「でーれーガールズ(2015)」感想|ゆるいタイトルと侮るなかれ、でーれー=とっても泣かされた。

原田マハさんの同名小説を映画化したもので、優希美青さんと足立梨花さんがW主演。また彼女らの30年後を元タカラジェンヌの白羽ゆりさんと安蘭けいさんがそれぞれ演じています。「でーれー」とは岡山弁で「すごい」「とっても」を意味する言葉。東京から岡山…

斜に構えて「シンエヴァ」を観た。すごくよかった。【前半: 序破Qの復習/後半: ネタバレ雑感】

なんやかんや一応テレビシリーズから全部観てはいるんだけど、とはいえそんな熱心なファンじゃないしさ、と斜に構えていた『シンエヴァ』公開祭り。というより、ただのミーハーなノリで観に行くのは失礼かなみたいなところもあったんですが。 でもまあ、なん…

映画「津波そして桜(2011)」感想|震災当時訪日していたイギリス人監督によるドキュメンタリー

東日本大震災から10年。2011年製作の短編ドキュメンタリー映画『津波そして桜』を観ました。これは震災のタイミングで偶然日本を訪れていたイギリス人のルーシー・ウォーカー監督による作品。監督はもともと「桜」に個人的な思い入れがあり、日本にいたのも…

映画「インサイダーズ/内部者たち(2015)」感想|アルバトロス!じゃねえよ

劇中いちしょうもない台詞をサブタイトルにしました。「モヒートでモルディブ」とも迷ったけど、やっぱこっちだろうな。あの“接待ゴルフ”嫌すぎるでしょ。完全フィクションであることを祈る。というわけで『インサイダーズ/内部者たち』という韓国映画を観…

音声ガイド付きで映画「音響ハウス」「ようこそ映画音響の世界へ」 を鑑賞 〜バリアフリー映画館シネマ・チュプキさんの取り組みについて〜

JR田端駅近くのバリアフリー映画館シネマ・チュプキ・タバタさんにて、『音響ハウス』と『ようこそ映画音響の世界へ』のドキュメンタリー映画2本を音声ガイド付きで観てきました。 先日『愛がなんだ』を観た際に映画のバリアフリー化に興味を持ち、シネマ・…

イラン映画「ジャスト6.5 闘いの証(2019)」感想|穴と犬と、ペルシア語の語感が最高

イラン映画(!)の『ジャスト6.5 闘いの証』を観てきました。本作は2019年の東京国際映画祭で最優秀監督賞ほかを受賞しており、この度正式に日本で配給されたかたちです。 掴みはかなり良かった! 特に序盤の2案件が最高だったのでさわりだけ書いておきまし…

映画「愛がなんだ(2019)」感想|成田凌のダメなところが愛おしい。ていうかみんな愛おしい。

今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』を観ました。朝ドラ『おちょやん』で成田凌さんのひょうひょうとしたキャラクターと塩顔に惚れ込んでしまい、成田凌成分摂取してえ〜〜〜と思ったことが鑑賞動機その1。 その2は、ラジオ番組『アフター6ジャンクション』で2…

映画「殺されたミンジュ(2014)」感想|2時間たっぷり耳野郎&マ・ドンソク

キム・ギドク監督の『殺されたミンジュ』を観ました。本作のポイントはふたつ。まず、ドラマ『愛の不時着』ファンの人なら愛さずにはいられない「耳野郎」ことキム・ヨンミンさんが主演! それから「マブリー」ことマ・ドンソクさんも主演! もとは「耳野郎…

映画「天国にちがいない(2019)」感想|小鳥をどかすシーンだけで永遠に見ていられる

アップリンク吉祥寺にて、映画『天国にちがいない』を観ました。デザイナーの大島依提亜さん(本作のパンフレットも担当)がTwitterでおすすめしているのを見て、これは観に行こうと思っていた作品です。 エリア・スレイマン監督『天国にちがいない』デザイ…

映画「哀しき獣(2010)」感想|牛骨バトルが夢に出そう

『チェイサー(2008)』『哭声/コクソン(2016)』のナ・ホンジン監督作品『哀しき獣』を観ました。ナ・ホンジン監督はこの3本しか長編を撮っていないので、一応コンプリートです。 主演はハ・ジョンウとキム・ユンソク。前作『チェイサー』の主演ふたりで…

映画「ミスミソウ(2018)」感想|白銀のB級スプラッタ

同名コミックを原作とした映画『ミスミソウ』を観ました。悪質ないじめの果てに家族をも失った女子中学生が復讐者と化していく物語です。ずっとマイリストの底に沈んではいたのですが、ふいにAmazonが「観ない?」と通知してきたのでじゃあ観ようかなと。 ミ…

映画「サイコキネシス -念力-(2018)」感想|超能力おじさんコメディ、しかしやはり背景には負の韓国現代史が。

『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』『新感染半島 ファイナル・ステージ(2020)』などのヨン・サンホ監督によるNetflix映画『サイコキネシス -念力-』を観ました。 主演はシム・ウンギョンさんとリュ・スンリョンさん。シム・ウンギョンさんは最…

映画「ポエトリー アグネスの詩(2010)」感想|重くてやるせない、ハードコアおばあちゃん映画

イ・チャンドン監督の作品『ポエトリー アグネスの詩(うた)』を観ました。タイトルにでかでかと出た「시」に「……し??」と思わず首を傾げ、続けて出た「詩」で「し!!」と膝を打ったハングル覚えたてのわたしです。なんの話かというと原題は「시(詩)」…

映画「私の少女(2014)」感想|ぺ・ドゥナ主演、イ・チャンドン監督プロデュースのシリアスな作品

『子猫をお願い(2001)』に引き続き、ぺ・ドゥナさん主演の韓国映画『私の少女』を観ました。ユリイカ「韓国映画の最前線」特集号で監督のインタビューが組まれていたことから知った作品です。 ユリイカ 2020年5月号 特集=韓国映画の最前線 ―イ・チャンドン…

映画「チャンシルさんには福が多いね(2019)」感想|何も起こらないのが嬉しい(耳野郎も出てます)

公開されたばかりの韓国映画『チャンシルさんには福が多いね』を劇場鑑賞しました。ポスターからなんとなく『おらおらでひとりいぐも(2020)』みたいな、おばあちゃんが主役の話なのかなと思い込んでいたんですけども、これがじつはアラフォー独身女性のお…

映画「分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶(2019)」感想|分断のわけ、統一への課題点。100年分の朝鮮近代史を2時間でさらうドキュメンタリー

渋谷シアター・イメージフォーラムにて『分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶』を観てきました。先日『バクラウ 地図から消された村(2019)』を観に行った際に予告を観て、これは!と思っていた作品です。 内容はタイトルそのままのドキュメンタリーで、監督は…

映画「嘆きのピエタ(2012)」感想|残念ながら、こういう映画は好きです。

キム・ギドク監督の作品『嘆きのピエタ』を観ました。前の日には『トガニ 幼き瞳の告発(2011)』で心を痛めていたというのに、翌日観るのがよりによってこれかよ、と後悔しました(時間がなくて、短尺の作品しか選べなかったんや……)。 新型コロナウイルス…

映画「トガニ 幼き瞳の告発(2011)」感想|公開後に司法をも動かした、社会派韓国映画ひとつの頂点。

韓国映画『トガニ 幼き瞳の告発』を観ました。ずっと観たかったこの作品、なんといっても『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』『82年生まれ、キム・ジヨン(2019)』へと続いていくコン・ユ×チョン・ユミの初共演作なのです。が、そのわりには流通し…

映画「バクラウ 地図から消された村(2019)」感想|何が起こっているのか全く見えてこない系の映画が好きな人は絶対好き系

渋谷シアター・イメージフォーラムにて映画『バクラウ 地図から消された村』を観てきました。1本前の『ブルータル・ジャスティス(2018)』と同じくこちらも「アトロク」ことTBSラジオ「アフター6ジャンクション」内で特に最近話題の作品。アトロクがなかっ…

映画「ブルータル・ジャスティス(2018)」感想|タランティーノ的おしゃべり地味バイオレンス映画

S・クレイグ・ザラー監督の『ブルータル・ジャスティス』を観ました。「アトロク」ことTBSラジオ「アフター6ジャンクション」リスナーの方ならすっかりお馴染み、ライムスター宇多丸さん山本匠晃アナウンサーはじめ番組関係者さんたちが2020年ハマりまくった…

映画「燃ゆる女の肖像(2019)」雑感|記憶スケッチから始まる刹那な恋物語

年内滑り込みで『燃ゆる女の肖像』を劇場鑑賞してきました。正直そんなに興味ないかな〜と思っていたのですが、ライムスター宇多丸さんがあまりにも絶賛しているものでチョロい宇多丸チルドレンあっさり折れました。 結論は、とても良かったです。これこそ映…

映画「チスル(2012)」雑感|韓国現代史のタブー“済州島四・三事件”を描いた作品

韓国映画『チスル』を観ました。「済州島四・三事件」という負の歴史を描いた作品で、この事件は第二次世界大戦終結後の分断された朝鮮半島において1948年4月から長期にわたり続いた「アカ狩り(と称した無差別な大量虐殺)」のことを指します。 済州島は南…