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映画感想「百年と希望」「ゆめパのじかん」「さとにきたらええやん」|チュプキ9月前半鑑賞メモ

映画「百年と希望」「ゆめパのじかん」「さとにきたらええやん」フライヤー

2週間も開いてしまいました。生きてはいます、353です。さらに言うと映画自体は前回の投稿から20本くらい観ています、353です。

というわけで、まずは2週間前に観たやつ、2022年9月前半のシネマ・チュプキ・タバタ鑑賞メモです。いずれもドキュメンタリーで、『百年と希望』『ゆめパのじかん』『さとにきたらええやん』の3本について書いてゆきます。

『百年と希望(2022)

日本共産党の活動を捉えたドキュメンタリー。一応補足しておくとプロパガンダ映画の類ではなく、あくまで外部からの目線で制作された作品です。などと一言添えてしまいたくなるほど、「共産」という赤い字面の持つネガティブイメージは計り知れません。

ただ、昨今これ経験されてる方多いと思うのですが、選挙前に各政党を調べていると日本共産党が上位にマッチングされがち、みたいな。え〜〜共産党なの〜〜、みたいな。

でも実際のところはその党名が邪魔をしているだけで、党や候補者が掲げているものはきわめてまっとうな、時代に合っているものだったりするのですよね。「今」の日本共産党って、どんな党なの? そういうドキュメンタリーです。

最近だと連作ドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか(2020)』『香川1区(2022)』なども記憶に新しいところですが、政治家の物語っていうのはまず単純に面白いです。本作では何人かの議員にスポットが当たります。マイホームタウン町田で盛んに演説をする都議会議員・池川友一さんはわたし的に掴み抜群。ジェーン・スーさん似の前衆議院議員・池内さおりさんも主役として魅力的です。

日本共産党の財政の8割を支えているという「しんぶん赤旗」編集部の場面はジャーナリストのお仕事ものとして楽しめましたし、池内さんのパートでは歌舞伎町の夜回りをされている団体のことなども初めて知ることができました。政治とかよくわかんないけどこの人の言っていることはまっとうな気がする、とサポーターが増えていく様は、すごく共感できました。

そんな感じで、とても得るものの多いドキュメンタリー。「え〜〜」と思う気持ちも多少なりあるかもしれませんけども、「とりあえず観てみる」のがおすすめです。


一連のツイート、写真担当してます。チュプキでは西原孝至監督の過去作『もうろうをいきる』を10/1(土)から上映!

『ゆめパのじかん(2022)

こちらは次に紹介する『さとにきたらええやん』の重江良樹監督の最新作。『さと〜』は未見で、先にこっちを観ました。

「ゆめパ」とは、川崎にある「川崎市子ども夢パーク」の通称。「川崎市子どもの権利に関する条例」をもとに作られた公設民営の施設です。不登校の子どもたちなどが人生にワンクッション置けるような、そんな場所になっています。

「教育の新しいかたち」みたいなドキュメンタリー映画って最近すごく多くて、あんまりそればっか観ててもな、子どもでも親でもないし、とか正直思っていたのですけど、実際観てみるとそれなりに得るもの考えさせられることはあって、観ないよりは絶対よかったなあと。大工志望の子とか、「鳥」の子とか、すごいもん。こういう場所があったら今のわたしだって行きたいですね。まあチュプキとかが、それにあたるのかもですが。

で、「こういう場所」の、重江監督的「原点」が『さとにきたらええやん』です。逆の順番で観ました。

『さとにきたらええやん(2015)

こちらはですね、大阪市西成区釜ヶ崎というエリアにある施設「こどもの里」が舞台です。西成って、映画『さがす(2022)』でも舞台となっていたところですね。日雇い労働者の街。

好みで言うと、わたしは断然こっちがフィットする映画でした。このカオス感、最高。『ラプソディ オブ colors(2020)』を思い出しました。


親も子どもも、一杯一杯な人がいっぱいいて。「あかん、もう手ぇ上げてしまいそうやから一晩預かって」みたいな、アンガーマネジメントのために必要な「他人」というか、この「こどもの里」のおかげで不幸を回避した家族がどれだけいるのだろうと。

「さと」に住むとある少女の成長譚とか、労働者の街にどしんと響くSHINGO★西成のラップとか、「デメキン」の厳しくも優しい眼差しとか、あとそう、ここでも「夜回り」とか。『LOVE LIFE(2022)』にも夜回り出てきたし、ここんとこ映画で夜回りをずっと見ている気がする。

書いててもため息出ちゃうくらい、いい映画でした。いい映画っていうのも違うかもしれないけど。いい場所でした。本作の反響を受けて作られたのが『ゆめパのじかん』だそうです。西成以外にもあるんだよ、こういう場所。もっと増えてほしいな、こういう場所。っていう。


一連のツイート、写真とレポート担当してます。

以上、本当は2週間前に書きたかった感想でした。チュプキでは終わりましたが、まだいろんなところでやってます! ぜひお近くの上映館を探してみてくださいませ〜。

(2022年157・159・160本目/劇場鑑賞)