時間がないぜシリーズその2、こちらは2022年7月後半のシネマ・チュプキ鑑賞メモ。『ハンナ・アーレント(2012)』と『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性(2012)』を観ました。
1本目『ハンナ・アーレント』。先月から続いていた「ありがとう岩波ホール」特集上映、最後の作品となります。ドイツ系ユダヤ人の哲学者ハンナ・アーレントがナチス戦犯アイヒマンの裁判に関する記事を書いたらめっちゃ炎上して--みたいな話を、すごーく噛みごたえのある映画に仕上げたものです。
主人公のハンナを筆頭に、頭のいい人たちの小気味よい会話が飛び交う映画で、まずそこが好きでした。「友人としてはいい、だが思想お前はだめだ」みたいな、バチバチの議論はするけどハグして別れるような切り替えもよかったですね。最終的には切ないんですが。
後半の炎上案件で、「理解しようとすること」と「擁護すること」「批判しないこと」は別、みたいな話があって。先日TBSラジオの選挙特番でコメンテーターの「解せないですね」という発言が炎上してて、その時は「そんな燃えるもんなの」と思ってたんですけど、今回観ていて、ああ「理解できない」と言ってしまう批判は思考停止なんだな、と。そんな気付き?学び?もあったりしました。
おすすめポイントとしては、タバコが美味しそう。映画の中のタバコってなんであんなに魅力なのかしらん(わたしは一度も吸ったことがありません)。それから、締め切りに追われたライターさんの話なので、書かなきゃいけないものが溜まっている人におすすめです。やる気が出ます。と言いつつ本作の感想書きは一週間以上溜めたわけですが。
2本目は『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』。こちらは、制作は2012年ですけど日本での劇場公開は今年、ってことみたいですね。そのタイトルの通り、ハリウッドで数多のキャスティングを手掛けてきた「キャスティング・ディレクター」というポストの女性たちにスポットを当てた作品です。
このキャストもこの人が?! このキャストも?! みたいな、観たら誰かに話したくなる、映画好きならたまらない超楽しい内容なのですが、この「キャスティング・ディレクター」の人たちはどうも軽んじられる、アカデミー賞にも部門がない(2019年にようやく新設)、いわゆる「Hidden Figures」だということで、それは本当によくない。
まあ何はともあれご覧ください、な作品です。おもしろかったのは、ウディ・アレンがキャスティング苦手すぎて「自分じゃとても選べないからすごい助かってるんだ」みたいなこと言ってたり(やっぱ憎めないのよこの人は)、『ヤング・ゼネレーション(1979)』にまつわるエピソードだったり。
2本ともシネマ・チュプキにて7/31(日)まで観れます! 『キャスティング・ディレクター』はチュプキ特製の音声ガイドと字幕朗読(吹替)がかなり楽しいことになっているのでマストで聴いていただきたい。イヤホン貸し出ししてます、ぜひ!
以上、さくっと2本分でした。あ、あとチュプキ、現在クラウドファンディングやっております。ありがたいことに220万円を超えたあたりですが、目標金額はまだまだ遠い600万円……! 今後これがないと映画業界で生き残っていけないかもしれない上映システムDCPの導入と、チュプキ製作のドキュメンタリー映画公開拡大に向けて、ご一読・ご支援いただければ幸いです。
(2022年120・121本目/劇場鑑賞)
最近チュプキのほうは動画制作班であれこれ動いておりますので、公式Twitterなどチェックしていただき、あ、なんか動画上がってんなとか思ったらそれはわたしかもしれません。
🎥黒板アートができるまで🎥#ハンナ・アーレント 編
— Cinema Chupki(チュプキ)◆クラファン実施中◆ (@cinemachupki) July 26, 2022
作:#水口マネージャー(@mizuguchisanten)
「考えることで、人間は強くなる」
アーレントの眼差しに滲むもの
2回夜が明けていく制作の模様を、超早送りでどうぞ!
上映は7/31迄 https://t.co/7JopoFLADw
7/29に幕を閉じる岩波ホールへ敬意を込めて pic.twitter.com/D8z3mwRsZE
直近ではこの『ハンナ・アーレント』の「黒板アート(近頃のチュプキ名物です)」早送り動画など作りました。来月はもっといっぱい色々出ます。何卒よろしくお願いいたします〜。