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主に映画の感想文を書いています

チュプキで観た「プロメア」と「劇場版SAO オーディナル・スケール」と、ダメ押しでクラファンの話。

映画「SAOオーディナルスケール」と「プロメア」のポスター

シネマ・チュプキにて、滑り込みで劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-『プロメア』を観てきました。ひとつひとつじっくり書けるくらい両方とも良かったのですけど、スピード感重視の(しかし文字は無駄に多い)2本立て感想で今回は書きたい、なんとなく。

劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-(2017)

『SAO』こと『ソードアート・オンライン』シリーズに足を踏み入れてみましたよという話は先日書いたので省略しつつ、その際の『プログレッシブ 星なき夜のアリア(2021)』から遡るかたちで今回は劇場版第一作のオーディナル・スケールを鑑賞しました。


映画「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」ポスター
映画「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」ポスター


『星なき夜のアリア』は視点を変えた描き直しだったので予備知識なしでも問題なさそうですが、本作はテレビアニメ版第一期を最後まで観ていないと苦しいかもしれません(ネタバレすごいし)。ただ、そのぶん非常に深い物語になっていたと思います。満足度めちゃくちゃ高かったです。よくできてる。おもしろい。

日常とAR世界とVR世界(のさらに2つのゲーム世界)を行き来して結構複雑かつエモーショナルな物語を組み上げ、それでいてクライマックスは王道エンタメな「スタジアム」っていうバランス。本当によくできてます。おもしろい。

一応ざっくり劇中の世界観を説明しておくと、テレビアニメ第一期で描かれる「SAO事件」の煽りもあって、完全没入型で危ないVRよりも現実に片足置けるARのほうがシェアを伸ばしてるっていう風潮。「オーグマー」と呼ばれるシンプルなARデバイススマホくらい普及してます。VR老人会のキリトさんだけは「俺はARはちょっとな〜」とか言っちゃってるんですけど。

ま、そんななかで、この「ARの爆発的普及」にはじつは何やらきな臭いものが関係していそうだぞということになっていく話です。

見どころのひとつは、ARなことを活かした「東京映画」っぷり。日々のクエストはあらゆる「都内某所」をステージとするため、馴染みのある場所がいっぱい出てきます。これびっくりしたんですけど、商標や固有名詞の多くがそのまま登場したり、新国立競技場(ただしザハ案に近いデザイン)が登場したり、シネマサンシャイン池袋が登場したり、いつぞやわたしが『天気の子(2019)』の見どころです!なんて書いてた要素を2年も早く出してるんですよね。SAOパイセンごめんなさい。

それから神田沙也加さんがゲスト声優として起用されていること。役どころも相まって(ていうかこういう「奇しくも」ってしばしば起きてしまうんだよねと思いますが)沁みましたよ。あの一件、個人的にすごくショッキングだったので今回観るのも少し不安だったんですけど、まあなんか、生きてるなって感じしたので結果よかったのかなと。ちなみにもう一人のゲスト声優は井上芳雄さん。まったく気付かなんだ。

それにしても、あの、あらためて、キリトとアスナの関係ってやけに生々しくてですね。高校生だけど「結婚」してて「子供」もいる感じ。「パパ」って呼ばれてる感じ。ものすげえムズムズすんの。そこが魅力だとも思うけど。あ〜〜なんか、なんか!! って感じ。う〜〜、かゆい。



『プロメア(2019)

はい、続きまして『プロメア』です。これチュプキでは何度も上映しているそうで、日本語字幕と音声ガイド付き(ここでしか聴けない、新谷真弓さんのナレーションによるもの。なお『SAOオーディナル・スケール』も戸松遥さんナレーションの音声ガイド付き。どちらガイド制作はチュプキ元支配人の和田浩章さん)、かつ轟音爆音のチュプキオリジナル上映形態が「チュプメア」などと呼ばれ毎回ご好評いただいているようです。わたしの行った日も見事に満員御礼でした。


映画「プロメア」ポスター
映画「プロメア」ポスター


で、わたしはといえば初見だったのですが、公開当時Twitterですごく話題になっていたのは記憶にあって。要旨としては「ブッ飛んだアニメ」だと。そういうの好きそうだな〜と思いつつ、カルチャー守備圏外な感覚があって観なかったのですよね。なので今回「お噂はかねがね」という顔で初対面させていただいたのですけども。

ええ、これは、間違いなく好きでしたね。ただひたすらにスタイリッシュで、でもカロリー超高くて、もうはじめから終わりまでフルスロットルで、おまけにチュプキの音響もエグいので物理的に全身痺れちゃって、観終わって一目散にチュプキ出て行って自販機で甘々缶コーヒー買って戻ってくるぐらいの疲労困憊満身創痍映画体験でしたよ。二日経った今でも、あの激辛坦々麺また食べたいな……みたいな気持ちになってる。これがプロメアか。

好きなポイントとか一瞬で通り過ぎていくので捉えられないんですけど、メカデザインが全体的にツボでブチ上がりまくりだったのは大きいです。第一印象は『サンダーバード』なんだよな〜と思ってたら実際コンセプトの大元はそこらしい。あの重心低い消防車とか番号付きコンテナとか、絶対そうだよね〜〜。あと空飛ぶ四駆も超好きで。かっこがよすぎる。方舟のデザインも大長編ドラ『宇宙開拓史』とか『宇宙小戦争』に出てきそうな藤子Fメカニック感でたまらん。

んでまあ諸々ブッ飛びつつも、お話のテーマは案外しっかりしてて、見た感じしっちゃかめっちゃかなのだけどコアの部分は冷静で、速すぎて止まって見えるみたいな感じがありましたね。キュルルルル〜〜〜〜って早回しされてる中で、根幹だけはブレずに見えてる。そんな感じ。

あ、一応、消防士さんのお話です(そうだったんか!!!って驚いた)。我ブッ飛んだ映画好き、と自覚のある方はぜひご覧ください。チュプキの破天荒チュプメアはあいにく終了してしまいましたので、おうちでご鑑賞の際は、ヘッドフォンなどなるべく大音量を出せる環境でご覧になるのがよろしいかと思います。


(2022年148・149本目/劇場鑑賞)

クラファンの話がしたい

最後の最後に、もう24時間しか意味のないことを書いて終わりにしましょう。以前も少しだけご紹介しました、チュプキのクラウドファンディング。正確には、東京都北区・田端のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」の劇場存続に関わるクラウドファンディング、いよいよ8/31(水)が最終日となります。

ありがたいことに当初の目標金額600万円は達成いたしまして、現在はいわゆる「ストレッチゴール」の900万円を目指しているところでございます。この記事を書いている時点でコレクター677名様、ご支援金額はなんと798万円。これはもしかして……???

明日はわたしも仕事後にチュプキへ駆けつけて、サライの準備をしながらラストスパートのカウントダウン生配信に参加する予定です。ご興味ある方はチュプキのTwitterアカウントなどチェックしていただければと思います。

一日前にこれを書くなよという感じではありますが、書かないのもそれはそれで後悔しそうなので。何卒応援よろしくお願いいたします。


チュプキ外観
座席数20のマイクロミニシアター・チュプキ外観。この場所を、守りたい。