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主に映画の感想文を書いています

サム・ライミ版「スパイダーマン」全3作と「アメイジング・スパイダーマン」全2作の一気見感想

MCU最新作のスパイダーマンなんちゃらかんちゃらを楽しむため、過去のスパイダーマンシリーズをスピード履修中。サム・ライミ版の3本と、『アメイジングスパイダーマン』シリーズ2本の計5本を3日で一気見したので、ざっくばらんに鑑賞メモです。

なお最新作のやつはまだ観てないのでネタバレはございません。

まず1作目スパイダーマン(2002)。これだけは数年前に一度観ているのでさほど新鮮な感想はないものの、なんとなく今回のほうが面白く観れた気がする。あらためてあの逆さキスは名シーンだなあと思った。あとやっぱわたしキルスティン・ダンストが好きなので、その点から見ても死角なし。

登場ヴィランはグリーン・ゴブリン。めちゃくちゃダサくてびっくりした。こんなにダサかったっけ。クイーンズボロ橋で繰り広げられるクライマックスのバトルは、ルーズベルト・アイランド・トラムウェイの根元をあんな徹底的に破壊してたんだ!超迷惑!というのが今回の新たな気付き。

ちなみに前回観たときはニューヨーク旅行の「予習」として観ていた。

ここからは初見、スパイダーマン2(2004)。これはすごく良かった。所謂「いい2作目」というやつ。隠密系ヒーローゆえの、大切な人を思えば思うほど近寄れないという切なさが効いてる。ハリーとの三角関係もいい感じに拗れてきて、全体的に日本人が大好きなお話なんじゃないかなあと。最後の『卒業』はちょっとやりすぎ感あったけど、あんだけ取っ替え引っ替えでも魅力的に感じちゃうのがキルスティンMJの罪なとこ。

サブキャラの描き込みが丁寧なのもこのシリーズのいいところで、筆頭はメイおばさん。前作で未亡人となった彼女のその後をしっかり描き、悲劇的因果でピーターとも少しぎくしゃくさせる、その塩梅が繊細。「忘れなさい どんな水も流れすぎていくわ」っていう言葉がよかった。なお次作ではちゃんと宣言どおりアパートに引っ越している。ディテールが素晴らしい。

ヴィランはドクター・オクトパス。予告編に出てた人だ! スパイダーマンヴィラン基本的にみんなダサいけど、このひと(?)は唯一まともな気がする。メカ触手がよくできてる。

サム・ライミ版の最後、スパイダーマン3(2007)。前作からオープニングクレジットが「前回までのあらすじ」を兼ねているのがとても助かる。

一躍スターダムを駆け上り調子に乗ってからズドンと堕ちて自暴自棄になる、そんなハリウッドのダークサイド的な展開をブロードウェイ志向のMJじゃなくてピーターが辿るのはおもしろい。前髪下ろしたイキりピーターが見どころ。トビー・マグワイア、どっちに転んでもいい顔で、見れば見るほど愛着湧いちゃう。

MJとピーターの間に流れる倦怠感もよくて、険悪な別れ方したけどそれはそれとして心配だから来た、みたいな感じがすごく、たまらん。MJの落ち着いたファッションも素敵。ああいうときめいてない男女のヒリついた愛憎関係になぜか憧れてしまう。立て付けの悪いドア。

相変わらず三角関係もビシビシで、記憶喪失まで出てきたもんだからもはやこれは韓流ドラマなのではと思った。とはいえしっかり記憶は呼び覚まさせ、なおかつ終盤でまあまあ関係を修復してくれるのは後味が良い。

ヴィランキングコングみたいなサンドマンと、ヴェノム! ここで出てくるのか!(『ヴェノム』シリーズ未見)

続けて、アメイジングスパイダーマン(2012)アンドリュー・ガーフィールドのピーター、めちゃめちゃギークで全然違うのね。サム・ライミ版3作ですっかりトビー・マグワイアのピーターに愛着がついちゃったしと不安だったけど、これぐらい違うと逆に全くの別バースとして楽しめるのでよい。

もうひとつ驚いたのは、エマ・ストーンがMJじゃなかったこと。ヒロインは毎回MJだと思っていた。「グウェン・ステイシー」が『スパイダーマン3』で逆さキスのリバイバル(あの行動は理解できない)されてた彼女だと気付いたのは観賞後のことである。

いろいろ違いを楽しめたのはいいとして、全体的にはパッとしない出来だと感じた。サム・ライミ版と同じようなことをしている序盤なのに物語が全然動き出さないというか。実写版『アラジン(2019)』を観たときの気分を、今ふと思い出した。

からのアメイジングスパイダーマン2(2014)。これは俄然面白い! 前作で不満に感じた部分がオールクリアされたような、全てにおいて数段クオリティの上がった作品。アクション、コメディ、ロマンス、ドラマ、どれも文句なし。今日もエマ・ストーンは可愛い。そしてかっこいい。ヒロインが飾りじゃない立場になるのは嬉しい。

が、しかし、そっちの結末を選んだか……。なかなかに残酷。もっと痛快に終わってほしかった。それこそルーズベルト駅でズゴゴゴゴって線路割れたときめちゃめちゃテンション上がったんだから、あれぐらいの感じで最後までいってほしかった。別バースに期待するしかない。グウェンに、ピーターに幸あれ。

(追記:じわじわ納得いかなくなってきた。未来あるプロミシングヤングウーマンをあそこで退場させてしまうのは解せない。止めたのに社会進出しようとしたせいです、みたいに取られても仕方ないのでは。それはまあ言いがかりかもしれないけど、墓前のシーンはもうたくさん!)

今回のヴィランはエレクトロと、新世代型グリーン・ゴブリン。まさかあいつが戻ってくるとは。ハリー役の人が超好みな顔してると思ったら、『ヴァレリアン 千の惑星の救世主(2018)』でもわたしが大変気に入っていたデイン・デハーン氏であった。ああ〜〜いい顔。

以上、時間があればMCU版もざっと観直して、週末には噂の最新作を観たい。おやすみなさい。

(2022年7〜11本目/U-NEXT)



追記:満を持して『ノー・ウェイ・ホーム』観ました。