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映画「カンタ!ティモール(2012)」感想|東ティモールってどこ? 全く知らなかった日本との関わり

シネマ・チュプキ・タバタの開館5周年アンコール上映で、ドキュメンタリー映画『カンタ!ティモールを観ました。


映画「カンタ!ティモール」ポスター
映画「カンタ!ティモール」ポスター


東ティモールについて扱った作品なのですが、東ティモールのことをわたしは何も知りません。地理にめっぽう弱いので、オーストラリアの真上にあるだなんて思いもしませんでした。オーストラリアなら一度行ったことがあります。いきなり身近に感じます。

とにもかくにも何も知らない東ティモールのことを何かしら学んで帰ろうと観始めたわたしに「居心地の悪さ」が容赦なく降りかかってきました。

東ティモール第二次世界大戦中の日本含めさまざまな国に占領されてきた過去を持ちますが、なかでも1970年代から四半世紀にわたるインドネシアによる圧制は非人道的なもので、20万人前後の住民が迫害等で命を奪われたのだそうです。

そして何が居心地悪いって、その当時インドネシア側に多額の経済的援助をしていたのは日本だったのです。国連が反対し諸外国が援助を打ち切っても、(東西冷戦下、米国の同盟国としての)日本がその穴埋めをしたことで、間接的しかし結果的に東ティモールの人々は苦しみ続けることになったと言えるわけです。

この感覚は、例えば『分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶(2019)』を興味本位の軽い気持ちで観始めたらいきなり日本統治下・朝鮮における我が国の愚行を見せられ恥じ入るばかり……というあの気持ちとよく似ています。無知は罪である、とはこういうときに使う言葉なのでしょう。

現在日本と東ティモールは良好な協力関係を築いているそうですが、あちらが「過去は過去」としてくれたからといってこちらまで「過去は過去」としてはいけないわけで、創氏改名を知らないまま「日本語お上手ですね」なんて韓国のお年寄りに言ってはいけないわけで、つくづく学ばないといかんなあと思わされるのでありました。

この映画を作られた広田奈津子監督が当時まだ23歳だったというのも驚愕かつ、同時にやはり恥ずかしい気持ちです。わたしの23歳なんて本当に何一つ真剣に考えていない頃ですから。歴史とか1ミリも興味ないわって頃ですから。当時の監督よりひとまわり上になってしまいましたが、遅まきながら勉強させていただいております。

参考:Embassy of Japan in Timor-Leste外務省: わかる!国際情勢 Vol.36 21世紀初の独立国、東ティモールの現状と課題東ティモール | 各国における取り組み - JICA日本人と東ティモール人は、けっこうすごい!(PDF)

(2021年161本目)

こちらの本のご著者であり本作には監修としてクレジットされている報道写真記者の南島風渉(はえじま・わたる)さんによる舞台挨拶を併せて拝見しました。報道記者といえど東ティモールとの出会いはあくまで「若気の至りな好奇心から」だったことを最初に話してくださり、短いながらとても引き込まれるトークでした。

変えたいという気持ちが本当に国を世界を動かしてしまう、そんな綺麗事みたいなことが時には起こりうること。しかもそれを頑なな「非武装」で実現してしまった東ティモールという小国のこと。もっと知りたいと思いました。

そうそう、チュプキにて限定販売していた東ティモールのコーヒー、おいしかったです。