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「死霊館」シリーズのスピンオフ作品5本を一気に観た

ジェームズ・ワン監督率いる『死霊館』シリーズにどハマりしてしまったので、スピンオフ含む死霊館ユニバース」の全8作品を一気見しました。本編3作品を除いた5作品について簡単に感想を書きます。

なお、いきなりハマった理由と本編3作品のほうの感想(主に3作目の感想)はこちらからどうぞ。


感想は公開順に書いていますが、目次のリンクは時系列順にしておきます。

アナベル 死霊館の人形(2014)

サムネが怖い。ごめんなさい。時系列的には『死霊館(2013)』の手前にくる作品。『死霊館』と同じエピソードで始まり、件の「アナベル人形」がウォーレン家の地下室に来る前どんなことをやらかしていたのか見ることができる。お人形ホラーは得意じゃないので覚悟していたが、思いのほかドラマ強めで好みな塩梅だった。

見どころは時代設定。1970年の話ということで、冒頭からシャロン・テート事件が出てくる。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)』でも扱われた、マンソン・ファミリーによる事件。本作においても主人公女性はシャロン・テート同様ブロンドの妊婦で、劇中最初に起こる事件はまごうことなきそれである。

ちなみに最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021)』にも、かつてカルト教団の事件を担当していたという神父が出てくる。81年設定で「12年前」と言っているので、69年のシャロン・テート事件を真っ先に連想した。そんな記憶も新しいところでの本作、『ワンス〜』公開時にマンソン・ファミリーのことを調べまくった身としては非常におもしろく観た。

アナベル 死霊人形の誕生(2017)

時系列的には『アナベル 死霊館の人形(2014)』の前にくる作品。「アナベル人形」の生みの親が登場。ざっくり言えば『アナベル 死霊館の人形』で若い夫婦のもとに中古のアナベル人形がやってくる手前の話、なのだがそれ以上に思いのほかエグい繋がりを持っている。

舞台は人里離れた邸宅。娘を事故で亡くした夫婦(旦那さんはアナベル人形の作者である)がひっそりと暮らしているその家に、孤児院の娘たちが何人も引き取られてくる。で、案の定えらい目にあう。神も仏もない。『ストレンジャー・シングス』s1あたりのミリー・ボビー・ブラウンによく似た主人公少女が可愛くて、どうか幸せになってくれと願いながら観ていたのだけど、最後まで観ると行く末が残酷すぎて正直引いた。『死霊館』シリーズなら、もうちょっと希望があるべきでは……?

あと単純にずっと怖い。頼れる人間がいない館、しんどい。わたし的にはシリーズ中いちばん苦手な怖さの作品であった。(あと何故かこれだけPrime会員特典になってない。Netflixにあります)

死霊館のシスター(2018)

時系列では最初にくる作品。『死霊館 エンフィールド事件(2016)』にシスター姿の悪魔が登場するが、そのルーツを描いている。主な舞台は1950年代の修道院Amazonのレビューに「修道院にシスターが出てきても別に怖くない」みたいなのがあってじわじわきた。確かにそうかもしれないけど、天ラブみたいな濃ゆい顔のシスターが突然出てくると悪魔じゃなくても怖い。

見どころはこちら側のシスター・アイリーン。白い修道服に身を包む見習い尼僧で、演じているのはなんとウォーレン夫人役ヴェラ・ファーミガさんの実妹タイッサ・ファーミガさん。端的に言って可愛い。彼女のおかげで見ていられる。つまり、映画的に面白いかと言えば首を傾げる出来。男たちは全然役に立たないし。なお最後まで観ると『死霊館』との繋がりもあったりする。お前かよ、ってなる。

ラ・ヨローナ〜泣く女〜(2019)

ほぼほぼ独立した話だが、時系列では『アナベル 死霊博物館(2019)』と『死霊館 エンフィールド事件』の間に位置しているらしい。ここまではスピンオフということでウォーレン夫妻的な頼れる人がおらずそれも怖さ増長の要因だったのだけど、今回はついに専門家が登場! ちょっと安心!(ウォーレン夫妻はバチカンルートで承認に時間がかかるためご登場ならず)

メインキャストはリンダ・カーデリーニさん演じるシングルマザーとその子供たちで、みんなとても好演している。ケースワーカーとして児童虐待の調査に行ったら……という導入部はなかなか設定が凝っていると思う。『アナベル 死霊館の人形』でえらい目にあった神父さんが再登場するのも嬉しい(よき理解者、大事)。

ちなみに『ラ・ヨローナ〜彷徨う女〜(2018)』という似て非なるグアテマラ映画がある(東京国際映画祭でかかってなかったっけ……と調べたらこっちだった)。ベースとなっている中南米の怪談「ラ・ヨローナ伝説」は同じものだそう。

アナベル 死霊博物館(2019)

時系列的には『死霊館』冒頭部(執拗に使われ続ける「人形を引き取る」場面)の直後、アナベル人形がウォーレン家の「死霊博物館」に収蔵される記念すべき瞬間をまず描き、そのままウォーレン夫妻の娘ジュディを中心とするお留守番ホームアローンないしはナイトミュージアムへと展開していく。

これ、スピンオフシリーズと思って観るとかなりお得な作品。というのも、まずウォーレン夫妻がしっかり出演している。お留守番エピソードなのでウォーレン家の内部も今までになく味わい尽くすことができる。そして両親の血を存分に受け継いだ愛娘ジュディ! 子供&若者しか出てこないのに、ジュディがしっかり専門家の役割を果たしてくれる心強さ! ラストの解決法もなるほどねというニンマリ感。

最後の最後では大変ハートウォーミングな展開も待っており、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』と同じくらい涙した。いい話すぎる。ずるい。きわめつけに、どうやらこの作品は2019年に亡くなった本物のウォーレン夫人へ捧げたものらしい。そんなのもう、だめに決まってるじゃん(涙腺)。

「死霊館」シリーズの、主役かといえば主役じゃないのかもしれないけど居てくれないと不安で仕方ない頼れるふたり、ウォーレン夫妻。
死霊館」シリーズの、主役かといえば主役じゃないのかもしれないけど居てくれないと不安で仕方ない頼れるふたり、ウォーレン夫妻。

以上、たいへん楽しませていただきました。ホラーは決して得意じゃないはずのわたしが、まさか死霊館なんて悪趣味っぽいタイトルを8作も、それも嬉々として観ることになるなんて。わからないものです。観終わっちゃって寂しい。

(2021年191,192,196-198本目/PrimeVideo,Netflix ジェームズ・ワン最新作『マリグナント』には、『アナベル 死霊館の人形』主役のアナベル・ウォーリスさん、そして『アナベル 死霊博物館』で頼れるジュディ・ウォーレンを見事に演じたマッケナ・グレイスさんが出てます! 死霊館ロスなあなたに。