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主に映画の感想文を書いています

「最後まで行く」「M3GAN ミーガン」、2回目の「ウーマン・トーキング」のはなし。

ポスターのコラージュ画像

TOHOシネマズ日比谷の宝塚劇場下、本館、シャンテをはしごした或る一日の記録。『最後まで行く』『M3GAN ミーガン』、2回目の『ウーマン・トーキング 私たちの選択』を観ました。

『最後まで行く(2023)

誤って人を轢き殺してしまった主人公の刑事が、なんとか隠し通そうと必死こけばこくほどドツボにハマってしまう物語。オリジナルは超メジャーな韓国映画ですが、韓国映画好きなくせになんとなーく観る機会を逸していた作品で。このたびムービーウォッチメン宇多丸さんが絶賛していたこともあり、加えてかの傑作リメイク『見えない目撃者(2019)』と同じプロデューサーだと聞いて、せっかくならオリジナル知らない状態で日本版から観ようかなと思ったのでした。

で、期待以上に面白かったです! 岡田准一さんの天性コメディキャラによる「やべえよやべえよやべえって!!!」の畳み掛けでぐいぐい引き込まれる序盤、綾野剛さんのサイコパスと暴力をこれでもかと堪能できる中盤、そしてどこまでも貪欲な終盤の盛り上がり! 「ここでエンドロールかな」と思ったところでまさかとどめの一発が来るなんて。あの崩れ切った二人の顔、清々しくて最高ですね。からの、かっこよすぎるタイトルの出かた。いやはや、お見事です。

岡田准一さんというと『ファブル』シリーズのようなギャグまみれだったらいやだなとか懸念があったのですけども、そこも塩梅よろしく杞憂で。奥さん役がジャストナウ渦中の人だったのは一瞬ヒリっとしたものを劇場内に感じましたが、映画の中のみならず人間いろいろありますからね。磯村勇斗さんはどっち向いても出てるなあ。それ言ったら柄本明さんもか。

見どころも本当にいっぱいあって。個人的に好きなのは「手形」のシーンの(んじゃさっきのは何ィィィィ)な顔芸と、これはオリジナルからの踏襲らしいですけど圧倒的絵力の「車の上からドッスーン」と、あとなんか、綾野剛さんパートでもう一度事故現場を俯瞰するシーンにおける「BTTF1終盤ローンパインモール(帰ってきたマーティ視点)」っぽさとかですね。パトカーに焦ってる感じとか、2回目はリビア人のワーゲンバスにしか見えなくて。絶対ささやかなオマージュだと思う。

てなわけで、めっちゃ満足な一本でした。オリジナルも観なきゃだけど、これは日本版のほうが好きな可能性大だな〜。

『M3GAN ミーガン(2023)

なんか、これは、好きそう、観なきゃ。と思っていたらジェイソン・ブラム×ジェームズ・ワンで、そりゃ鼻がきくわけですねー。先に結論、大好きなやつでした!! 脳汁めっちゃ出た。

ざっくりの筋は、不慮の事故で孤児となった姪を引き取ることになってしまった仕事一筋の技術者が、んなこと言ったってあたしゃ子育てはおろかケアのスキルも時間もないよということで自ら開発した少女型AIロボットに全てを託してみたら大変なことになっちゃった、みたいな、限りなく現代的なSFホラー。いや、SFでもホラーでもないのかな。心臓に悪いシーンは少ないので、わりと万人におすすめできます(控えめに犬は死にます)。

まず、導入シーンの「金曜ロードショーでやりそう」感からわくわくです。うわーこういう映画観たかったんだよーっていう、ジュラシックパークみたいな高揚感。そしてお待ちかねAIロボット「ミーガン」の絶妙なビジュアル。サンダーバードの人形、が近いかなあ。デフォルメされたコートが似合う感じもサンダーバード世界っぽいんですよね。黒コートミーガン、わたしの何かに刺さったよ。

熱く滾りまくってからの「え、なんで?」な最後の展開だけは正直まったく腑に落ちないんですけど、そこまでは100点。だからまあ、悪くても90点くらいの、『最後まで行く』に続いてとても満足度の高い、幸せな映画でした!

2回目の『ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022)

前回観たとき寝てしまって、そらあかんやろと後ろめたすぎた本作。アトロクでのサラ・ポーリー監督インタビューも聴いたうえで、もう一度観てきました。

最初こそまたうつらうつらとしてしまって、ああこりゃ本当に相性が悪いのかなと諦めかけたのですが、国勢調査が来たあたりからは完全に覚醒(知ってて見てもやっぱ衝撃的だもんな、あのシーン)。食い入るように、息を呑みながら観ることができました。

初見時はルーニー・マーラクレア・フォイを中心として見ていたのですけども、2回目で目がいったのはジェシー・バックリー。何を言ってもヒステリックに反応してくる彼女が今回はなぜかとても愛おしく思えたし、主人公に見えた。「次のコマで骨折して帰ってくる」みたいな漫画的とも言える展開もすごく好き。漫画的といえば娘ちゃんが飛び降りるとこも好き。

映像が暗く、1回だけだと人物の区別もなかなか付きづらかったりするので、その意味でもこれは2回観ることをおすすめしたいです。