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主に映画の感想文を書いています

「別れる決心」「モリコーネ 映画が恋した音楽家」ほか、2月に劇場鑑賞した新作の感想

記事中で紹介している5作品のポスタービジュアルを並べたもの

いつの間にか3月。「映画館の人」になったら映画が観れなくなった353です。覚悟はしていた、していたが! そんなわけで今年は「観た映画は必ず感想を書…けたらいいな」くらいのゆるモードで運用していくことになるのではないかな、と思っております。

さてさて、今回は2月に劇場鑑賞して書きそびれていた新作映画について簡単に感想を書いてゆきます。

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021)

2月1日、退職の翌日、退職旅の出発前に観た一本。わたしモリコーネはとにかく『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の音楽が好きでして、一番好きな映画音楽は?と問われたら即答です。じつは昨年11月の「エンニオ・モリコーネ『オフィシャル・コンサート・セレブレーション』」にも行っていたくらい。

とはいえモリコーネのキャリア全体を追っているわけではなかったので、このドキュメンタリーはとてもおもしろく観ることができました。特にキャリア初期、「編曲家モリコーネ」の話がめちゃくちゃ面白い。キャッチーなイントロ作らせたらピカイチ!とか、知らなんだ〜。

157分と、少し長めのドキュメンタリーではあるのですが、数多くの作品を経て、満を持して『ワンス〜』や代表作たちへ辿り着く感慨深さは尺に余裕があるからこそ。淡々とした音楽ドキュメンタリーなのに、えらく泣いてしまいました、はい。

2点ほど難をつけるとするならば、まず、9.11のレクイエム的楽曲のパートで、ショッキングな映像(人が落ちていく映像など)が前触れなく結構な分量流れること。もうひとつは、ジュゼッペ・トルナトーレが監督しているからなのか、『ニュー・シネマ・パラダイス』のパートが一瞬で終わること(笑) 謙遜なのかもしれませんがそこは客観的視点で編集してください!

非常宣言(2022)

ソン・ガンホイ・ビョンホンチョン・ドヨンという超絶スーパースターたちが共演している韓国フライトパニックもの。なんですかこの顔ぶれは。しかも、みんな見事にオーラを消しているのがすごい。韓国のスター俳優さんたちって映画の中ではオーラ消せる人が多い気がします。

フライトパニックものではあるものの、その原因はバイオテロにあり。感染力の高いウイルスを機内に持ち込んだテロ犯により、ホノルル行き国際便の乗客が次々と感染・死亡していく阿鼻叫喚。感染拡大の段階で機内における分断が生じるのは当然のこと、さらにはどの国も緊急着陸を受け入れてくれなかったり、自国韓国からもハシゴを外されてしまったり。

そう、つまり、言うまでもなくアフターコロナの「嫌というほど実感を伴う」パニック映画になっています。受け入れ拒否をする国には日本も含まれ、もしかしてあからさまな嫌日?とヒリつく場面も。しかしその後に韓国もだいぶ残酷なハシゴ外しをしていく様が描かれ、バランスが取られています。

エンドロールのつづき(2021)

インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』かな?という感じで宣伝されていたインド映画。確かに最初のうちは『ニュー・シネマ〜』なのですが(少年と映写技師の交流、みたいな)、途中からだいぶ変わってきます。主人公の少年が映写機をDIYする展開は意外&おもしろだし、終盤の映画的跳躍にも驚かされる!

一言でいえば「光をくれる映画」なので、何かちょっと背中を押してもらいたいときに観るのがすごくいいと思います。あと、劇中に登場する「お母さんの料理」があれもこれもすべておいしそうすぎるので、あんまり空腹状態で観ないほうがいいです。

THE FIRST SLAM DUNK(2022)

でたー。スラムダンクは全く通っていないのですが、これだけ絶賛であれば観ないわけにはいかないでしょう。だいぶ遅くなってしまいましたが観ました。

まず「スラダンリテラシー0」でも大丈夫か、という点については、「大丈夫」でした。ちょいちょい挟まれる回想のおかげで概ね把握できた感じです。結構重い話で、無意識に何度も落涙していたり。

と同時に、回想より試合が見たい、と思ったのも事実。こんなに「たった一つの試合だけ」で構成された映画だったんですね。そして評判通りこの「試合」が本当に魅せる。スポーツに興味がなくとも、引き込まれる。お見事でした。

別れる決心(2022)

パク・チャヌク! 待望の、パク・チャヌク! わたし韓国映画のこの世代ではポン・ジュノよりパク・チャヌクのほうがより刺さるほうでして、さらに今作は「『渇き』に近い」という噂を聞いてめちゃくちゃ楽しみにしていました。公開日の朝一で観てきちゃった。最高。

なんですかね、もうちょっと地味な作品なのかなと思っていたら、カメラワークやら編集やらが超変態で。あああ〜〜こういうの好き〜〜〜大好き〜〜〜たまんな〜〜い!!!と表情筋ゆるゆるでスクリーンを見つめ続けることに。

ヒロインを演じるタン・ウェイも、『渇き』のキム・オクビンを思わせる魅力×魅力×魅力で、パク・チャヌクこういう女のひと好きだよねえわたしも好きですけど!!! 信頼できるな〜〜〜

てなわけで、ストーリー云々よりもその映像世界とヒロインの魅力、加えて「ああそうだった、パク・チャヌクってエグいんだった」と思い出せてくれる終わり方の余韻、そのへんにすっかりやられて劇場を後にしました。「絆創膏を剥がして開封する」パンフレットもおすすめ!

といった感じの2月でした。ああ、あれもこれも観たい。デュアルコア自分になりたい。