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映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023)」感想|これはすごいわ。

仕事帰り、ちょっとクサクサした気持ちだったので、時間的にちょうどよさげなスパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』をセレクト。つい先日「アトロク映画祭」で1作目『スパイダーマン:スパイダーバース(2018)』を新鮮に観たばかりの新宿バルト9、ドルビーシネマのスクリーン6へ行ってきました。

映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」ポスター


先に結論、これはすごい……。前作に関しては「すごいのは分かるけど、言うほどすごいか?」というスタンスだったわたし。宇多丸チルドレンでありつつも、あまりに宇多丸さんが推しすぎると冷めてきてしまう天邪鬼なところがあり、『スパイダーバース』はまさにその筆頭だったのですが、そんなわけで今作は「観てやろうじゃないの」な態度で席に座って、そのうえで「あ、これは、これは…、すごいわ……」となっていったという。

まず、冒頭がすごいです。月並みにざっくり言って「オープニングからクライマックス」。アニメーション作品である以上、「すごいシーン」イコール「作業量」がチラつくのですけど、140分という長尺なのに最初からこんなに200%絞り出すようなことで大丈夫か?大丈夫か??って思いながら、それが20分くらい続くもんだから一旦その心配も忘れて見入っちゃって、恍惚としてるところでダーン!とタイトルが、え、うわ、これアバン?!っていう。めちゃくちゃですよ。

そして、宇多丸さんが先週ガチャ当てて「荷が重い」と呟いていた意味がよく分かりました。とにかくもう、「すごいアニメーション映画」とかの域を超えて、もはや「アート映画」だから、これをそんな20分だかの映画評で満足に語りきれるはずがなくて。それで言うと前作はまだ「すごいアニメーション映画」の域だったと思うんです。あの前作を基準にしても別次元レベルですごい、っていう。いやはや。「これはすごいわ」。それに尽きる。



さらに。今作は「続きもの」としてもすごくてですね。終盤、まさかの『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2(1989)』的展開になっていくのがたまらなく。そうだ、マルチバースって最近流行ってる感じあるけどそもそもは『BTTF』で大好きだったやつだ!!!と思い出させてもらったのでした。このTO BE CONTINUED、楽しみすぎる。早く見せてくれ、続きを。待てない、ぜんぜん待てない。

細かい感想としては、もう皆さん口を揃えて絶賛の「逆さま、黄昏れ」シーンは本当に素晴らしかったですし、エンドロール最後の最後までカラフルなのも嬉しかった(ていうかあの尺でクレジット足りてる?絶対足りてなくない?)。ドルビーシネマの「黒」も最高に効いていて、これは可能な限りドルビーシネマでご覧ください。あとやっぱり2Dがいいな(今作は2Dのみです)。

というわけで、これが「スパイダーマンのアニメでしょ?」で特定の層にしか届かないのはさすがにちょっと不幸かもと思える作品でございましたのでぜひぜひどなた様もご体験くださいませ。『シンエヴァ』とかお好きだった方にもおすすめしたい。「もはや単なるアニメ作品ではない感」はすごく通じる。