「ウーマン・トーキング」「渇水」「ライオン少年」、プレ「怪物」のはなし。
ここ数日で観た新作映画のはなし。サクッとね、記録として書いていきましょうね。
『ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022)』
6月2日(金)公開。——とても閉鎖的なキリスト教の村で日常的に繰り返され、かつ黙殺されてきた強姦行為。しかし女たちは遂に立ち上がり、男たちが不在な2日間のうちに「赦すか/闘うか/立ち去るか」を決める会議が開かれます。出演はルーニー・マーラ、クレア・フォイ、フランシス・マクドーマンド、ベン・ウィショーなど。『ドラゴン・タトゥーの女』好きとしては「ルーニー・マーラ×クレア・フォイ」だなんて見過ごすわけにはいきません。
基本的にすごく地味な会話劇だし、すごく昔の話に見えるのですが、じつはめっちゃ現代だった、というのが突然示される仕掛けがひとつあって、これゾクッとします。『バクラウ 地図から消された村(2019)』なんかも思い出しましたねちょっと。あと、『ウエストワールド』シーズン1のラストとか。実際彼女たちが出て行った先の世界が、気になります。
ただ、正直に申しますならばわたくし非常に眠気の波が来ておりまして、英語のリスニングができないのをいいことに、耳心地よくうつらうつらと……。あんまりちゃんと「観れた」とは言えません。寝ていい映画じゃないんだ、耳心地のいいことなんてひとつも言ってないんだぜ。すみません本当に。配信でもう一度観たいな……(追記:劇場でもう一度観てきました。今度書く)。
余談として。これ多分きっと宇垣(美里)さんコメント寄せてるだろうなと思って公式サイトを見たらしっかり2番目に登場していて、流石だなあっていうのと、「この映画は宇垣さんにコメントを」というポジションが業界内でしっかり定まっていることを嬉しく感じるアトロクリスナーなのでした。
『怪物(2023)』
6月2日(金)公開。是枝監督最新作。初見の感想は「なんてエグい羅生門」「好きじゃないわー」「あ、でも後味は案外いいかも」。どちらかといえば絶賛はできないほうだったのですが、なんかね、これほどのビッグタイトルを、しかも明らかに「初見じゃ評価できない」系の構造を持つ作品を ぬるっと通り過ぎるのは癪だったので、じつはもう一度観てきました。で、予想通りかなり違った印象を受けました。というわけで、これはあらためて書きたい。ひとまず飛ばす。
→書きました。
『渇水(2023)』
6月2日(金)公開。酷暑による深刻な水不足のなか、生田斗真さん演じる水道局の集金係は、滞納者の家を取り立ててまわる仕事をしています。底辺の暮らしを目の当たりにしながらも、「決まりですので」と「停水執行」をしていく日々。しかし育児放棄で取り残された幼い姉妹との出会いなどもあり、こんなことでいいのか?と「乾いた心」に水滴が落ちるまでの物語。
題材としてはとってもおもしろいと思うのですが、ちょっと地味だったかなあというのと、どうしても「是枝作品っぽい」という感想が頭をよぎるんですよね。公開時期的に不運だったんじゃないかなと思わなくはない。
『雄獅少年/ライオン少年(2021)』
5月26日(金)公開。中国の3DCGアニメーション映画で、日本のものとは異なる「獅子舞」が題材となっています。中国アニメといえば『羅小黒戦記(2019)』の素晴らしさが記憶に新しいところですが、本作もすごかった。とことんセルアニメ調を突き詰めた『羅小黒戦記』に対し、こちらはキャラクター以外もはや実写でしかないフォトリアルなクオリティ。一瞬でここまで追い付いてくる(なんなら追い抜いてくる)中国すごい。しかもこれ本国公開は2021年という。
お話は、貧しい村で暮らすズッコケ三人組みたいな少年たちが、おそらくはマッチョな男たちの花形であるらしい獅子舞に挑む物語。地上からだいぶ高い位置にあるポールの上をアクロバティックに跳び回る中国獅子舞のスタイルは雑技団的でもあり、クライマックスの競技会シーンはさながらSASUKEのようです。
『羅小黒戦記』同様にギャグ強めな感じで基本進んでいくのですけれども、途中から思いのほか展開はシリアスに。中国の貧富の差、「出稼ぎ」の厳しい現実、そしてエンドロールで流れる歌。ううむ、これほどのメッセージ性が込められた作品の生まれる背景を知らなければいけないなと思わされる作品でした。