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主に映画の感想文を書いています

2020年 印象深かった新作映画

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ギリギリまで観たい性分なもので、いろいろ駆け足で総括しております。というわけで2020年も今日でおしまい。映画界が大ピンチだった今年ですが、そんな状況でも映画ファンとしては揺るがぬ気持ちで全212本、新作に関しては47本観ることができました。

今年の新たな試みとして、鑑賞作品を毎月しっかりリストアップしていって、かつ「今月の一本」を事前に決めてあります。なのでここでは、その初戦勝ち抜き作品たちから苦渋のトップ5を選ぶことにします。

全鑑賞作品についてはこちらでまとめています。

2020年 ひときわ掻き乱された新作映画5本

「マザーレス・ブルックリン」
「初恋」
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
「海辺の映画館─キネマの玉手箱」
「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」

何本かは非常に悩みましたが。ではそれぞれにコメントを。

「マザーレス・ブルックリン」
(日本公開:1月/監督:エドワード・ノートン/製作国:アメリカ) 今年のはじめに観た作品ですが、その時点で「これは…今年の年間ベスト作品に残るかもしれない…。」などと書いており、Blu-rayの購入は当然として背景となっているニューヨーク都市計画に関する書籍も多数読むなどまさしく「掻き乱された」一本でした。なおヒットしたとは言いがたく、そのもどかしさが本作をここへ引っ張り上げていることは間違いありません。

「初恋」
(日本公開:2月/監督:三池崇史/製作国:日本) 記事タイトルに【激推し】と付けるほどの作品。こちらもやはり「知る人ぞ知る」レベルの認知度にとどまってしまったもどかしさから、ここで再プッシュします。カムバックしたベッキーがひときわ異彩を放つ、とんでもないタイトル詐欺のバイオレンス極道コメディ。窪田正孝さんの2020年代表作は朝ドラ『エール』よりまずこっちだ!と言いたい。

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
(日本公開:6月/監督:グレタ・ガーウィグ/製作国:アメリカ) これはちょっと真っ直ぐすぎるかなとも思うんですけど、でもどうしたって2020年この作品の果たした役割は大きいです。というのも、コロナ禍の緊急事態宣言が明けて一発目に公開された作品なんですよね。約100日ぶりに映画館で観た新作、もう感受性振り切っちゃって、全てに泣けてきちゃって。映画体験として忘れられない一本です。

「海辺の映画館─キネマの玉手箱」
(日本公開:7月/監督:大林宣彦/製作国:日本) 今年最も「掻き乱された」映画。厳密には、本作を到達点とした大林宣彦監督への心酔といったところでしょうか。軽く説明しておくと本作の公開はコロナ禍で延期されていたのですが、本来の公開日だった2020年4月10日に大林監督が亡くなられたと。その訃報をきっかけにわたしは大林作品に初めて触れ、稲妻に打たれ、以降再設定された「最後の最新作」の公開日7月31日に向けてずぶずぶとフィルモグラフィを総ざらい観漁っていった、そんなエピソードがございます。

「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来」
(吹替版日本公開:11月/監督:MTJJ/製作国:中国) ちょっと最近すぎるかなとも思いましたが、これを観ている最中の衝撃度だったり、うわうわこれは何が何でもみんなに観てほしい!!と焦りすら覚えたことを考えると、『初恋』あたりと同じベクトルで掻き乱されたかなあと。今後ジブリ作品や『サマーウォーズ』級に親しまれて然るべき、全方位に最高品質なアニメです。挙げたなかで唯一公開中なので、観てください!

以上5作品でした。が、苦渋の次点たちも書いておきましょう。今年は岩井俊二沼にもハマりましたラストレター。名台詞ランキング堂々のランキング第一位「毛皮に入りな」が忘れられないハスラーズ(ちなみに一番苦渋だった)、個人的にはとても真摯な映画と思えたFukushima 50、ファッキン最高ハーレイ・クインの華麗なる覚醒、ドキュメンタリー賞は間違いなくようこそ映画音響の世界へ、好きなタイプの地獄異端の鳥、映画館を救ってくれてありがとう(ブログのアクセスも跳ね上げてくれてありがとう)鬼滅の刃 無限列車編、っていうか書き忘れてたけどパラサイト 半地下の家族ミッドサマー、君らも今年か!

こう挙げてみるとどの作品にも思い入れがあってまだまだ書き足りません。さらに今年は旧作ともなると大林映画と韓国映画が席巻してくるはずなので、新作映画なんて映画体験2020のほんの一角でしかないですね。

来年も映画界が厳しいことは残念ながら確実ですが、できる限り劇場へ足を運んで応援していきたいし、新作が少ないぶん旧作ともより多く出会っていきたいと思います。本年はこれにて最終投稿です。いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。すぐ何かにハマってしまいがちな筆者353とその脳内logを来年も生暖かく見守っていただければ幸いです。