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ヴィルヌーヴ版「DUNE/デューン 砂の惑星(2021)」感想|恍惚のSF。リンチ版、観ておいてよかった!

現在公開中、ドゥニ・ヴィルヌーヴ『DUNE/デューン 砂の惑星を観てきました。先週までは『DUNE』リテラシー0でしたが、一夜漬け的に『ホドロフスキーのDUNE(2013)』とデヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星1984』を履修。満を持して、いざ。

感想は「めっちゃ好きなタイプのSFだった!」「シャラメを愛でる映画として高品質すぎる!」「ちゃんとリンチ版のハイセンスなリメイクになってる!」の三本立てでお送りいたします。


映画「DUNE/デューン 砂の惑星」IMAX版ポスター
映画「DUNE/デューン 砂の惑星IMAX版ポスター(かっこよ!)


めっちゃ好きなタイプのSF

うわあ、いい、めっちゃいいSFだ……。恍惚としながら観ておりました。ヴィルヌーヴ監督作『メッセージ(2016)』の「ばかうけ」を彷彿とさせる「いかにも地球のテクノロジーじゃなさそう」な宇宙船。『ブレードランナー2049(2017)』で印象的だった「埃っぽさ」の美も今回は砂漠ということでますます本領発揮。

重厚なキャタピラの巨大なスパイス採取マシーンは『移動都市/モータル・エンジン(2018)』のハウルな移動都市に萌え萌えキュンだったわたし的にドンズバ。外付け気球で現場まで飛ばすのが最高。トンボ型の「羽ばたき機」も超ロマン!

『モータル・エンジン』は宮崎駿リスペクトな作品でしたが、御大もまた『DUNE』の影響下にあるそうなので今回のメカたちに覚えるジブリみは大元『DUNE』由来(由来って言うのも変だな、これDUNEだもんな)ということなのでしょうかね。

あとは砂虫! その得体の知れない巨大生物っぷりが素晴らしい。とことん「見せない」ことによる恐怖。序盤の壁画で「今回はこういう造形なのか〜」と思わせてからの、いざその「お口」が出てくると想像の数段デカくて、畏怖! めっちゃ畏怖!

いやはや、満足です。わたしこの映画大好きです。

シャラメを愛でる映画として

高品質すぎます。シャラメすごい。アトロクリスナーとしては、水曜パートナー日比麻音子さん(シャラメよだれ芸人)が映画館で塵に還ってしまったのではないかと心配しています。だってファーストシーンからあれだぜ。

これまでも、シャラメ……改めて申しますとティモシー・シャラメさんはですね、スクリーンで何度も主役級のお姿を拝見してきましたけども、今回のそれはちょっと格が違う。50年後にこの映画を観た若者はさぞびっくりするでしょうよ。美しいシャラメと同じ時代を生きているわたしに乾杯。

語彙力低いまま、この項目は終わりです。

リンチ版のハイセンスなリメイク

原作未読なので「リンチ版の要素をハイセンスにリメイクした結果」と取るべきなのか「原作をハイセンスに映像化した結果」と取るべきなのか分からないのですが、とにかく思ったのは「リンチ版(眠さに耐え抜いて)観ておいてよかった!」ということでした。

リンチ版の感想でわたし「ヴィルヌーヴ版の予習として観るのはあまりおすすめしません」などと書いてしまったのですけど、訂正します。ヴィルヌーヴ版の予習としておすすめです。なんていうか、リメイク元として知っておくことで楽しめる度合いが数段上がります。観ておいたほうが楽しい!

例えば「シールド(盾)」。これリンチ版だと最も噴飯ポイント……と言っちゃ悪いか、当時は頑張ったんでしょうけども技術の限界だったのか(いや1984年だもんな、そんなことはないな、やはりセンスだな)、まあ端的に「ひどい」んですよ。それがこうなるかー!という興奮。

他にも全編通して「あ、これはあのシーン(の洗練されたもの)か!」と不思議なわくわくを味わえるのがよかったです。逆に、リンチ版で出来の良かった砂漠用スーツがほぼそのまま踏襲されていたり、砂ドンドンする砂虫対策ツールがそのまんまだったり、っていうようなパターンもありました。いずれにせよ楽しい。

今回じつは開けてびっくり「PART1でした〜」な作りとなっていて、リンチ版を観て非常に本作が不安になった「チャークサ!」のくだりはまだ出てこないのですが、序盤から既に「声」を結構フィーチャーしているところからするとこれはPART2、チャークサありそうな予感です。もういい、洗練されたチャークサを聴かせてくれ。いっそ聴きたい。

はみ出し雑感

  • シャラメとモモアはずるい。

  • シャラメ母、レベッカ・ファーガソン様が最高。あんな母子ならロマンスがあってもいいとすら思う。少なくともマザコンには見えない。「声」の連携プレイが良かったのでPART2に期待。

  • 今回は概念なゼンデイヤドキュメンタリー映画太陽の塔(2018)』に出てくる少女を思い出した。世界観、似ている。

  • おれたちの砂漠はまだ始まったばかりだ!(興行成績いいみたいなので、無事PART2観れそうで安心しています)

  • 願わくばもう一度、今度はIMAXで惑星アラキスに浸りたい。

  • そんなにはみ出さなかった。

(2021年179本目/劇場鑑賞)

ちょうど鑑賞前日に聴けたアトロクの『DUNE』一夜漬け特集も、特に基本的なストーリーがわかりやすくて助かりました(リンチ版、集中できなさすぎて全然ストーリー入ってこなかった)。