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主に映画の感想文を書いています

ブレードランナー2049(2017)

ブレードランナー(1982)」の続編。

あらすじ

前作、デッカードとレイチェルの逃避行から30年。2049年のロセンザルスでは今なお警察による「旧型レプリカント狩り」が続いていた。かつてのデッカードと同じく「ブレードランナー」である主人公“K”は、職務中に偶然見つけた情報をきっかけに出自の真相を追い始める。

初めて元祖「ブレードランナー」を鑑賞したのは既に本作の公開後だったと記憶していますが、後追いに後追いでようやく鑑賞しました。普通にとてもよい続編だったと思います。

まずわくわくの冒頭です。前作はとにかく冒頭の夜景シーンにガツーンとやられまして、正直そこの印象しか残ってないくらい好きなんですけど、今回はモヤのかかった明るい風景から始まったので「あ、そうきたか」という感じでした。ところであそこの音楽って前作と同じじゃないんでしょうか。ハンス・ジマーが作り直したやつなのかな。曖昧な記憶だと同じ音楽に聴こえました。いずれにせよ寄せてるのは確か(なんでも前作でヴァンゲリスが使ったのと同じシンセを引っ張り出してきて使ったそうです。あのサウンドこそがブレードランナーですよね!)。

前作はいわゆるアジアン・フューチャリズムの先駆けとして猥雑な印象が強いのですが、今作は(一応その要素も残してますが)全編通してコントラスト低めの霧がかった画が多く、荒廃すら美しい。見終わって、「なんて美しいディストピア…!」とため息が出ました。特にラスベガス、最高じゃないですか…? そしてそのシンプルな美しさのなかに降り立つ、無骨なKのスピナーよ! かっちょええ! デロリアン的素材感!

ライアン・ゴズリングも、ほんっとこういう役が合いますね。レプリカントなんじゃないの?と思ってしまいますね。なんだかんだ出演作をたくさん観ているせいで、ピアノの鍵盤ポーンと鳴らすシーンで「こいつ…もっと弾けますぜ…」とかニヤけたり、ジョイに「ドライブするか?」なんて言うシーンでも「ドライヴ(2011)」を連想したり。

そう、ジョイ! めったくそ可愛くないですかアナ・デ・アルマスさん! ものすごい日本人好みのお顔だと思うんですけど! 携帯用端末で持ち出し可能になったり、協力者を介してバーチャルな肉体関係を持とうとするところなど、「her/世界でひとつの彼女(2013)」のAIサマンサによく似ております。起動時に流れる「ピーターと狼」がまた…素晴らしいマッチング。あの音を付けた方、超グッジョブです。

(例の起動音は2:50くらいから)

他にも、マダムという呼び名が余計そう思わせるのか007シリーズの“M”みたいなジョシ警部補役のロビン・ライトさん(「フォレスト・ガンプ」のヒロイン役でしたか)、ものすごーいノワールみある顔をしてらっしゃるラヴ役のシルヴィア・フークスさん(「鑑定士と顔のない依頼人」の、あの…!←トラウマ)、みなさんそれぞれ素敵な助演っぷりでした。

ここまで書いて普通にスルーしそうだったんですけど、忘れちゃいけないデッカードハリソン・フォード様。な、なんかドンキでも行きそうなグレーのスウェットみたいなので出てきて悲しい…(笑) 前作からの流れを考えると非常に刺さる展開なんだと思いますが、スターウォーズの最新シリーズに喩えるならば「やっぱりルークかっけーぜ!」のほうではなく、「うう、マーク・ハミルがしょっぱい…」っていうほうの印象を受けちゃいました。

超人気作の続編ということで、スターウォーズの最新シリーズや「ローグ・ワン」などと同じような感情を抱く部分は結構ありましたね(Ep.7も「ローグ・ワン」もとてもよくできた続編&前日譚だと思います。Ep.8お前はだめだ)。特に終盤、レイチェルの再登場シーンはおおっ!ていう。「ローグ・ワン」のレイアを連想するやつです。しかもこちらはCGじゃないみたいですよ。

書きたいことは大体書いたかしらん。以上、これといってカルトな思い入れはないライト層による2049感想でした。あ、ナベシン監督による「2022年の大停電」のスピンオフアニメも15分と短いながら見応えありましたのでぜひ! 他の短編はまだ未見です。そのうち。前作ももう一度観たくなってきたな〜。

(2018年60本目)