脚本バカリズム×監督大九明子というドリームプロジェクトみたいな映画『ウェディング・ハイ』を観てきました。
バカリズムさんは『架空OL日記(2020)』『地獄の花園(2021)』その他テレビドラマなど数々の脚本を手掛けている、非常にわたしのツボなコメディアンです。大九明子さんは『勝手にふるえてろ(2017)』『私をくいとめて(2020)』などの綿矢りさ作品実写化が有名で、こちらも非常に好みな作品が多い監督でございます。
となると絶対観るじゃん!!ってなりそうなところ、じつは今回予告を見ていても全然ピンとこなくて。なんならスルー気分でした。でもまあ観ないことにはわかんないよね〜と行ってきたわけですけど、直感どおりと言いますか、「お互い本領発揮できていない」感じの作品だったなあと。バカリコメディも大九映画も、こんなもんじゃない、はず。
お話としては、1組のカップルの「結婚式」を主な舞台として、結婚式準備あるあるとか花嫁強奪作戦なんかを織り交ぜながら山場ではウェディングプランナーさんの舞台裏を楽しく見せる!といった感じのもの。これ、同じくドリームプロジェクトな今泉力哉×城定秀夫の『愛なのに(2022)』と奇しくも要素かなり被りますね、全くテイスト違うけど(笑)
篠原涼子さん演じるウェディングプランナーが奔走する「1時間押しのケツカッチン披露宴、どうにか取り戻して余興全部やる!」のくだりはかなり面白くて、結婚式を挙げたことがなくても「高砂に張り付いてるプランナーさん」という光景はきっと誰しも見慣れてるじゃないですか。だから本当にああいう苦労はありそうだなって想像できるし、ウェディング業界という究極にお客様ファーストなサービス業だからこそどんなハチャメチャも「有り得る」と思えてしまう説得力。あのくだりは永遠に見ていたかった。
ただ、それ以外の部分があんまりうまくいってないように個人的には感じました。端的に「長い」のかな。テンポがよくないというか、伏線張りがただの伏線張りとしてしか機能していないというか。あと、大九監督の作風であるアフレコが今回は過剰で(晩年の大林作品っぽかった)、バカリ脚本の良さを殺してたかなあと……。バカリ脚本自体もいまひとつ本調子じゃなかったので、化学反応以前の問題なのかも。
てな感じで、バカリ&大九ファンとしては非常にもどかしい作品でした。ファンだから最後はいいところ挙げて終わりたい。片桐はいりさんの超短縮祝辞が泣けた! 式場スタッフ&司会者の連携プレイ好き! 祝電三度読みずるい! 臼田あさみさんマイラブ! 篠原涼子さんもやっぱりコメディエンヌとして超一流! コロナ禍なのもあり久しく披露宴出てないけど出たくなった。別に結婚がゴールじゃないけどね、というラストや、さりげなく出ている同性カップル描写もよい。以上『ウェディング・ハイ』感想でした。
(2022年42本目/劇場鑑賞)
ちなみに「相馬慎治監督」による新郎新婦馴れ初めムービーは淺雄望さんという方が担当されたそうで、なんでよりによってロシアやねんというほうに気をとられてましたがタルコフスキー『惑星ソラリス(1972)』風なんだとか*1。言われてみれば……!! バッハの旋律を聴いたせいです、こんな眠さ。