映画『ビーキーパー』『炎上ドライブ』のはなし。
『ビーキーパー』
グランドシネマサンシャイン池袋にて。ジェイソン・ステイサム主演の、養蜂家がただただ強い映画。善良な恩人を死に追いやった悪徳組織への報復として、引退したはずの「養蜂家(コードネーム)」が真顔でひたすら勝ち上がっていき大ボスをとっちめてエンドロールという、大変潔い作品でした。
溜めて溜めてカタルシス!なお話を想像していたので、まずびっくりしたのはそのカタルシスの早さ。おのれこの野郎グギギ、ってなった次のページでもう「その野郎」のアジトへ到着していて、もう1ページめくると屍が積み重なっている、そんな感じの超スピード展開にうっとりです。
殺し方もバリエーション豊かで、期待通りな部分もあれば、予想を上回る斬新なものも多数。やたらと吊り上げてくれるのが個人的にはツボでした。まあとにかくこんなふうにスカッといけたら最高だよなあと、幸せな気持ちで終始観ておりました。
あ、そうだ、ひとつ好きだった会話。「あなたって本当にハンサムね」「どういう意味だよ」「天は二物を与えずって言うでしょ」。母子の会話として、ちょうきつい!
『炎上ドライブ』
ヒューマントラストシネマ渋谷にて、「未体験ゾーンの映画たち2025」の一作品として。アトロクでこの企画上映の紹介 *1があり、宇多丸さんも後日観に行って面白かったと話していた映画。韓国のシチュエーションスリラーなのですが、いやこれ、素晴らしかったです。普通に公開されてないのが勿体無い。
概要はタイトルの通りと言いますか、誘拐された人気YouTuberが身代金を投げ銭で稼ぐため車のトランク内から「誘拐配信」する話、なんですけども。アイデア一発の出オチではなく最後まで中身ぎっしりの面白さなのが本当に嬉しい作品で。
素朴なASMR配信から始まって手を替え品を替え、少しずつ人気配信者になっていく主人公ユナ。すっかりトップインフルエンサーとなったある晩、彼女は誘拐されるわけですが、その晩に「手に入れるアイテム」を見ていくだけでもまず楽しい。名刺だったり、ライト付きのコンパクトだったり、後から思えばあれもこれもちゃんとセッティングされていて、よくできてる。
誘拐された後も、よくもまあ狭いトランクと配信画面メインでここまで様々な展開を作り出すものだと唸らされます。で、観ながらふと気付く。そうか、もしかしてコロナ禍映画なのかこれ。調べたところ、製作年は2024年ですがこの記事によれば2021年6月にクランクインしているようで、ほぼ確実に「コロナ禍によって生まれた映画」なのでしょう。
「手に入れるアイテム」からの予想すら華麗に超えてくるラストに惚れ惚れしつつ、まさかの社会派な余韻をたたえた幕引きには「えっ、……すごくない?」と、裏切られたような気持ちになりました。勉強してないって言ってた友達がテストでいい点取ってたときみたいなアレ。もっとB級寄りの映画を観るつもりで席に座ったんですけどね、おかしいな。
というわけでめちゃくちゃおすすめなのですが、観るのが遅かったばっかりにどうやら上映は終わってしまいました。悲しすぎる。U-NEXTあたりで配信してくれるかしら、ぜひ配信してほしいです!