
『野生の島のロズ』
ドリームワークス最新作。野生の島で起動したアシストロボットが雁の子育てを通じて「プログラム以上の」何かを芽生えさせる物語。『ベイマックス』的感動がお約束されているやつです。一週間ほど前、グランドシネマサンシャイン池袋にて。
とにかくすごいのは開始20分間くらいの勢い楽しさ愛くるしさで、ここだけでも全ファミリーに見せたい気持ち。個人的好みとしては終盤のエモーショナルな演出がやや過剰かなと、自分の感情を超えてしまったかなという感じでちょっと冷静になってしまったのですが、ものすごいクオリティの作品なのは間違いなし。
後半の展開で、おや、これはもしかして人類が滅んでいる?と思わせるも特に触れはしないあたりに、いい意味での引っかかりを感じます。
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
こちらも先週、何気に初めてのkino cinema新宿にて。過去あのフロアに入ってた映画館には一度も行ったことがなかったので、同ビルのシネマートと同じ間取りなことになんか感動してしまいました。あと、kino cinemaって小さいスクリーンのイメージがあったので、大スクリーンだったのが嬉しい誤算。今後は候補に含めたい。
さて本作は、若き日のトランプと、彼を今のトランプたらしめた敏腕弁護士ロイ・コーンを描いた劇映画。とても見応えがあり、とてもおもしろかったです。主演のセバスチャン・スタンが本当にトランプだった。すごい。
ひよっこなところから、師匠ロイ・コーンの「勝つための3つのルール」を守って成り上がっていくトランプ。映画で描かれるのは大統領就任のはるか前、トランプタワーが建ったあたりまでですが、この先の歴史の中に、今もロイ・コーンの教えを胸に抱いたトランプが牛耳る世界の下に我々は生きているのかと思うと、とてつもない映画体験です。
※ちなみにトランプタワーへは行ったことがある。
『おんどりの鳴く前に』
シネマカリテにて。ムービーウォッチメン課題映画、今年は今のところコンプリート中。ルーマニアの映画です。タイトルからして聖書みの強いお話なのかなと思いましたが、原題は全然違うタイトルらしくて。まあ、「観たくなる」邦題で好きです。
舞台はとある静かな村。この「事件も何も起こらない平和な村」で一応の「警官」をしている主人公が、しかし「死体が上がった」ことをきっかけにいろいろ葛藤に悩まされていくお話。
田舎スリラーっぽいですが思いのほか地味な映画で、わたしのコンディションでは部分的うつらうつら禁じ得ずという感じでした。宇多丸さんの評を聴いて「なるほど〜!」な、いつものやつ。
いちばん印象的だったのはファーストシーン、トラックから一羽こぼれ落ちてしまった鶏の「名演」。今思うとあれがピークだった気がしなくもありません。邦題がこうなるのも納得。あと、これも序盤で主人公が言う「土曜日はまだ終わってない」も胸に刻みたい言葉でした。
『アット・ザ・ベンチ』
昨年11月公開で観そびれていた作品がまだテアトル新宿にかかっておりタイミングが合ったので鑑賞。『ぼくのお日さま』奥山大史監督のお兄さん、奥山由之さん(ちなみに奥山和由プロデューサーの息子さん。すごい家だな…)が監督したオムニバス映画。
監督自身の散歩ルートにあるという一つの「ベンチ」を舞台装置に、いろんな人たちの会話劇が繰り広げられます。キャストがすごくて、広瀬すず、仲野太賀、岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々、今田美桜、森七菜、草彅剛、吉岡里帆、神木隆之介、——顔ぶれだけ見ると何?!って感じですよね。
第1編は広瀬すずさんと仲野太賀さんによる幼馴染の胸キュンもので、これは正直、全く好きじゃありませんでした。直視できないレベル。しかも同じ二人の「続編」が最後にも収められていて、そこに関して言えばnot for me極まれりでした。
ただ他のはよくて、まず岸井ゆきのさんと岡山天音さん(スペゲス良々さん)が痴話喧嘩を延々見せてくれる第2編が最高至高。この話は脚本がダウ90000の蓮見翔さんだったんですけど、さすがだわとエンドロールで唸りました。
今田美桜さんと森七菜さんの「姉妹」が強烈な言い合いをする第3編も、好きかはわからないけど生理的に魅力を感じる一本。今田美桜さんの常軌を逸した発狂と絶叫には、こんな姿を見てしまっていいのだろうかという背徳感のようなものすら感じます。
草彅くんと吉岡里帆さん(スペゲス神木くん)の第4編はそう来るかという意外性がお気に入り。これの脚本が監督なのかよ、という意外性もお気に入り。最も「友情出演」を感じる一本でした。
先週観たなかでは『ファーストキス 1ST KISS』がとても好きだったので個別に書きたい、の気持ち。