
東銀座の「東劇」にて『パピヨン』のリバイバル先行上映が、宇多丸さんのアフタートーク付きであるというので行ってきました。本日1月12日(日曜日)の開催だったわけですが、わたしは今めったに土日休みじゃないため、このイベントはノーマークで。しかし、チケットの売れ行きが芳しくないらしいとのことで宇多丸さんがアトロクで宣伝しているのを聴き、シフトを確認したら奇跡的に休みの日。あら、行けるじゃないですか。うれしい。(※最終的にはしっかり席埋まってました!)
その上、東劇って行ったことなくて、場所もよく知らなくて。年季の入った松竹本社ビルの物理的直下にあるんですよ。興奮です。METのライブビューイングとかをよくやってるらしいですね。すぐ近くの歌舞伎座も今日初めてその前を通って。銀座はかねてよりよく行く場所だったけど、東銀座のほうって一度も来たことなかったのかと。自分の中でマップが広がっていくようで、知らない東京を知れるようで、とてもテンション上がりました。

さて『パピヨン』。1973年の映画で、大まかなジャンルは実話ベースの脱獄もの。『アルカトラズからの脱出』とか同じくマックイーンの『大脱走』は観たことあるけれど本作はなんとなく未見(長尺なのもあったかも)。初めてをスクリーンで体験できるというのはありがたいこと。ちなみに宇多丸さんも「最初に観たのはテレビ」世代らしく、意外にも今日が初の劇場鑑賞だったそうです。
脱獄ものというとカタルシスを期待してしまうところですが、本作はそういう映画じゃなかったのが驚きでした。なんならときには眠気に襲われるくらいで、朦朧としていたら画面がぐるんと回って変な夢を見たりとか(映画の中の話)、まさかの「振り出しに戻る」に唖然としたりとか、うわこれ、もはや「人生」なのかと遅ればせながら気付かされるラストだとか。
宇多丸さんも言ってましたけどどちらかといえばアート映画の領域で。映画館のスクリーンで集中して観ないと絶対だめな150分だ、と思いましたね。もやもやもやもやしたものが心に残るので、アフタートークがなかったら結構気持ちが宙ぶらりんになっていたかもしれません。
一方で、笑えるところも案外あって、ワニのくだりとかサイレント映画みたいで大好きでした(全体的にサイレント映画的な部分が多いです)。王道のエンタメではないけれど、いったいどこへ連れていかれるんだ、今度は誰と会うんだ、これは夢か現実か、みたいな「楽しませ」はなんだかんだつるべ打ちだったかなと思います。
宇多丸さんのトークも充実でした。細かい話はもちろん、今日初めてのスクリーン鑑賞だった宇多丸さんがあらためて心底思う「映画館で観るためだけに作られている時代の映画を映画館で観ることの意義」みたいな話とか、これはアトロクでも他の文脈で話題に上がっていた気がする名シーン「人生を無駄にした罪」の部分がよりグサッと刺さって涙が出たという話とか、かつて『マッドマックス2』とかを観た思い出のある東劇でまさか壇上に上がってトークできる日が来るとは…なんていう感慨の話などなど、されていました。なおトークは後日YouTubeに上がるようです。
今は日々の新作を追うことにいっぱいいっぱいで、過去の名作を観る機会がめっきり減ってしまっているのですが、当然だけどやっぱりちゃんと観ないといかんよなとつくづく思わされました。『パピヨン』は1月31日(金)から全国リバイバル公開とのこと。ぜひ映画館で浸ってくださいませ。