映画「白頭山大噴火(2019)」感想|必見! 確実に頭ひとつ抜けた超大作エンタメ韓国映画
2019年の作品らしいですが日本では現在公開中の新作韓国映画『白頭山大噴火』を観てきました。「白頭山(ペクトゥ-サン)」とは北朝鮮と中国の国境付近に位置する火山の名前。原題もそのまま『백두산(ペクトゥ-サン)』。OPでどーんと出るハングルのタイトルがかっこいいです。
さてこの映画、端的に申せば「最高」でございまして、映画館を出てすぐにツイートした内容が大体言いたいこと言えてるのでもうこれでいいかなって感じなんですけども。
「白頭山大噴火」鑑賞。開始数分で自国も隣国も壊滅させ、ありとあらゆる大作映画要素の限りを尽くし、イ・ビョンホンとハ・ジョンウには心ゆくまでイチャつかせ、マ・ドンソクはまさかの終始デスクワーク。破格、贅沢、韓国映画が本気出すと本当にすげえな!!!(https://twitter.com/threefivethree/status/1432678176602292228)
まあせっかく140字以上書けるところなので、これを広げていくとしましょう。
ひたすら貪欲なエンタメ超大作
この映画何がすごいって、開始早々に大地震で朝鮮半島が壊滅します。エンタメのためなら自国をも躊躇なく破壊する、これぞ韓国映画の強みよ……。しかもハリウッド映画級のクライマックスがアバンタイトルで惜しげもなく使われてしまう。「大通りの両サイドから倒壊してくる高層ビル群を掻き分けて突っ走り、すんでのところで逃げ切る車」の構図なんて、つい最近『フリー・ガイ(2021)』のクライマックスで見たやつそのまんま。こちとらまだオープニングなんですけど?!でも最初からそんな超特盛じゃ尻すぼみも禁じ得ないわね、と思うなかれ。しっかりひたすら最後まで変わらぬ勢いで、しかも魅せ方はあの手この手と次々切り替えながら中だるみとは無縁で突き進む、それが『白頭山大噴火』です。
本作はとにかく貪欲で、言わば『ミッション:ワイルド不時着マックスインディーアルマゲドン』みたいな何でもありの、こうやってタイトルを挙げるのも野暮なくらいありとあらゆる要素が山盛り。エンタメ寄りビッグバジェット韓国映画のブッ飛び具合を知るのにこれまでは『新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)』あたりが好例でしたけど、今後しばらくは『白頭山』を推すことになるでしょう。ゾンビ出てこないから万人向けだし。
お家芸である「北」ネタも相変わらずの恐れ知らずで、荒廃した平壌のセットを作ってしまうだけでもすごいのに「将軍様がやっと横になられた」って、ダメーーーっ!!!(メイキング、めっちゃ観たい……)
豪華かつ捻ったキャスティング
イ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ドンソク。そこそこ韓国映画好きです、っていう人なら無条件で観に行くキャスティング。たとえ内容がどうであろうとキャストだけでお釣りがくるキャスティングです(それで面白いんだからまたすごい)。
特筆ポイント1は「イ・ビョンホンとハ・ジョンウの犬猿バディ」。ホブス&ショウ的な、互いに手錠をかけ合いながらスタンガン撃ち合いながら命懸けの大喧嘩。でもじつはお互いを護ってる。そんなん絶対みんな大好きですよね。そして極めつけの「泣かせ」。ベタすぎて冷めかねない展開だけど、もうこの頃にはトータス松本(イ)とピエール瀧(ハ)にしか見えてなかったんで文句などありませんでした(?)。
特筆ポイント2は、大韓民国のロック様ことマ・ドンソク様がオフィスワークに徹しているという破格の設定。マブリーに腕力使わせないのあまりに英断ではありませんか。ついに腕を出した!と思ったらハンカチだし。やさしくて力持ち、を究極に体現していた。それで言うとハ・ジョンウのヘタレ系キャラも新鮮でえがったのう。キューティプチ……(あれさ、ジヨンはダンナをオッパ呼びしてるから、きっと学生時代からの先輩後輩的な付き合いなのよね……)。
他にも、チョン・ヘジンさんを始めとした『秘密の森2』キャストの面々、後半マブリーとの共演がとても良かったペ・スジさん(バスのくだり面白かったなあ)など隅々までナイスなキャスティングでした。マブリーが妊婦を護る映画としてもやはり『新感染』からの『白頭山』なんだよな。今回は生き延びたしな、進化してるぜ。
というわけで『白頭山大噴火』、近年の韓国映画では間違いなく頭ひとつ抜けた「超大作エンタメ映画」でございました。単なるパニック映画ではなくて本当にもうありとあらゆるエンタメ映画の限りを尽くした作品となっております。VFXのクオリティも凄い。ぜひ映画館で思いっきり浴びていただきたいです。
(2021年147本目/劇場鑑賞)