MCU26作目「エターナルズ(2021)」日記的感想|弱った心に存外効きます
ちょっとね、ですます調で書く元気ないんで日記風に書きますけど、MCU26作目『エターナルズ』を観てきました。ここんとこメンタル超ダメで、今日も一応起きて生活はしていたものの昼過ぎに心折れて夕方まで寝てた。んで何かひとつくらいは有意義なことをしなきゃってんで映画館に頼った(息してるだけで有意義!って言ってくれるおねーさんがいて有り難かった。感謝してます)。
電車に乗ってチケットを取ってから、今いちばん観たい映画こと『死霊館』シリーズ最新作が同時間帯の全く逆方向で観れることに気付き猛烈に後悔。今の心境的にMCUより絶対こっちだったじゃん。電車乗っちゃったしチケット取っちゃったよ。これはもうクロエ・ジャオさんに期待するしかないよ。よろしく頼みますね。なお映画館で片耳ぼっちのAirPodsを拾って届けるという有意義ができたのでまあお導きではあったのかもね。持ち主に届くといいけどね。
で、観た。ちょっと、めちゃくちゃよかったよクロエ・ジャオさん。なんなら生きる希望までもらったよ。ありがとうクロエ・ジャオさん。よかったとこ好きだったとこを片っ端から書いていくね。ネタバレは控えめだと思うけどなんか書いちゃってたらごめんね。
まずはそう、キャストが超豪華なのだった。リチャード・マッデンにキット・ハリントンという『ゲーム・オブ・スローンズ』のスターク兄弟。飛ぶ鳥をはたく勢いのラブリーマブリーことマ・ドンソク。北野武みたいな顔が好きですバリー・コーガン。このあたりがとりあえずわたし的な豪華キャスト。キャスティングだけでチケット代はペイできる。
なかでもマブリーのマブリーっぷりが素晴らしくて、序盤バビロンのシーンで見せる攻撃が「平手打ち」ってだけでも100点だったのに、なんですかあの中盤でのラブリーマブリーは。完全にわかってるじゃないですか。
『新感染』みのある展開まで含めて(不満っちゃ不満だけど)(火山だって沈静化させられるんだからね!)よくぞここまでMCUという枠の中でマブリーをラブリーさせてくれたものです。ありがとうクロエ・ジャオ。ありがとうマーベルスタジオ。
それから映画全体のルック。予告の時点からあの巨大なモノリス的浮遊物に好きな予感しかしていなかったのだけど、期待通り「めっちゃ好きなタイプのSF」だった。こないだの『DUNE/デューン 砂の惑星』と同じベクトルで好き。金色(こんじきと読んでもらいたい)のワイヤーフレームみたいなアレとか、たまらんのよね。特にアンジェリーナ・ジョリー演じるセナとのマッチングが最高で、玩具展開してほしいとわたしの中のキッズが騒いだ。
アンジェリーナ・ジョリーといえば、リハビリ中のセナもよかった。クラウディア・カルディナーレっぽいと思った。彼女を筆頭に、今回の登場人物もとい登場神様たちは今までにない描き方をされている。多様性とかいう薄っぺらいワードに関することは置いておくとしても、バリー・コーガン演じるドルイグの「神の苦悩」は不思議と感情移入できてしまったし、人間の技術的進歩を司るファストスが心から悔やんだ「とある史実」には不意打ちで涙が出てしまった。どの時代どの場所でも物語の舞台にできるという本作の特性をこんなかたちで活かしてくれたことに感謝したい。
「どの時代どの場所でも」な件は序盤で早速うれしいサプライズだったのだけど、舞台がロンドンなこともあって『ポーの一族』をものすごく連想した。『鬼滅の刃』も読んでみたらめっちゃポーだったから抵抗なく好きになれちゃったのよね。とにかくポー的な物語に弱いわけ。スプライトはエドガーでもあるしアランでもあるなあ。不覚にも終盤の彼から生きる希望をもらいました。
最後に、クロエ・ジャオみについて。ありましたね、間違いなくあった。いや『ノマドランド』しか知らんのだけど、でも確実にあった。ドキュメンタリーのカメラ回っちゃうのもそうだし、エイジャックはきっとノマドたちといっぱい旅してきたのだろうね。そして何より広大な自然の風景ですよ。死ぬまでに行ってみたい場所、みたいなのが出てくるたびクロエ・ジャオだ……って思った。ラストの広大で真っ白な世紀末感もゾクゾクした(あのへんはナウシカとかエヴァとか日本からの影響も多分あるんだろう)。
ほんといいところ好きなところが多くて、最初のうちは「めっちゃ好きなSF!」「マブリーがラブリー!」なんてウヒョウヒョしていたのがだんだんそれどころじゃなくなってきて。なんかね、さっきはスプライトに救われたって書いたけど、セナにもすごい救われたんだよね。だって本編中かなり長いこと無意義なんだもん彼女。普通ああいうキャラクターってもっと精神的に強いはずなんだけど、それをあそこまでいかんともしがたく描いてくれたのは今のわたし的に嬉しかった。
そんなわけで『エターナルズ』すごいよかったっていう日記でした。クロエ・ジャオさんありがとう。映画館ありがとう。今だいぶ元気にこれを書けています。
(2021年186本目/劇場鑑賞)