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主に映画の感想文を書いています

2021年1月に読んだ本の備忘録

今年はよりライフログを入念に。ということで昨年は記録していなかった「本」の感想も簡単にまとめていこうと思います。

屋上で会いましょう(チョン・セラン 著/すんみ 訳)

フィフティ・ピープル』『保健室のアン・ウニョン先生』のチョン・セランさんの短編集。複数冊読んでいるのは今のところチョン・セランさんだけなので、間違いなくわたしに最もフィットする韓国文学の作家さん。と、いうところではこれまで読んだ2冊よりはフィット度が低めだった。8年分の作品をまとめているからというのもあるが、思った以上に作風の幅が広い方のようで、話によって合う合わないの差が大きい(合う作品は、ものすごく合う)。一着のレンタルドレスを着た44人の女性を描く短編「ウェディングドレス44」などは『フィフティ〜』に通じる要素がありとても好き。

ポン・ジュノ 韓国映画の怪物(下川正晴 著)

ポン・ジュノ 韓国映画の怪物

ポン・ジュノ 韓国映画の怪物

本屋で見かけるたび気にはなっていた、ざらざらした本(持ってみればわかる)。軽い内容の本かと思っていたら、じつはかなりディープな「ポン・ジュノ研究」の論考だった。前半こそ『パラサイト』の考察などライトなおもしろさの映画本なのだが、続く「ポン・ジュノ一家100年史」「CJ副会長イ・ミギョンについて」などはだいぶコアな話であり、ポン・ジュノ監督の半生記くらいのつもりで読み始めると戸惑う。とはいえ非常に興味深い話ばかりで、とてもおもしろく読んだ。

KING OF STAGE 〜ライムスターのライブ哲学〜(ライムスター/高橋芳朗

ヒップホップグループRHYMESTER(ライムスター)の結成30周年を記念して出版された、初のアーティスト本。特別ライムスターのファンというわけでもないのだが、チームで何かを作り上げている人にはきっと普遍的な役立ちがあるはず、と宇多丸さんが自薦していたので購入(一応わたしは吹奏楽団の運営に15年以上携わっている)。確かにこれはファンブックの類ではなく、グループとして活動を長く続けるためのノウハウ本だった。3人のDJが「DJってわかってもらえてないよね」と傷を舐め合う鼎談もおもしろい。

別冊映画秘宝 決定版 韓国映画究極ガイド

韓国映画の世界にのめり込んだタイミングで素晴らしいムックが出てくれた。「アトロク」でおなじみ宇垣美里さんがマ・ドンソク愛を熱弁する巻頭カラー「ラブリーマブリートーク」は、アトロクリスナーなら脳内再生余裕のオタク的饒舌さで楽しい。写真付きの韓国映画人名鑑もわたしのようなビギナーにはお役立ちだし、今後もっと興味深く読めるであろうディープな記事も多数。ありがとう映画秘宝、と言いたいところだが編集長の事件は非常に残念。

なお韓国映画に関してはユリイカの特集号が噛んでも噛んでも味のするバイブルで、わたしは一体いつまで読み返すのだろうというくらい折に触れ開いている。


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