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主に映画の感想文を書いています

ビューティー・インサイド(2015)

マイスイート坂本真綾さんが、FC会報にて自ら吹き替えた中からオススメの映画として紹介していた一本。韓国映画です。旅行中にTSUTAYA DISCASから届いていて、そろそろ延滞になってしまうので鑑賞。まだ脳内がニューヨークに満ちていてあんまり乗り気でないまま観ましたが、これは観てよかった。

あらすじ

寝て起きるたび年齢も性別も別人の外見になってしまうという謎の症状を持つ男ウジン。そんな彼を受け入れてくれるのは母と親友ひとりだけ。閉鎖的な生活を10年以上続けてきたウジンだったが、イスという女性に恋をしてしまう。

考えうる限りの「イケメン」なビジュアルで目覚めたある日、ウジンはイスのもとへ想いを伝えに行く。

ぶっ飛び設定で本質的なところを描く映画

あらすじは導入部分まで。現実離れした設定のラブコメかな、的な感じで始まる本作ですが、次第にとてもそう一言では言い表せない映画になっていきます。

もうちょっとあらすじを書き進めるなら…

- 意中のイスを口説き落とし、「寝なければ外見は変わらない!」と徹夜してデートを重ねるイケメンのウジン。当然そんな手が何日も続くはずはなく…。ある朝、待ち合わせ場所でウジンを待つイスを遠くから哀しげに見つめる薄毛の中年男性、それが今のウジンだ。 -

とまあそんな感じで一旦ラブストーリーは振り出しに戻るものの、「とはいえ」で結局ふたりは再会し、深い関係へ。そこからが、設定こそ現実離れしているのにとても現実的な展開で驚かされます。

以前観た、同じく韓国映画の「スノーピアサー」。同じ役者さんが出てるんだね〜なんて話になって思い出したのですが、ジャンルは違えど「さりげないぶっ飛び設定で人間の本質的なところを描く映画」という意味では共通してるかも。

この「ビューティーインサイド」はそのタイトルにもあるように、つまりそういうお話。たとえば何らかの障壁があって恋愛をしないようにしている人、人と深く関わらないようにしている人、多分たくさんいるはず。そんな思いを抱えている人にも強く響く映画じゃないかなと思います。

ハン・ヒョジュさんかわええ〜〜〜〜

ヒロインのイスを演じるハン・ヒョジュさん、観終わる頃には完全に惚れてます。なんて魅力的なの…。画像検索したらべらぼう可愛い画像しか出てこなくて強すぎるね…。

やっぱりなんか、アジア系の顔でこういうラブストーリーを見せられるとダメです。洋画と比べて感情移入の度合いが違う。今回は坂本真綾さん目当てということで吹き替え版を観ましたが、韓国映画だと吹き替えも(顔と声の)違和感がなくて、むしろ余計に入り込めてしまう。見事に余韻がひどい。

また映像も綺麗なんです。監督さんはCMクリエイターの人らしく、言われて納得の質感。「家具」が物語の大きなキーアイテムとなってくることもあって(おまけにヒロインがイスさんっていうね)、人物だけではなく室内の撮り方とかもぜんぶ美しい。買いたくなっちゃう。ちょっと「韓国映画か〜」なんて思ってた後ろ向きな気持ちも、始まって早々その心地よい空気感の映像で吹き飛ぶことうけあいです。

ちなみにハリウッドリメイクが決定してるみたいで、なんとヒロインはエミリア・クラークで進んでいる模様。リメイクの云々は別として、それめっちゃ観てみたい。でもだいぶ前の情報だったので、キャスト変更になってる可能性はありますね。期待せず待ってみます。

123人のウジン

目覚めるたびに姿が変わるウジンを演じるのは123人もの俳優なんだとか。なお性別年齢まで変わるというトンデモ設定なので、その半分は女優さんです。男の役なのに。そしてそのうちのひとりは…これは観てからのお楽しみ。「この人をウジンだと思わなければいけないのか…」というイスの気持ちがよくわかるシーンになっていると思います。

日本人的にはその「一日」だけで済むけれど、おそらくこれ韓国の人(および韓国映画に詳しい人)にとっては次々に知ってる顔が出てくるってことですよね。それはそれでどういう感じなんだろ。

性別も年齢も何もかも定まらない主人公なのにちゃんと「ウジン」として認識し感情移入できる、なかなか不思議な映画体験です。

アマポーラ

記憶を呼び覚ます大事な曲として登場する「アマポーラ」。映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」においても第二のテーマ曲として登場するこの曲。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

ニューヨークと繋がったよ! なんてご都合な感動をしてしまったり。いい曲だし、こういう映画によく合いますね。

本作はラストでチェコへ舞台が変わるのですが、チェコ坂本真綾さんもひとり旅で行っていた場所。彼女に大いに影響されてニューヨークひとり旅をしてみた結果、これまでは「いい風景だなあ」だけで終わっていたものが、「いつかこの目で見てみたい風景の候補」として現実的なリストに入るようになりました。これは大きな変化。いつかヨーロッパへ行ける日が来るかしら。

そんな、話の広がりすぎる映画なのでした。

(2018年238本目)

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