PrimeVideoで配信されているHBO製作のドラマ『ウエストワールド』シーズン1を遅まきながら観ました。これがものすごく面白かった…! 「してやられた」感が非常に痛快でした。マジかよ、うわー、やべー、的な感想を書きたいので本記事はネタバレ全開となります。 また自分自身シーズン2以降のネタバレを踏みたくないため、書くにあたって何も調べ物をしておりません(笑) 情報の不正確な点もあると思いますが何卒ご容赦くださいませ。
ネタバレなしの作品概要
そう遠くない未来。物語の舞台は、古き良きアメリカ西部開拓時代に入り込めるテーマパーク「ウエストワールド」。ホストと呼ばれるパーク内のキャストたちはみな生身の人間そっくりに作られた超高精度のアンドロイドで、客はホストと肉体関係を持ったり、お望みなら殺すこともできる。ホストたちは基本、定められたシナリオ上をただループしているだけの日々。しかし一部の個体が徐々に自我を芽生えさせていく。
アンドロイドと自我のお話ということで、『攻殻機動隊』なんかがお好きな方は掴みからばっちりだと思います(なお劇中で「アンドロイド」とは表現されていなかったと思いますが、本記事中では便宜上アンドロイドで通します)。近未来テクノロジーと西部劇のマッチングが絶妙です。
2020年6月現在PrimeVideoにてシーズン1〜2は見放題、最新のシーズン3はPrimeVideo内スターチャンネルEXでの配信となっている模様。ご覧になる際はとにかくネタバレ完全遮断でよろしくお願いします!
それでは以下ネタバレ全開、シーズン1視聴済の方向けです。
ネタバレ全開雑感
まず何よりウエストワールドというテーマパークの世界観に魅了される序盤。身も蓋もないことを言えば全員生身の俳優なんですけど、「ここからここまでは高性能アンドロイドです」と言われればそう見えてしまう面白さ。広大な西部の風景も、全て作り物と言われてしまえばやはりそう見えてしまう面白さ。フィクションって面白いなあ、そんな当たり前のことをしみじみ楽しむ第一段階。
観ていくうちに第二段階、第三段階と新たな面白みが増していくのですが全部触れているときりがないので、ちょっともうここではシーズン1終盤の衝撃だけを書いていくことにします。
何がそんなに衝撃だったって、つまるところこのシーズン1がすごいのは「壮大なミスリード」なんですよね。だって、人工知能のアンドロイドが自我に目覚めていく物語だと思うじゃないですか。それと同時に「私たちの日々の生活にはシナリオがあって、何かもっと大きな存在からコントロールされているのではないか?」みたいな思考にまで及んでドキッとさせられるようなお話だと思うじゃないですか。
さらには、あの両極端な性格の男性客二人組を見ているとどうしたって白ハットの彼を応援する気持ちになってですよ、黒ハットの倫理観ダメダメくんにいつか痛い目見せてやりたい!と拳を握っちゃうし、ホストたちの反逆も応援しちゃうわけですよ。カタルシスを求めに求めてアガりまくるわけですよ。そこであの最終話ですよ。
もしかしたらわたし、これまで観た「どんでん返し」系で一番びっくらこいたかもしれません。白ハットの彼が黒ハットを被って、「……えっ?!」ですよ。うーーーーわーーーーってなりましたよ。
これつまりその、物語の展開自体に驚いているのはもちろん、しかしそれ以上に、反逆とか正義とかそういう湧き上がり系要素に気を取られてシーズン1の終わりまで「タイムラインが2つある」ことに全く気付かなかった自分に何より驚いているのですよね。
普通なら、推定何十年も離れているであろう2つのタイムラインが違和感なく混在できるはずはないのです。でも言われてみれば、それを可能にする要素がいくつもある……。まずパーク内の時代設定は西部開拓時代で止まっている。ホストの外見は変化しない。かつバーナード(現在)とアーノルド(過去)が全く同じビジュアルを持つことの判明により、これまで見ていた「彼のいるシーン」がどちらのタイムラインだったのか不明に。
「そういえば」という点では、例えば倫理観ダメダメくんはパークへの投資を検討していた。老後をパーク内で過ごす超古参ユーザーの黒ハット爺はパトロンであるらしいことが見えてきていた。唯一わかりやすく(とはいえわかりづらく)違いのあった「教会のある町」の「状況」etc...。
すっかり芽生えちゃったつもりのメイヴが自分の思考パターンをタブレットで見せられてお目目ぱちくりするシーン面白くて好きだったんですけど、わたし同じようなことをやられていたんですね。事態をおおかた把握していたつもりが、じつは製作側に全て見通され、仕組まれていたというわけ。めっちゃメタ的。
神視点でひっくり返されるようなチート級どんでん返しの展開ってあんまり好きじゃないんですが(MCUにおけるフューリー長官の無双っぷりとか)、今回の展開はかなり相性が良かったです。すっかり騙された、そこは盲点だった、と十分に認められるだけの情報が(あとから思えば)明確に出ていたからなのでしょう。潤沢に尺を取れるドラマシリーズは映画と比べてその点有利なのかもしれません。
なお「どんでん返し」と言うとやや語弊があって、アンドロイドの反乱がメインのストーリーなこと自体は間違いなさそうです、多分(懐疑的)。ただシーズン1に関しては当然のようにそこへ注目させておいての壮大なミスリード仕掛けということで、いやはや、してやられたなあと。ただただ「あっぱれ!」な気持ちでございます。最初でこれをやられてしまうと続くシーズンは正直この衝撃を超えられないのでは、とも思いますが、引き続き楽しませていただきます。
ということで以上、『ウエストワールド』シーズン1雑感でした。もう一度観直したらめちゃくちゃ面白そうだな……と思いつつ、とりあえずもう既にシーズン2突入しております。観終えて考察ブログさんなど読むのが楽しみです!