劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜(2019)
アニメ「響け!ユーフォニアム」シリーズの劇場版作品。テレビシリーズの総集編的な劇場版は過去2作公開されていますが、オリジナルの劇場版作品で「響け!」を冠したものは本作が初めてです。
というのは、一見無関係そうな作品「リズと青い鳥」が昨年公開されたから。「リズ」はスピンオフ的位置付けでありながら、「響け!」の本筋を知らなくても楽しめる独立した作品として作られていました。
複雑なことに、今回公開された「劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」は、この「リズ」と同じ時間軸を描いた作品です。となると「リズ」はスピンオフというより別アングルと言ったほうが適切かも。
「リズ」では三年生のふたりにスポットが当たっていましたが、今作は「響け!」本筋の主人公である黄前久美子をはじめとした二年生と、一年生の新入部員たちが物語の中心となります。
この新一年生がなかなかの曲者揃いで。特に今回クローズアップされるユーフォの久石奏は、可愛い顔して「下手な先輩は存在自体が罪」とか言っちゃうような大物。どこか歪んだ発言の数々には、教育係として声色明るめに接してきていた黄前ちゃんも思わず素の低体温ボイスを出してしまいます。
と思えば、ときには煽られて「黄前久美子のスポ根」が目覚めてしまうことも。だもんで、最後の最後で「ねえ、悔しい?」と煽り返したのはグッジョブ久美子!!って感じでしたね。
尺の都合上ほかの一年生はオマケ程度のエピソードに留まってましたが、曲者揃いなのは間違いなし。一通りの曲者たちを見せられて(うわあめんどくせえ)と思っていたところで黄前ちゃんが「あ〜〜〜〜 一年生めんどくさい〜〜〜〜」とぐんにょりしてくれるのすごいカタルシスあります。わかる〜〜〜。
劇場版だからといって何かスケールの大きいことが起きるなんてことはなく(せいぜいスポ根)、「リズ」のように手触りがちょっと違うということもなく、スクリーンに映されるのはテレビシリーズそのままの空気感。
これ映画館で見る必要ある?などと思ったりもしたものの、結局いつの間にか落涙しているのでした。それがユーフォなのよ。それが好きなのよ。マイスイート黄前久美子さんは今回もやっぱり最高。
30過ぎたおっさんが高校生のあれやこれやに感情移入して泣いてるとかキモいにも程があるというセルフご意見も真摯に受け止めます。ただ、大人な歳になったからこそ胸に刺さるあれやこれやがあるわけです。迷惑かけないんで泣かせてほしい。
ユーフォに心のデトックスを求めてる人はきっと満足できると思います。
響け!ウインドマシーン
映画「リズと青い鳥」に登場した同名の楽曲「リズと青い鳥」は、コンクールの自由曲なので当然本作にも登場します。「リズ」でどうだったか覚えてないんですが本作では最後にじっくりフルで聴けるコンクールシーンが用意されてます(のだめパターン、とわたしは呼んでいる)。
その中でスポットを浴びてしまう楽器、それがウインドマシーンです。
巻きつけられた布をこすることで風の音が表現できる特殊楽器で、意外とよく使われます(基本的に打楽器パートが担当)。近くで聞くと、風というよりは布の音がします。
そんなウインドマシーンですが、本作ではなんと搬入から演奏シーンを経て搬出までこれでもかというほどクローズアップされていて、恩義でもあるのだろうか…と思ってしまうレベル。こんなにウインドマシーンがフィーチャーされるアニメは後にも先にもないでしょう。
あともうひとつ細かいな〜!と思ったのは、フレクサトーン。
ちょわわわ〜ん、といういかにも効果音なサウンドを出す打楽器。劇中ではまず、これがステージでパーカッションテーブルに置いてあるのが見えます。ということは使うのよね?と期待して待っていると、ほどなくして一度だけ聞こえてくるフレクサトーン。ちなみにその時は映らない。ニクい!
ラチェットという歯車を回す楽器も登場しますね(こちらは演奏シーンが映る)。そんなところに目がいってしまう、現役吹奏楽人@打楽器パートの353さんでした。
シリーズ展開、この後はどうなるんでしょう。ポストクレジットで驚きの発表があったので三期がないはずはない、とは思うけれど。期待しております。
(2019年45本目/劇場鑑賞)
ちなみに、前の記事の「ジョーズ」からはしごしての鑑賞でした。立川で「ジョーズ」を観て、オリオン書房のカフェ「本棚珈琲」に入ったらなんとユーフォの原画展をやっていて。運命っぽかったのでそのままMOVIX昭島で観てきました。ありがとう本棚珈琲。