韓国ドラマ『愛の不時着』をご覧になった方であれば、第10話でいきなり「緑のスウェット男」がさも重要人物かのように登場したのを覚えていることでしょう。
そう、この人ですね。じつは「この人」、2013年に韓国で大ヒットした映画『シークレット・ミッション』の主人公なのだそうです。そしてなぜ『愛の不時着』にゲスト出演しているかというと、このキャラクターは「韓国で極秘潜伏任務中の北朝鮮スパイ」なのでした。なるほど、必然的出演!(ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、『愛の不時着』は南の人が北へ行ったり、北の人が南へ行ったりするお話です)
そんなわけで、不時着ロスを埋めるためにも早速観てみました。ポイントは、この人の「アホっぽい風貌」が全て演技だということ。真の姿は北朝鮮のエリート軍人、しかし極秘任務のためアホを演じて韓国庶民の暮らしに紛れ込んでいる。なので当然いずれ「アホじゃなくなる」ときが訪れて、それがカタルシスを生む。ってなタイプの映画でございます。演じているのを演じているキム・スヒョンさん、全く別物の顔に切り替わる様がすごいです。
ちなみに、まずこれは本作において彼が住み込みで働いている店。坂の途中にあることに注目してください。
そしてこちらは『愛の不時着』に出てくる、同じ場所をイメージしたと思われる店。分かりづらいですがやはり坂の途中にあります。
業種は違うようなのであくまでパラレルですけども、『シークレット・ミッション』の結末を知っていれば嬉しいパラレルとも言えるでしょう。
ところで感想はというと、いつになく睡魔に襲われておりました。韓国ならではの設定や、コメディからシリアスへの極端な振り幅、『愛の不時着』を通らずにこの映画から観たら驚かされることも多かったのだろうと思いますが、遡って観てしまうと単なる「短縮版」のように見えてしまう作品で、まあ仕方のないところですね……。エリート軍人たる彼の心を溶かす近隣住人たちとのエピソードをもっと濃く見てみたかったです。
とはいえ関連作として観ておく価値は十分にありましたし、『パラサイト』のお兄ちゃんチェ・ウシクさん、『梨泰院クラス』のセロイのお父さんソン・ヒョンジュさんなど知っている役者さんを見つけられたのも、にわか韓流ファン的には収穫でした。
(2020年182本目/PrimeVideo)