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韓国ドラマ「愛の不時着」前半1〜9話を観た|なんとなく気になってる方向けの見どころ紹介(ネタバレ控えめ)

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Netflixで配信されている韓国ドラマ『愛の不時着』を観ています。日本のNetflixでは長い間トップに君臨していましたし、なんとなく気になっている方も多いのではないでしょうか。わたしの場合、同じく韓国ドラマの『梨泰院クラス』にどハマりして、そこから順当に流れてきました。

本稿ではネタバレは控えめに、かつ核心に触れない程度で物語前半(全16話中1〜9話)の展開に軽く言及しながら見どころを紹介します。何も知りたくない!という方はお逃げください。

どんなお話?

韓国の財閥令嬢がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着してしまうところから始まります。なんやかんやあって北朝鮮の軍人が彼女をかくまってくれるのですが、当然の成り行きで愛が芽生えます。彼は彼女を無事に帰してあげたい、彼女も国には帰りたい、でも帰してしまったら、帰ってしまったらもう会えない。朝鮮半島を分断した38度線によって阻まれる、ロミオとジュリエットの物語です。

見どころ

めちゃめちゃコメディ

シリアスで重たいメロドラマを想像していたのですが、蓋を開けてみたらかなり明るいコメディでした。たとえば冒頭、「不時着」した令嬢セリを引っ捕らえるべき北朝鮮の軍人ジョンヒョクはいきなり地雷を踏んで身動きが取れなくなってしまうし、不法入国者たるセリは迷い込んだ村でどういうわけか上手くまわりを巻き込んで暮らしていってしまいます。『梨泰院クラス』が「月9」的だとすれば本作の日常系なほのぼの感は「朝ドラ」的と言えるかもしれません。

もちろんコメディ要素は多くのドラマに含まれるものですが、なかなかこんなに笑うこともないなというくらい声を上げて笑ってしまう本作のそれは特筆すべきポイントだと思います。重たい話を案じている方、少なくとも前半その心配は全くありません。

毎回スッキリできる展開

ロミオとジュリエットだなんて言うと、もどかしい物語だと思うかもしれません。しかしこれも特筆すべきところで、実際は非常にストレスフリーな展開を見せてくれます。これ、おそらく「視聴者だけが知っていること」が少ないのかなと。ドラマを観ながら「えっこんな事実が!」「これはあの人に伝わってほしい!」と思ったら、大抵その回のうちにそれは伝わってくれるのです。惜しげなくカタルシスの供給があるわけです。

後半の展開がどうなるのかは知らない状態でこの記事を書いていますが、1話平均80分×16話という長丁場なドラマの少なくとも前半をストレスなく観ていけるのはすごく助かります。

北朝鮮が好きになってしまう

ちょっと意外だったのが、北朝鮮メインで物語が進んでいくところです。あれもこれも楽しいこと温かいことはみんな北で起きていて、対する南(韓国)はほとんど嫌な面しか出てきません。勉強不足で詳しい情勢は知らないのですが、今の韓国でこんなに「北が好ましく見える」作品が作られたのってすごくないですか。

お上がどうであろうとその地で暮らす人々まで敵視する必要はないわけで、ドラマを通じて北朝鮮とその人々に好意を抱けるというのは平和を目指す意味でプラスにしかならないのではないでしょうか。とにかく単純にすごくいい作品だと思っています。

とはいえシリアスなメロドラマでもある

「一緒にいるだけで違法」というふたりの関係。「今生の別れ」がそう起き得ない今の時代においてそれが起きてしまう条件下。「統一したらね」という台詞の軽さと重み。『ビフォア』シリーズを思わせる刹那的な切なさ等々が胸に刺さる作品であるのも確かです。でも、重さと軽さのバランスがいいんです。基本的にはしこたま笑って観れる前半です。

……ええ、まあ知ってますよ。『梨泰院クラス』で知ってますよ。きっと韓国ドラマってこの先がエグいんでしょう? 既に観終わった方は生暖かい目を向けてらっしゃるのかもしれませんが、未見の方はとりあえずまず前半、しつこいようですけど表面上の仕立ては超ほのぼのラブコメもしくはホームコメディなので、ぜひお気軽にどうぞ! 後半のことはそのあと考えましょう、一緒に。

ちなみに今日は「パラシュートの日」らしいので、急いで書いて上げました。本作はパラグライダー事故から始まりますが、そこからして既に「オズかよ」っていうファンタジー調のおふざけになっておりますのでご安心ください。

追記:後日、無事完走。後半のネタバレ雑感も書きました。