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主に映画の感想文を書いています

2021年の作品

映画「街の上で(2021)」感想|よくできたコントのような下北沢青春群像劇

今泉力哉監督の最新作『街の上で』を観てきました。ざっくりいうと本作は下北沢を舞台にした群像劇。若葉竜也さん演じる主人公「荒川青(あお)」は、下北沢に住み下北沢で働く、つまり生活圏100%下北沢な男。そんな彼の、劇的ではないかもしれないけれどそれ…

映画「騙し絵の牙(2021)」感想|スピード展開が楽しい、超豪華オールスターキャスト映画。予告芸にも感服。

泣く子も黙る『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督作品です。ざっくり言うと出版業界の内幕を赤裸々に描いたコンゲーム的な物語。ネタバレ要素が多いので多くは語れませんが、とりあえず面白いです。次々繰り出される展開!展開!展開!のテンポ感が抜…

映画「ノマドランド(2021)」感想|ぼんやり老後を考える

アカデミー賞大本命と噂の『ノマドランド』を観てきました。 なんか地味そうな映画、くらいの印象しかないまま前情報なく観たのでまずはいきなり巨大なAmazonにびっくりするっていう。あれはブラックフライデーとかそういう時期の雇用なんでしょうかね。郵便…

映画「JUNK HEAD(2021)」感想|制作期間7年! 内装業の傍らコツコツ作られた日本製ストップモーション長編アニメ

シャケナツミソス! アップリンク吉祥寺にて映画『JUNK HEAD』を観てきました。じつに7年もの歳月をかけて制作されたストップモーション・アニメです。 監督の堀貴秀さんは内装業を生業とする傍ら、2009年末に完全独学で本作の制作を開始。2013年には30分尺…

斜に構えて「シンエヴァ」を観た。すごくよかった。【前半: 序破Qの復習/後半: ネタバレ雑感】

なんやかんや一応テレビシリーズから全部観てはいるんだけど、とはいえそんな熱心なファンじゃないしさ、と斜に構えていた『シンエヴァ』公開祭り。というより、ただのミーハーなノリで観に行くのは失礼かなみたいなところもあったんですが。 でもまあ、なん…

映画「あのこは貴族(2021)」感想|異なる階層に生きる女性ふたりが東京の空の下で巡り合う物語

山内マリコさんの同名小説を原作とした映画『あのこは貴族』を観ました。門脇麦さん演じる良家の箱入り娘と、水原希子さん演じる地方出身の女。同じ東京に暮らしながら異なる「階層」で生きるふたりが、高良健吾さん演じる良家の子息を介して知り合うことと…

映画「あの頃。(2021)」感想|ハロプロのことよく知らんけど人生はすばらしいってことで

一応90年代後半からのハロプロ全盛期ど真ん中を生きた世代ではあるものの、所謂ハロヲタでは全くありません。体育祭で黄色5を踊ったりはしたけれど、その前の年はおニャン子だったしだからなんだって話です。 そんなハロプロリテラシー極めてゼロな状態で観…

映画「すばらしき世界(2021)」感想|勤労したくなる映画

西川美和監督の最新作『すばらしき世界』を観てきました。出演は役所広司、仲野大賀、長澤まさみ、ほか。 人生の大半を刑務所で過ごした中年男が13年ぶりの社会にどうにかこうにか馴染もうとする物語で、佐木隆三さんのノンフィクション小説『身分帳』を原作…

映画「ファーストラヴ(2021)」感想|#MeToo運動に通じる要素も。丁寧な意外性が続く心理サスペンス

島本理生さんの同名小説を原作とした映画『ファーストラヴ』を劇場鑑賞しました。 これがすごくよくて。コロナ禍で海外の新作が減っていることから日本映画の新作を普段より多く観ているここ最近ですが、日本映画もちゃんと観ないといけないなと反省しました…

映画「哀愁しんでれら(2021)」感想|シンデレラストーリーからどう転落するか、そこが見ものなトラウマ級の問題作

土屋太鳳さん主演の映画『哀愁しんでれら』を観てきました。大体のお話は、公式が謳う「裏おとぎ話サスペンス」というワードで察せるところでしょう。とりあえず、なかなかブッ飛んだ問題作がいま映画館にかかっている!とだけは言っておきたい。

映画「花束みたいな恋をした(2021)」感想|「別れ話」までしっかり描いた恋愛物語

菅田将暉さん、有村架純さんW主演の映画『花束みたいな恋をした』を観てきました。ここから先ぐちゃぐちゃと書くので、先に結論。よかった。いい映画だった。いい恋だった。あなたに会えてよかった。「──これはきっと、私たちの物語。」わかる。わかる。おも…