斜に構えて「シンエヴァ」を観た。すごくよかった。【前半: 序破Qの復習/後半: ネタバレ雑感】
なんやかんや一応テレビシリーズから全部観てはいるんだけど、とはいえそんな熱心なファンじゃないしさ、と斜に構えていた『シンエヴァ』公開祭り。というより、ただのミーハーなノリで観に行くのは失礼かなみたいなところもあったんですが。
でもまあ、なんか気が変わったので行っちゃいました。リアルタイムに体験しておかないと後世から怒られそうじゃん。さらばわたしのつまらないこだわり。
つきましては、少なくとも新劇は復習しておかないとね、だって全然覚えてないもん。ってことで一気に序破Qマラソン。シンエヴァの感想へ入る前に、前3作の雑感を軽く書いておきます(飛ばしたい方はこちら)。
前述の通りわたくしエヴァに関しては「全部履修済みだけどハマれなかったんだよね〜」と天邪鬼にイキり続けてきた人間なのでそんな感じの態度で書いていることをお許しください。というのも、シンエヴァめっちゃ良かったから……。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序('07)
わたしはシンジと綾波が好きじゃないのだけど、序ってその二人しか出てこないのね。アスカは出てくるものと記憶違いしてた。まあそんなわけでミサトさんくらいしか見るものはない序。よく言われてる話だけど確かにミサトさんは金銭的余裕のある大人だわ。久々にエヴァというコンテンツを観て、ガンダム的ネットミームな名台詞の連発で楽しいなとか、訪日した外国の人が電柱や電線に興奮しちゃうのもわかるなとか、そんなことを思ったりした。使徒の無機的なデザインや音にもあらためて痺れる。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破('09)
マリ始まりからのアスカ!と好きなキャラクターが畳み掛けてきて俄然アガる(シンジのラッキースケベにはいちいち舌打ち)。学園モノの色も濃くなり、これなら好きだな、ずっとこの路線だったらいいのになと思うも記憶以上にショッキングな展開で言葉を失う。こんなだったっけ。こんなだったか。非常事態宣言やゼーレの会議、グリーンバックの部屋など2020年代を予見しているような要素も散見され、当時よりおもしろく観れた。当時よりといえば、エヴァを最初に観たのは10代の頃だったので14歳という設定に何も感じていなかったが、今見るとアスカとかただのロリで背徳感すら覚えたりもした。
「ぽかぽかする」のサウンドロップを友人が持ってたっけな。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q('12)
なんか難しかった記憶があるが今回は一気見だから分かるだろう、と思いきや何も分からなかった。お通夜みたいな映画だった。映画館で観なくてよかった。キャラ的にもシンジとカヲルという綾波以上に好きじゃないカップリングのブロマンスを延々見せられて苦痛。おまけに今回のシンジは以前にも増してうざい。アスカの罵倒とマリの平常心がせめてもの救い。Qの金ローは友人宅で観たのだけど、その晩ふんわり鏡月を飲みすぎて強烈な二日酔いとなり、翌朝に確保していた『攻殻機動隊ARISE』の舞台挨拶(坂本真綾登壇)を飛ばした。どうでもいい思い出話。
序破、と案外しっかり楽しめたのでこれは今度こそエバーの波に乗れるかもと期待してきたところでのQにシンエヴァへの期待値はぐんと下がり、マラソン終了。
(2021年47〜49本目/PrimeVideo)
それでは以下、『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』の感想に入ります。ネタバレへの配慮とか特別なにもしていませんのでご注意くださいませ。
シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇('21)
平日朝10時台の立川シネマシティ。Twitterでは膀胱の話しか流れてこないのでとりあえず膀胱のケアに注力して臨んだ。久しぶりの極爆。わたしの膀胱はサブウーファーの振動に耐えてくれるだろうか。
暗転間もなく「これまでのヱヴァンゲリヲン新劇場版」が始まる。なにせ序破Qは観たばかりなので当たり前のごとく記憶に新しいのだけど、「主よ、人の望みの喜びよ」に乗せて名シーン名台詞を畳み掛けられると不思議に感慨深い。早くも目頭が熱くなってきた。チョロい。
いざ本開演。マリの鼻歌と真っ赤なパリにくらくらさせられ、予想外の第3村にほくほくさせられ(だがシンジお前はうぜえ)(と思うもアスカがあまりにも糾弾しまくってくれるのでこちらの苛立ちはそのうち消えた)、いやしかしそのふわふわ浮いてるのは一体何なんだとやはりくらくらし、そうこうしているうちにすっかりのめり込んでしまう。やべえ、エヴァおもしれえ。
あとはもう信者のごとくスクリーンを見つめ続け、たぶん膀胱もスクリーンに夢中だったと思う。尿意まったく来なかったからね。
結論を言うと、すごかった。桁外れだった。好き嫌いを超越した領域に君臨している気がした。これがエヴァンゲリオンとかいう巨大コンテンツのフィナーレか。これをスルーするつもりだったのか。あんたバカか。
専門的(?)な感想は書けないので、箇条書きでいろいろと残りの雑感を書いていくことにする。
破Qでも感じてはいたけど、声優坂本真綾の振り幅に今回は特に驚かされた。歌手坂本真綾のファンなので声優仕事は全然追えておらず根拠に乏しいが、なかなかここまでブッ飛んだ役ってないのでは? エッフェル塔の先っぽ武器にした声優ほかにいる? なんていうか、坂本真綾がこれをアフレコしてる姿が思い浮かばない。
それにしてもイスカリオテのマリさん実質主役でしたね。嬉しいにゃ。あと、自己紹介まだだったんかい。もう終わりかけやぞ。
エヴァ世界の演出における鷺巣詩郎氏の貢献度、半端ねえなと改めて思う。あの独特の和声が聞こえてくるだけでエヴァになる。思えば『シン・ゴジラ』も総辞職ビームの劇伴で完全にやられたのだ(※なおシンゴジは4回も観にいった程度には大好きである)。
物語と音楽の密接度でいうと『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ(特に劇場版)の宮川メロディにも匹敵するのではないか。というか今回Q以上にヤマトでしたね。
明快な戦闘シーンから精神世界的なふわふわまで序破Q全部混ぜたような「なんでもあり」感が今回はすごく心地良かった。特に終盤のメタな箱庭展開は完全にツボで。んもう大好き、大大大好きなやつである。シンジがかつての“セット”を覗き込むシーンなどは『特撮博物館』じゃん!と超絶アガった。あの一連のくだり、サービスが過ぎる。
お涙頂戴なミサト艦長のヘアスタイル復活シーンとかも激エモ。さすがにちょっちは言わないか。ヘアスタイルといえば綾波・ロングヘア・レイも悪くなかった(むしろ好き)。第3村のアスカはフェチが過ぎてちょっと引いた。
前前前世の香りがするラストは、展開自体はなんか結局シンジうぜえってところに落ち着いてしまうのでアレなんだけども(拭えぬ私怨)、我ながら可笑しかったのが「実写!!!!すげえ!!!!」ってなっちゃったこと。あれだけ最高峰のアニメーションを見せられたあとに実景で興奮すんのかよ。
でもほんと、絵コンテが動く回想アニメとか、作画指定の「よろしくお願いします!」がフレームインしてきちゃうやつとか、歴代タイトルロゴが投影されるのとか、普通なら「なんじゃそら」なアバンギャルド演出がすんなり受け止められる無礼講の大団円感は強かったなあ。
いやあこれ、普通に全然もっかい観たいし、ここにきてエヴァ好きなのでは説浮上してるにゃ。初号機のプラモ飾ってる時点で自覚すべきなんだにゃ。
以上、大変お粗末ながらわたし的シンエヴァ雑感でございました。
(2021年51本目/劇場鑑賞)