映画「四畳半タイムマシンブルース(2022)」感想|面白くないわけがないんだ
映画『四畳半タイムマシンブルース』を観てきました。と言っても、いつぞや『マイ・ブロークン・マリコ(2022)』を観た日、ええと、10月9日に観たので、うっかり一ヶ月近く書きそびれていたわけですが。まずいまずい。
書くことがなかったわけじゃないんです、むしろその逆。すっごい面白かったし、そもそも『四畳半』への思い入れが強すぎて書くのが億劫になっちゃった、ってだけ。
一応最初から説明しておきますと、森見登美彦さんの『四畳半神話大系』という小説がありまして、それを湯浅政明監督でテレビアニメ化したものが2010年に放送されました。京大生の不毛な日々をシニカルかつマルチバースに描いた作品でございます。
わたしはどちらも非常に好きで、当時まだ一人旅などする勇気はなかったのですが、初めての一人旅の行き先に京都を選び、みっちりと『四畳半』聖地巡礼をしてきたり。他にも、まあ甘酸っぱい青春の記憶と直結していたり。声優・坂本真綾を認識した最初期の作品だったり(歌手・坂本真綾を好きになったのもその頃でした)。DVDは買い揃えてあったり。自室のドアにはいまだに「モチグマン」がぶら下がっていたり。
で、ま、そんなふうに書いていくと長くなるから億劫だったわけです。なのでまず、これが『四畳半神話大系』でした。
そして、小説版『四畳半』の刊行から15年後の2020年。森見登美彦さんが新作を出します。ずばり『四畳半タイムマシンブルース』。
これは何なのかといいますと、劇団ヨーロッパ企画の上田誠さんによる戯曲『サマータイムマシン・ブルース』を『四畳半』の世界観&キャラクターで「上演」した小説なんです。『サマータイムマシン・ブルース』は2005年に実写映画化(今見ると超豪華キャスト)もされていますね。
最近すっかり小説を読まなくなってしまったわたしは、こんなん出まっせ〜のニュースを見ても「へええ」と思う程度で読むに至らなかったのですが、なんと、12年前と、同じキャストで、アニメ化も、するという! それは、観る!!
そんなわけで、ようやく辿り着きました劇場用長編アニメーション作品『四畳半タイムマシンブルース』。厳密にはDisney+で6話に分けて配信されていたものを再編集して三週間限定の劇場公開、という順序だった模様。立川シネマシティ、めっちゃ急勾配のシネマツーdスタ(たしか『海獣の子供』をここで観たっけ)、ぎっちり埋まってました。みんな四畳半に12年前やられたクチなのかな、と思ったら嬉しくなった。
内容はですね、ほんとにまあその、もとの戯曲『サマータイムマシン・ブルース』を、舞台を「下鴨幽水荘」にしてわりとそのまんまなぞったお話なんですけど、あのね、そもそもの戯曲が面白いから面白くないわけがない!ですよ。あ、書き忘れてましたが『サマータイムマシン・ブルース』は「クーラーのリモコンを手に入れるべくタイムトラベルするお話」です。超ミニマムSF。間違いなく四畳半向きでしょう?
あとやっぱり、12年前と同じキャストで(明石さんはマイスイート坂本真綾さんで!)再集結してる不毛な面々が嬉しいですね。小津すら懐かしく愛おしく思えるってものよ。そんでもって最終的に結構な胸キュンへと辿り着くのもニクいのです。成就した恋ほど語るに値しないものはない、が、しかし好い。
細かいところでは、みんなが一瞬だけ「ほんわか」の顔になるのとか最高のファンサービスでした。四畳半といえば!なアジカンの主題歌「出町柳パラレルユニバース」もタイトルからして大勝利。
以上、ばーっと駆け抜けるかたちでの紹介とさほど内容のない感想でした。実写なら『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』、アニメなら『四畳半タイムマシンブルース』、今おすすめの時間系ミニマムSFたちです!(渋谷シネクイントではこの2本を併映してて粋だった!)
(2022年178本目/劇場鑑賞)
グラニフさんとお打ち合わせ。例のもの、再現度高い上にどなたでも着やすい仕様でかたちになりつつあります。来年のよきタイミングに。 pic.twitter.com/XCMdsoiTwm
— 中村佑介🎨Yusuke Nakamura (@kazekissa) October 28, 2022
(明石さんシャツワンピ計画、だと……??)