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映画「ドロステのはてで僕ら(2020)」感想|2分後の未来に振り回されるミニマムSF

12/1から配信開始になった映画『ドロステのはてで僕ら』を観ました。『サマータイムマシン・ブルース(2005)』などのヨーロッパ企画によるオリジナル映画作品です。


映画「ドロステのはてで僕ら」ポスター
映画「ドロステのはてで僕ら」ポスター


サマータイムマシン・ブルース』は「クーラーのリモコンを取り戻すべく昨日へ行く」という超ミニマムなタイムトラベルものでしたが、今作はもっともっとミニマムで、「2分後の未来が見えるテレビ」を手に入れてしまった人たちのお話です。

タイトルの「ドロステ」とは「ドロステ効果」のこと。と言いつつわたしこの名前知らなかったのですが、合わせ鏡的な、スケールダウンしながら無限に同じ像が反復されていく現象のことをこう呼ぶんだそうです。詳しくは劇中でも「由来の品」を使って説明がなされるのでそちらをどうぞ。

で、本作はまず次のような導入から始まります。

──2階のテレビに、1階にいる自分の姿が映っている。戸惑っていると、テレビの中の自分が事情を説明してくれる。いま君が見ているのは2分後の自分だと言う。いぶかしげに降りていくと、1階のテレビには2階にいる2分前の自分が映っている。不思議がる2分前の自分に、とりあえず事情を説明する。いま君が見ているのは2分後の自分であると──

しかしこれで見れるのはあくまで「2分後の未来」だけ。もちっと先まで知りたくない??ってことで主人公たちは「時間のドロステ効果」を編み出します。未来を知るとろくなことがないからやめようよ! せいぜい数分後だから大丈夫だって! さすがに地球が滅亡してたりはしないっしょ! ……さあどうなるでしょうか。

本作のいいところは「70分」という短尺で、そんなに風呂敷は広げないけど、でも想像以上のことは起こる、この塩梅が絶妙です。スケールは小さいながらも、確実に「未来に引っ張られている」状況が怖かった。たった数分後の未来でも人間はあれほど縛られてしまうんだ。そりゃ知らないほうがいいわ。

そして最終的な着地がほっこりラブロマンスなのもいいですね。王道の「タイムパラドックス×ラブストーリー」をあんなかたちでさらりとやる。忘れたくないもんなあ、わかる、ああなる、ああしたい。もう一展開あってもおかしくないところ、そこは「70分」の腹七分感がたいへん美味でした。

個人的にツボだったのは「パイステのたて」。パイステってなんぞやという方は、とある「盾」にご注目ください。あれPAISTEというメーカーの品なんです。結構お高いんですよ。貰えたらかなりラッキーです(ちなみにわたしはパイステを貰ったことがあります)。

(2021年206本目/Netflix, PrimeVideo)

ちなみに、2分差同時視聴なんてのもできるんですって! 早速NetflixとPrimeVideoで試してみましたが結構難しかった(笑)