VRゴーグルとの相性抜群なドラマ「アップロード ~デジタルなあの世へようこそ〜(PrimeVideoオリジナル)」
PrimeVideoオリジナルの海外ドラマ『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ〜』を観ました。舞台は近未来、人間が「従来の死」だけではなく「仮想現実の天国」を選べるようになった時代の物語。希望すれば自意識を全て「アップロード」してからこの世を去れるのです。
発想だけで十分に掴みのいい作品ですが、このドラマはそこからの膨らませ方が本当にすごい! 「VR死後の世界」が実現したらこんな感じなんじゃね??っていうアイデアの数々を全て具現化してみせたような映像世界にワクワクが止まりません。
若くして交通事故で命を落とした主人公は、当時交際していたセレブなお嬢様の独断で「アップロード」されます。初めての「VR死後の世界」に戸惑う彼を案内するのは、Siriやアレクサのように呼びかければアバターとして目の前に現れる「エンジェル」という専任コンシェルジュ。エンジェルたちの実体はアップロード運営会社に勤める生身の人間で、生前の交際相手に不満があった主人公はいつしか彼の「エンジェル」に心惹かれていき──。だいたいこんな感じのラブストーリーなのですが、彼の記憶が故意に一部消されているらしいこと、彼は私怨で殺された可能性があること等々きな臭い事態が次第に判明し、物語は意外な方向へ広がっていきます。
Apple社やFacebook社などがまだ存在している、そう遠くない近未来描写へのワクワク感。お金の代わりに時間が通貨として流通する近未来を描いた映画『TIME/タイム(2011)』などを彷彿とさせる、ユニークな発想のビジュアル化が生む面白さ(貧困層はギガがないのだ……)。「仮想現実は果たして非現実なのか」「何をもって人は生きていると言えるのか」といった、ライトなSF作品と思いきや意外なほど深みを増していくテーマ性。それでいて【一話30分前後×10話】という短さも嬉しいところです(しかも最終話が一番短い! かっこいい!)。
VRゴーグルで観ると楽しい!
VR世界へ飛び込んでいくお話なので、観始めてすぐに「もしやVRゴーグルで観たら楽しいやつでは」と思い試してみたところ、これが相性バツグンでした。使ったのは昨年末に買ったばかりのこちら「Oqulus Quest 2」。
劇中でも現実世界の人々はVRゴーグルをつけて「死後の世界」と交流します。近未来のはずなのになぜか一切進歩のないゴツいやつを使ってるんですけどそれがまたよくて、今まさに自分も全く同じようなモデルのゴーグルで観ている!というところからくる異様な没入感が味わえます(※作品自体は2Dであり、VR映像ではないです、念のため)。
「Oqulus Quest 2」、しばらく試してみて正直あまり映画鑑賞には向いていないと思っていたのですが、これはすごいです、めちゃくちゃベストマッチ。なお鑑賞時のポイントは吹き替えにすること。理由のひとつは、「Oqulus Quest 2」はレンズの歪みで視野内下部の文字が滲みがちなため字幕作品と相性がよくないから。もうひとつは、聴覚情報はダイレクトに耳から入ってきたほうが没入できるから。
また、VRゴーグルってこれ実際使ってみた方はわかると思うんですが自分でも時折「滑稽」に感じることがあります。バラエティなんか観てても、VRアトラクション体験者を客観視して楽しむ企画があったりしますよね。そんな「滑稽さ」もうまーく取り入れられている本作、笑えてしまうだけでなく、ああVR体験ってこれでいいんだ、どんなセレブが使ってもこんな滑稽に見えちゃうんだ、と妙に安心しちゃいました。なんていうか、自分のVR体験に自信が持てる!というか。
百聞は一見にしかず、VRゴーグルをお持ちの方はぜひ試してみてください! もちろん普通に観ても抜群に面白い作品です。が、ノリで買ってみるのもありですよ(ささやき)。
Oculus Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—64GB
- 発売日: 2020/10/13
- メディア: Video Game
いまのところシーズン1のみ。シーズン2の製作も決まっているようですが、未解決の余韻を残した作品として1シーズンだけで十分に楽しめます。