渋谷シアター・イメージフォーラムにて『分断の歴史 朝鮮半島100年の記憶』を観てきました。先日『バクラウ 地図から消された村(2019)』を観に行った際に予告を観て、これは!と思っていた作品です。
内容はタイトルそのままのドキュメンタリーで、監督は意外やフランスの方。もしかすると元はテレビ番組なんでしょうか、1時間尺のものを2本繋げた構成になっています。
公式サイトの解説文にずばり『愛の不時着』の名前が出てくることから、昨今の韓国ドラマブームによる関心の高まりが本作の配給に繋がっているのは間違いありません。個人的にも、朝鮮半島全体の近現代史にまで興味が向いたのはやはり『愛の不時着』を観て以降のことでした。
『愛の不時着』を観ていると持たざるを得ない「統一されるといいなあ」という気持ち。これは身近なものではありつつ、とはいえ「よその国のこと」と一線を引いているのも確かでした。
しかし本作が語るのはまず日本統治時代。のっけから他人事でなどいられません。そして最終的に着地するのも「統一には、日本含む諸国の協力が必要である」という結論。軽い気持ちで観ると、なかなかバツの悪い作品です。
本作の内容はおそらく近現代史をちゃんと学んでいる方にとっては目新しくないはずですが、わたしのような、『愛の不時着』で初めて関心を持った程度の人が最低限知るべきことを知るにはちょうどいい情報量だったと思います。朝鮮半島というのは本当に短い年月のなか激動の歴史を歩んできたんだなと改めて知ることができましたし、こう映像で見せられると思った以上に日本の関わりは深い……。
バツの悪さを抜きにして楽しんだ部分としては、ある種のオールスター映画とでも言いますか、北側なら金日成、金正日、金正恩、金正恩の妹。南側なら金大中や文在寅、はたまた朴正煕からの朴槿恵だったり。諸外国だとやはりブッシュやトランプの何してくれとんねん感とか。圧倒的豪華キャストが畳み掛けてくる感じは単純におもしろかったです。
あとは、テコンドーの型にそんな由来があったのかみたいなこととか、『愛の不時着』ファンであれば二度見してしまう北のリ・ジョンヒョクさんとか、軍服に勲章ぼってり付けた北のお偉いおばあちゃんのインタビューも味わい深かった。配信に入ってくれたらもう一度観直して復習したい作品です。
(2021年9本目/劇場鑑賞)