NY旅行記23本目。この記事の続きです。
さて、フリー行動の3日目、実質の最終日に入ります。この日は夕方まで予定なし! 行きたいところへ行き見たいものを見る最後のチャンスです。旅程メモには「悔いなく回る!(上から!)」と書いてありました。それでは、マンハッタンを上からひたすら駆け巡る353にお付き合いください。
ニューヨーク 曇りのち雨 1℃
2018年11月24日 土曜日。よく眠れた。今日は実質の最終日。早くもナーバスな気持ちが出てきている。帰りたくない。
氷点下続きだった昨日までと比べると今日はだいぶ暖かそうだが、雨予報なのが気がかり。夕方にトップ・オブ・ザ・ロックへ行くのでそこまではどうにか降らないでほしいところ。
今日もボルタレンローションの効きは上々。ただし、最終日なのでもう足は労わらない。壊す覚悟で歩き回るつもり。それから、今日ぐらいはお土産の類も買ってよいことにする。荷物が増えても大丈夫なようカメラバッグからリュックへ変更。
ルームメイキングのチップは毎朝2ドル置いている。そのおかげか、ベッドも部屋もピシッときれい。整った部屋と引き換えにチップが回収されているのを見ると気分がいい。旅行者の自己満足。今日もまた、ほんの気持ちを置いて部屋を出る。
ジャーヴィス・ペンドルトンのデスクより
旅の計画を立てているうちにGoogleMap上で増え続けた「行きたいところ」マーク。昨日まではこの1割程度しか行けていなかったが、今日は残りの9割をひたすら潰していく。
まず最初に行くのは、マップ左上、ハドソン川沿いのあたり。目的地の名称は「ジャーヴィス・ペンドルトンのデスク」である。
「あしながおじさん」を原作とした「ダディ・ロング・レッグズ 〜足ながおじさんより〜」という舞台がある。「レ・ミゼラブル」なども手掛けたジョン・ケアードが演出しており、日本では坂本真綾&井上芳雄のW主演で長期にわたり繰り返し上演されてきた。オフ・ブロードウェイでも上演されていた時期がある。で、まあ簡単にいうとわたしはこの作品の大ファンだ。
劇中にはマンハッタンも登場するのだが、なかでも具体的な住所を読み上げるシーンが印象に残っていた。幸い本作はDVD化されているため、その箇所から住所を聞き取ってGoogleMapに入れてみた。すると、いとも簡単にピンが立った。そして奇しくもそれは泊まるホテルのすぐ近くであった。というわけで本日最初の目的地、「ジャーヴィス・ペンドルトンのデスク(のある家)」へ。
ジャーヴス・ペンドルトンとは素性を隠した「あしながおじさん」の本名であり、彼がずっと陰ながら支援してきた少女ジルーシャを自宅へ呼ぼうとするとき、ここの住所を手紙に書く。そんな実在するような住所を使うことがあるのだろうかと疑わしく思いつつも、住所的には確実にこの白い家がそれである。
門の前まで行くと、物々しく大量の張り紙がしてあった。明らかにワケあり感の漂う物件だ。よりによってこんなヤバそうな物件を…、とこの時は早々に立ち去った。しかし後日調べていると意外な発見があった。
この建物は「Schinasi Mansion」といい、なんとWikipediaに単独の頁があるような(Schinasi Mansion - Wikipedia)つまりは歴史的に貴重な建築物らしいのだ。1907年に建てられ、なんでもあのカーネギーホールと同じ人の設計だとか。こっちでの「マンション」はこういう邸宅のことを言うのね。
ジャーヴィス・ペンドルトンは大富豪の設定ゆえ、マンハッタンで実際に大富豪が暮らした歴史的住居をその住まいとして設定したのかもしれない。この設定が日本語版だけのものなのか、海外上演時にもあったのか、むしろ原作にも登場するのか、そのあたりはまだ調べていないが興味深い事案であった。
個人的な気持ちとしては「ジャーヴィスんちのめっちゃ近くにホテル取ってたのウケる」に尽きる。
この家はハドソン川沿いにある。その目で見ると「なるほど確かに飛行機が降りれる」と納得する幅広さのハドソン川(参考:映画「ハドソン川の奇跡」感想記事)。川沿いの遊歩道が素敵な雰囲気だったので少し歩いた。犬の散歩、朝ラン、セントラルパークと同じような日常が見れた。
今日はとにかく街歩きの日。なんてことない風景をたくさん撮りたい。信号機も、外階段も、日本より一回り大きいトラックも、どれも好きだ。長いブーム状のポールから釣り下がった縦型の信号機、これってじつは固定されておらず、風でゆらゆらする。ストリートビューが教えてくれなかった情報。
一気に南下したかったので"Cathedral Parkway - 110th Street Station"から1ラインに乗って"72nd Street Station"まで移動する。
可愛い駅 - 72nd Street Station
次なる目的地はこの駅舎そのもの。Kawaiiを地でいくStationだ。
調べてみたところ、上が2002年に作られた新駅舎で、下が1904年開業の旧駅舎。まるでディズニーシーにありそうな建物だけど歴史あるホンモノなんだぜ…と思っていたのはなんならディズニーシーとほぼ同い年の新駅舎だった。気をつけないと、歴史ある街はたまに騙してくる。とはいえ、両方まとめてアメリカ合衆国国家歴史登録財というものに指定されているそうなので新駅舎くんも将来が保証されているかたちだ。
フレッド・アステア ダンススタジオ
今回、敬愛するフレッド・アステアゆかりの地を訪れてみたかった。映画の世界へ入るまではブロードウェイで活躍していたアステア、きっとなんらかの聖地があるだろうと思っていたのだ。しかし、意外なほどそういった場所は見つけられなかった。あるときThanksgivingパレードのサイトを見ていると、突然アステアの名前が目に入り驚いた。
そういえばダンススクールを持っていたのだった、と調べたところマンハッタン内だけでいくつもあったので、ちょうど「可愛い駅」に近いスクールを選んで行ってみることにした。
あまりにも殺風景で笑ってしまう。近寄れなかったのではなく、近寄ってもこれといって撮るものがなかったのだ。なるほど、新堀ギターくらいのものと理解しておいてよろしいか、と思った。せめてもの付加価値としてデジタルサイネージのダニエル・クレイグを一緒に写しておいた。
だが、日本において「フレッド・アステア」の字面をこのフォントサイズで見ることは無いと言っていい。それだけでわたしは嬉しい。
少し歩くとメイシーズの真っ赤なトラックが止まっていた。じつのところ、パレードではアステア門下生たちを見逃してしまった。見逃したというか、パフォーマーが多すぎて区別がつかなかったのだと思うが、少し悔しい。
ニューヨークの歩道で非常によく見かける、この無骨な屋根。あまりに多いので雪除けとかそういったものだろうかと思っていたのだけど、一応どれも工事中の建物で、落下物事故を防止するための仮設屋根ということらしい。築100年はザラな街だけに、あちらこちらで改修工事がおこなわれているのだ。歴史ある街の景観を保つのは難しい。
多くの交差点に設置されている雪の結晶の電飾はこの時期限定なのだろうか。五番街のほうではもっとゴージャスなやつがあるらしい。ニューヨークの街全体が醸し出すホリデームードについては、夜にまたこれでもかと体験させられることになる。
このまま歩いていくとセントラルパークへ突き当たる。次回、セントラルパークを横断してマンハッタンの東側へ。
旅メモ: この記事での行動範囲
3日目は最後にまとめると大変なことになるので少しずつまとめていきます。以下のルートがこの記事での行動範囲です。