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Netflix映画「聖なる証(2022)」感想|かっこいい映画だな!

Netflixで公開されている映画『聖なる証』を観ました。


映画「聖なる証(原題:The Wonder)」ポスター
映画「聖なる証(原題:The Wonder)」ポスター


こちら、先日書いた『画家と泥棒(2020)』と同じく映画ライターの村山章さんがTBSラジオアフター6ジャンクション」にて紹介していた作品です(6:50〜)。


舞台は19世紀半ばのアイルランド。ある村に、ずっと断食状態で生き続け、もてはやされている「奇跡の少女」がいる、と。おいおいインチキなんじゃないのー、ってことでフローレンス・ピュー演じる看護師が観察要員として派遣されるのですが、どうも本当に何も食べてないっぽくて……。ざっくり、そんなお話です。

フローレンス・ピュー主演というだけでも惹かれるものはあるのですけど、さらに惹かれたのが、村山さんの紹介に出てくる「映画の撮影セットから始まる」というメタ構造。普通に現代から始まるんです。倉庫みたいな大きなスタジオが映って、カメラがパンしていくと古い船内のセットがフレームインしてくる。で、そこに19世紀のフローレンス・ピューがいる。カメラが固定され、何事もなかったかのように、物語が始まる——。

これ、ぞわっとします。スタジオからの流れを見ているのに、精巧な木造船室のセットでアングルが固定されてしまうと、もう頭が「19世紀」と信じて疑わなくなる。映画すげーーー、ってなります。

そして肝心の物語ですが、ぼーっと見てると、映画館じゃないのもあって眠くなってきちゃうような、いまひとつ展開しなさそうな映画です。掴みがいいだけに、落とし所がわからない。ただ、終盤、いきなり加速します。というかぼんやりしたわたしの場合、気付かないうちに加速してて、最後の最後で「ああ!!」ってなりました。

後から思い返せば非常に納得度の高い、19世紀を舞台にした現在進行形の物語。トータルの印象としては「かっこいい映画だな!」です。最後の最後の最後まで痺れますので、ぜひぜひご覧くださいませ。

(2022年225本目/Netflix 木製の十字架が立ち並ぶ墓場を背に、こちらに振り返るフローレンス・ピュー。 かっこいー。