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映画「東京ゴッドファーザーズ(2003)」感想|クリスマスの奇跡が「激突」してくる

今敏監督の作品を観たことがないと言ったら「面白いよ!」とおすすめされたアニメーション映画東京ゴッドファーザーズ。タイトルには覚えがありましたが、クリスマスの話だったんですね〜。ということで、せっかくですしイブの夜に鑑賞いたしました。


映画「東京ゴッドファーザーズ」ポスター
映画「東京ゴッドファーザーズ」ポスター


舞台はクリスマスイブの東京。ゴミを漁っていたホームレス3人組が捨て子の赤ちゃんを拾ってしまうところから始まる物語。なんか普通にハートウォーミングな話なのかなあとのんびり観ていたら、どっこい次々と「激突」してくるサプライズがすごくて(笑) こんなにも予想外のことが絶え間なく降りかかってくるアニメって初めて観たかもしれません。

ハートウォーミングなのだけど、展開の作り方はむしろホラーかスリラーか、思わず「うえっ?!」と声が出てしまうような「クリスマスの奇跡」の連続。もうひたすら「奇跡」しか起きないのでどんなご都合展開でも興醒めしないし、かつ「はいここまで!」という絶妙すぎる幕引きもお見事でした。ホームレスやオカマといった、今の時代だとここまで大きくは打ち出せないであろう要素が醸し出すムードもこれはこれで素敵です。

クリスマスイブから大晦日までを描いておりますのでまだ間に合います(?)。なるほど納得の名作でした。ぜひどうぞ。

(2021年224本目/Netflix

スタッフの名前が街中の看板などになっているオープニングクレジット、すごく良かったです。脚本の信本敬子さんはつい先日亡くなられたばかりでしたね。背景美術の描き込みも素晴らしくて、裏路地に入り込んでいくシーンだったか、かなりぐりぐり動いていたのが印象的。2003年の作品にして、『海獣の子供(2019)』を連想させるほどの3D感がありました。