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主に映画の感想文を書いています

映画「電車を止めるな!(2020)」感想|千葉の鉄道会社が起死回生をかけて自主製作した珍作

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千葉の鉄道会社「銚子電気鉄道」が自主製作した映画『電車を止めるな! 〜のろいの6.4km〜』を観ました。経営難による鉄道存続の危機を脱するべくクラウドファンディングで500万集めて作った映画、ということなんですがちょっと既視感が強すぎて困ります。

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とりあえず映画公式サイトに載っている社長さんのお言葉を見ていくことにしましょう。

当社は今年7月に創業98年を迎えます。関東最東端の街で、通勤・通学、そして観光のお客様を乗せて走り続けてきました。

ふむ。

しかし近年はモータリゼーションの発展、沿線人口の減少による業績悪化に悩まされ、鉄道事業は年々厳しさを増しています。

なるほど。

こうした状況を改善すべく、ぬれ煎餅の製造販売、そして「経営状況がまずい」ので『まずい棒』、「経営がサバイバル」なので『鯖威張るカレー』を販売するなど食品メーカーとしてのプライドをかけて、なんでもありの生存戦略で鉄路を守ってまいりました。

業種変わっとる。ていうか「まずい棒」実在するんかい、と映画を観た人は思うはず。

どこまでがフィクションなのか余計に分からなくなってきたので、銚子電鉄の公式サイトも観てみることにします。

銚電マンシール。だめだ、映画以上に節操がない。

というわけで、わざわざ言うまでもありませんがタイトルからしてやりたい放題な自称「超C(銚子)級映画」の本作。その筋は「幽霊電車の生配信企画をやってみたらホンモノ出てきちゃった〜〜」っていうやつで、タイトルの最終候補には『憑いてるね、乗ってるね』も競ってたそうです(好き)。

でも案外これクオリティ低いわけではなくて、むしろVFXはそんじょそこらのニチアサよりしっかりしてるぞ??って感じだし、父と子の物語だったりメタ的な多層構造だったり細かいところまで律儀に元ネタをオマージュしているのもなかなかニクい。逆にもっと「超C級」な節操のなさに振り切ってもよかったのではと思うほどでした。

列車を舞台にしたシチュエーションスリラー(?)という面でもわりかし(予想していたよりは遥かに)出来がいいのですが、こちらの記事がその点すごく面白かったので引用させていただいて終わりにします。

舞台挨拶最後で主演のコウガシノブが「ヒットしたら次回はアニメで自滅の刃!」とまたまたダジャレを言っているが、本作はわずか6.4kmとはいえ、列車の中で起きるさまざまな怪奇現象が描かれており、それは空前の大ヒットとなっている『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が列車の中で起こる物語であることと重なっているのは偶然なのか、予め知っていてのパロディなのか。いずれにしても銚子電鉄の真骨頂と言える。「まずい棒」大ヒットでもはや食品会社と化した?銚子電鉄が倒産回避を賭けた映画『電車を止めるな!』東京舞台挨拶 – NB Press Online

銚子電鉄の真骨頂と言っておけばなんでもいい感じもいい。

(2021年67本目) せっかく映画を作ったのにコロナ禍であまり上映できる場所がない!ということで上映会場募集中だそうです。東京では田端のバリアフリー映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」さんにて5/1から上映されますひとつ前の記事で触れていますが最近こちらでお手伝いをさせていただいており、今回は上映に向けたチェック作業を兼ねての鑑賞でした)。その他上映会場(お寺とかもあるみたい)は公式サイトをご参照ください。