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韓国ドラマ「梨泰院クラス」9話〜最終話のネタバレ雑感&キャラ語り

Netflixで配信されている韓国ドラマ『梨泰院クラス』、一気に最終回まで駆け抜けました。この記事は結末までのネタバレありです! それどんなドラマ?っていう方は前回の記事(こちらは基本ネタバレなし)をお読みいただければと思います。

では早速ネタバレに突入。ポスター貼っておくのでその間に逃げてください。

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誰の部屋だよ

さあというわけで、終わってしまい興奮冷めやらぬ状態で書いております。前回の記事を書いたのは8話視聴後。全16話ですから中間地点ですし、続く9話でようやく「梨泰院クラス」というワードが初登場したので折り返し地点と言って間違いないでしょう。ただ実際の折り返し地点は10話でしょうかね。まさかのフライング土下座、そして「まだ…苦いよ…」。ここから仕切り直し、という感じがしました。

後半を少し振り返ってみると、まず心がざわつくのはイソの告白と玉砕。セロイにだんだん腹が立ってきます。投資がダメになったり、グンスがもののみごとに寝返ってしまったり、スアのパッとしない日々が続いたり、なかなかにストレルフルな展開です。でも「最強の居酒屋」決勝の圧倒的な多幸感でそんなものは一旦チャラに。ありゃあ、よかった。

しかし13話、輝かしい余韻をぶった切るようにいきなり4年が経ち、IC勢の変貌っぷりにショック。うわあ、なんか、よくある「シーズン2冒頭」的な受け入れがたさ〜〜〜。そんななかセロイの髪型だけは変わることなく、ついでにスアも全く変わることなく、ほっとしたのも束の間、この二人の関係はちょっと不確かになってきちゃったみたい……。スア推しとしては風向きがよくない。で、極め付けの14話ラスト! こ、こんなところで止めろというのか!!(日付が変わりそうでしたので寝ました)

ラスト2話を今晩観るぞ、という日は朝から憂鬱。こんな気持ちは『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章リアルタイム視聴時以来です。万が一、セロイが死に、残された人たちがそれぞれに信念を貫き通すラスト2話だとしても受け入れよう。スアが悲しい思いをし、イソが選ばれたとしても受け入れよう。そんなことを大真面目に考えながら日中過ごし、いざ視聴。うん、さすがに死ぬわけないよね! 実ってしまった恋ほどつまらないものはないね! ベタベタの甘々でおなかいっぱいだよ! ありがとうございましためちゃくちゃ楽しませてもらいました! そんな感じで無事完走です。

信念を貫く物語ではあったけども、変わっていくこともある。スア視点に重きを置いて観ていたので、個人的には切ないお話でした。だってさ、こちとらイソより2話分も付き合い長いんだよ。まあハンデもなんのその、絶対に勝ち取ってみせる! っていう物語でもあったわけだから仕方ないんですけどね。そんなウジウジしたわたしの視聴メモ(大学ノート3ページぶんを消費)、ラスト一行には「スアよ! セロイなど忘れて幸せになってくれ!!!」と書いてありました。

キャラ語りで感想発散

何かと溢れがちな感想をほどよく満足に出し切る方法、キャラ語り。各キャラクターごとのあれこれを箇条書きしていきます。

梨泰院トライアングル
  • パク・セロイ

    • 最終的に結構ムカついていたキャラ。まあ実際スアもイソもしょっちゅう「ムカつく……」って吐いてたし、いけ好かない奴とも散々呼ばれていたから、そういう男なのだろう。器でかすぎ、人間として出来過ぎ。腹立つ!!

    • セロイはイソを「女として見たことが全くない」と言っていたが、あれが本当だとしたら果たしてあの結末はあったのだろうか。押されると退いてしまうタイプの人間としては理解しがたい(この点に関してはいろいろと自分を重ねながら見てしまっていた)。

    • ちなみに今現在のわたしと同い年(34)。そう考えるとすげーなあいつ。

    • 追記:このドラマはコミックが原作になっているが、その日本ローカライズ版『六本木クラス』では人物名も変わっており、なんとセロイはわたしの本名と同じだったので驚いた。因縁を感じる。

  • スア

    • 彼女をどう思うかでこの作品の見方はかなり変わってくると思う。わたしの場合はどストライク好みだったので何が何でもスアセロイの結末を願っていたが、ああいう王道美人が苦手な人も一定数いるだろうし(演技もイソのダミさんに比べると一本調子ではあるし)、はなからイソセロイを望む視聴者の場合はこの三角関係も含めてスカッとする展開だったのかもしれない。

    • スアは確かにイソと比べて何もせず傍観しているだけの人間だったかもしれないが、元はと言えばセロイから強引にアタックして、散々情熱的な言葉をかけてきて、そんであの無下な切り捨てはないよと思ってしまう。物語上もどんどんモブに成り下がってきてしまうのが切ない。もっとバチバチさせたまま終わってほしかった。

    • なお最後のパク・ボゴムさんはわたし全然知らなかったので(この界隈スーパー疎いので)、調べてようやく納得の文脈であった。フラれたところに松潤登場!みたいなことね、なるほどね。なんにせよ幸せになってね。とにかく、クォン・ナラさん最高に好きでした。インスタフォローしました。次回作楽しみにしてます!

  • イソ

    • まず言えるのは、キム・ダミさんがすごいということだろう。そもそもは彼女のデビュー作である『The Witch/魔女』をきっかけにこのドラマを観ることになったわけだけど、まるで同じ人とは思えない。カメレオン女優とはこういう人のことを言うのだな。

    • 前半ではスアのビジュアルの変化が印象的だったが、後半はイソのビジュアルが少しずつ変化していく。序盤では「乙女」なんてカケラもないような感じなのだけど、耳を出すようになってから、特に玉砕してからのイソはむしろ勢いづいて「恋する乙女」と化していくのが面白い。4年が経過し、スアのような黒髪ロングになってからはさらに顕著。株主たちと会いまくるシーンの七変化も楽しい。

    • そんなわけで、熱烈スア推しだったわたしも終盤だんだんイソを「女として見るように」なっていった。拉致されたあとのスッピン寝巻き状態がピークである。あれがいちばん可愛い(っていうのもキム・ダミさんの底力を伺える)。エピローグパート、また通常メイクに戻ってしまったイソと腑抜けなセロイを見て、実ってしまった恋ってつまんねえなあ〜〜と鼻ホジな気持ちになったのであった。絶対続かない! 絶対続かないよあの二人!!(捨てゼリフ)

長家の人々
  • チャン会長

    • この人は非常に深みのある悪役だった。普通なら声を荒げそうなところでも常に冷静沈着。決して雑魚ではない、畏怖の念をも抱かせる佇まい。どこまでも極悪なのに、なぜか人情を錯覚してしまう表情。最後の土下座で思わず「かわいそう」と感じてしまう圧倒的な人間力。セロイが「価値観こそ違えどリスペクト」していたのも納得。この人がいたからこの作品は締まった。

  • グンウォン

    • 対する、圧倒的な雑魚。一目見た瞬間『ゲーム・オブ・スローンズ』のジョフリーを連想した人は一定数いると思う(実際、やったことを考えてもきわめてジョフリーなポジションである)。よくぞここまで雑魚な御曹司を演じてくださった。アン・ボヒョンさんの今後のキャリアに幸あれ。

    • とはいえ深みもある。一度は自責の念に駆られた事故直後、そして衝撃的な「鶏の首」のシーン。父親に売られ、獄中で黒髪になっているシーン。その他諸々、目の奥に後悔や躊躇、複雑な思いを見せてくれるキャラクターだった。

  • グンス

    • まさかこの純朴なおぼっちゃんがあんなことになるとは思うまい。劇中いちばん驚いた展開かもしれない。周囲が「会長によく似ていらっしゃる……」としか言えなくなってしまうあの体温の低さにはゾッとさせられた。ファンがアンチに変わる瞬間に似ている。

    • イソとの関係性もよかった。矢印が全て違う方向を指している本作の相関図において、ひときわ相手にされていなかったんじゃないか(グンウォン→スアには負けるけど)と思いつつ、ラストのハグがえがったのう、って感じ。みんな優しいよね。

IC創立メンバー
  • スングォン

    • ヤクザ上がりのおバカキャラ、とてもいいポジションだった。そのぶん、終盤で再び極道ルックに戻ったときの格好良さは衝撃的。なんだイケメンじゃん!!

    • あのヤクザの親分、セロイとの間に何か仁義を……と期待していたのだがそういうわけではなさそうでやや残念だった。常に予想を裏切ってくるドラマだから仕方ないな。

  • ヒョニ

    • 序盤では薄かった存在感が次第にどんどん大きくなっていったキャラクター。屈辱の給料倍額期間(矛盾)を経てイソとの間に信頼関係を築いているのも微笑ましい。4年後にいきなり宇宙人みたいなルックスになっていて仰天したが、あれは韓国だとイケてるのだろうか……。髪型やメイクに関しては韓国、かなり独特なものがあると思う(その点すごく王道美人なスアに惹かれてしまうのはやむを得ないとも言える)。

    • ヒョニがトランスジェンダーであるということが物語の展開上も大きな動きを作っていくが、韓国ではそんなにトランスジェンダーへの風当たりが強いのかと驚いた。むしろ男性など中性的なメイクをしているイメージがあるし、意外だった。その他にもいろいろと文化?の違いを知れて興味深い(特に、飲酒の年齢制限の厳しさや、飲酒が誕生日ではなく元日に解禁されることなど)。

  • トニー

    • どう見てもアフリカ系アメリカ人な韓国人、というシビアな役柄を好演していてとてもよかった。彼と投資家のおばあちゃんの関係は初対面のシーンからしっかりなんとなく「何かあるかも」と予感できるように作ってあり、細かい。

その他、セロイ周りの人物
  • ホジン

    • こいつは何かしてくれるな(オープニングで顔でかいし)、と予感してはいたが思った以上の働きをしてくれていた。まだまだ序盤の頃にミョンジョン女史が脈絡なく「有能なファンドマネージャーを見つけた」と発言していたりと、再登場するだいぶ前からしっかり脚本上では暗躍している描写が見事である。

    • 横断歩道でグンウォンとすれ違い、忘れられていたシーンが辛かった。モチベーションを失ってしまうことにならないかと心配したが立ち直ってくれてよかった。

  • ミョンジョン女史

    • 呼び方がいまいち定まらないキャラクターなのでこう呼ばせてもらう。彼女は結局戦線離脱して後方支援にまわるわけだが、あれほどのキャリアウーマンだというのに素朴な幸せへ自然と導かれていくのがなんとも意外で、好きである。

  • 刑事さん

    • ああいう司法の闇をちゃんと描くあたりがさすが韓国の作品という感じ。娘(かわいい)に格好良い背中を見せたい一心で自首を決意する様、ついでにそれをめちゃめちゃエモく後押しするミョンジョン女史、温かい涙ポイントである。みんな幸せにな〜〜れ。

  • セロイの父

    • 第一印象、光石研。生きて登場する時間は短いが、限られた時間のなかでものすごくいい父親を演じていらした。最終話までセロイのバックボーンとして揺るがず存在できるだけの説得力が十二分に感じられた。

余談:ゲーム・オブ・スローンズの世界に重ねてみる

グンウォンがジョフリーだよね、ってところから始まった妄想。ジョフリーが好意を抱くも全く相手にしてもらえないサンサはスア。とすればイソはアリアでいっか。その流れだとチャン会長はサーセイなのだけど、下克上の権化みたいなところでいうとデナーリスなのかもしれないと思っている。じゃあパク・セロイは? そりゃ当然、ジョン・スノウでしょう。いけ好かないし。フルネーム呼びしたくなる名前だし。

などと、一応『ゲーム・オブ・スローンズ』のネタバレは含まず書いてみました。結構重なると思いませんか。

さてさて、この梨泰院ロスを埋めてくれるのはなんでしょう。あのビッグタイトルでしょうか。韓国ドラマ週間はもうしばらく続く予感です。

あのビッグタイトル