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主に映画の感想文を書いています

ウディ・アレン最新作「レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019)」雑感

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ウディ・アレン監督の最新作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』を観ました。先日の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019)』に引き続き、映画館での新作映画が二作連続ティモシー・シャラメ、っていうね。シャラメ嫌いだったんじゃないんかワレ、っていうね(おかげさまで好きですよ、今は)。

あらすじ

学生記者をしている女子大生アシュレーエル・ファニングは、有名映画監督への取材権をゲットして舞い上がっていた。彼女が取材のため週末ニューヨークへ行くことを知った彼氏のギャツビーティモシー・シャラメは、デートを兼ねて同行することに。しかし当日、1時間で終わるはずの取材からアシュレーが帰ってこない。彼女の身に何が起こったのか分からないまま、ギャツビーは雨模様のニューヨークをひとりほっつき歩く。

雑感

タイトルからして『ミッドナイト・イン・パリ(2011)』みたいなロマンチック系を想像してしまいますが、この映画はおもっきしコメディです。マリリン・モンローばりに天然なエル・ファニングが彼氏とのニューヨーク旅行中にショウビズ界の大物たちの心をなぜか捉えまくっちゃうお話と、そんなわけで彼女に予定すっぽかされて単身ぶーたれてるティモシー・シャラメだけどお前なんやかんや充実の一日を過ごしてんじゃねーかっていうお話。

なんといってもやはりシャラメ側の充実度がね、シャラメぐらいになるとノープランでこれか!ってな気持ちになりますね。通りがかった撮影現場で幼馴染のセレーナ・ゴメスと遭遇、エキストラに採用されていきなりキスシーン。幼馴染の家は五番街だから立ち寄らせてもらう。って五番街?! 銀座のど真ん中に住んでる感じですよ。時間つぶしにMETで駄話。そりゃ、近所の美術館ですもんね。ジンジャーエールしか頼めない頃から通ってるバーでヤケ酒してたら金髪美女が現れて……。もういいじゃん、そのプランで!

まあただ全体的には、せっかくウディ・アレンがニューヨークで撮ったわりにはそこまで面白く感じなくて。たぶん「未来ある若者の話だから」な気がするんですけどね(加えて、後述の理由もある)。それにシャラメじゃ、いくらウディ・アレンのコスプレをさせても哀れな男には見えないよという。『ストーリー・オブ・マイライフ〜』同様シャラメを馬車に乗せてるのは高得点ですけど。なんだ、そういう契約でもあるのか。

避けられないウディ・アレンの話

作家性の強い監督が好きなので、ウディ・アレンも好きな監督の一人。もう10本以上は観ているはずです。過去のスキャンダルについては好きになった当時からエピソードとして知ってはいましたが、#MeToo運動などの高まりから再び今現在の問題となり、この作品は本国アメリカでは公開されていません。

数年前、いや一年前であれば「それはそれ」と思っていたはずですが、ここ最近やはり意識をアップデートされる機会が多く、自分のなかでの捉え方がだいぶ変わってきていることを実感しました。せっかくのウディ・アレン作品なのに、しかもじつはこれが初めてリアルタイムで観れる作品だったのに、あまり気が進まなかったのです。

今のウディ・アレンは(有罪判決が出ていない以上)法を飛び越えて社会的に殺されようとしている状態なはずなので、はっきりしたことがわかるまではフラットな立場でいたいと思ってはいます。とはいえ、主演俳優たちに「出演を後悔している」と言われちゃってるような映画をいちファンとしてどんな気持ちで観ればいいんだろうっていう感じはあるんですよね。過去の作品ならともかくリアルタイムで観れる作品に関しては、少なくとも「出演者から愛されている映画」を観たいじゃないですか。そんな意味で『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は素直に楽しむのが難しい作品でした。

(2020年103本目/劇場鑑賞)

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(字幕版)

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(字幕版)

  • 発売日: 2020/11/02
  • メディア: Prime Video

ファンとして現状を知りたい、という向きにはこちらの記事がとても受け入れやすいと思います。