先日『叫びとささやき(1973)』を観てから、あと何本かベルイマン観ておこうと思って(幸い尺は短めのものが多いので)隙間時間に観ていたのですが、どうにも寝てしまう…。こりゃ、向いてない。スクリーンで集中して向き合えばまた別なんでしょうけどね。そんなわけで2本まとめて軽い雑感です。
「仮面/ペルソナ(1966)」
タイトルは知っていた作品。多くの作品に影響を与えているようで、特にデヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ(1999)』が分かりやすそうです。例えば冒頭、ナニがサブリミナルしてくるところとかそのまんまだし、これは『ファイト・クラブ』のネタバレにもなってしまうから言えないけれど物語の構造とか。こういう、テイスト的にあんまり繋がってなさそうな作品の繋がりを見るのって好きなんですが(黒澤明とスターウォーズみたいな)、本作はなかなかどうにも、ふたりいる主人公のうちひとりが全く喋らないという時点で無理でした。喋れよ。
「魔術師(1958)」
珍しくコメディらしい、ということで観ました。…いやっ、そんなにコメディじゃねえな!笑 ベルイマン「にしては」コメディ、くらいの感じですね。分かりやすいホラー描写とかお色気シーンなんかもあって、ポップな出来ではあると思いますが。なお、こちらも主人公級の人物が全く喋らない映画。ベルイマン映画、喋れるのに喋らない主人公ばっかだな…。最近これ確信したことで、わたし寡黙なキャラが限りなく苦手みたいです。まあもとより綾波レイの魅力がさっぱりわからんアスカ派だし、駄話まみれのウディ・アレンやタランティーノ作品が好きだし、それなりにはっきりしてますね、好み。自分が吃音に一時期悩まされたので、思いを口に出せない(出さない)人に対して共感性羞恥的な苛立ちを感じてしまうところもあるのかも。
今思うと初めてのベルイマンが『叫びとささやき』だったのは大正解でした。あれは普通に楽しめる映画だし、後世への影響も多く見れてお得。地味で小難しい映画苦手、って人がベルイマンを一本観るならおすすめです。
あと何本か観たいタイトルはあるのですが配信されてないので、またいつか。とりあえず、50年代、60年代、70年代と一本ずつ観れたので良しとします。
(2020年59・61本目/ともにU-NEXT)