ポン・ジュノ監督の主要な8作品(長編+短編)を簡単に紹介
『パラサイト 半地下の家族』の大ヒットにより誰もが知るところとなったポン・ジュノ監督。この記事では、ポン・ジュノ監督の主要な8作品を公開順に軽く紹介していきます。
ほえる犬は噛まない(2000)
なかなか出世できない大学教員の主人公が、苛つくあまり近所のキャンキャンうるさい犬を監禁してしまうところから始まるシニカル団地コメディ。長編デビュー作ながら最も『パラサイト 半地下の家族』と通じる雰囲気を持った作品かもしれません。ヒロインを演じるぺ・ドゥナの能年玲奈っぽさも必見。→感想記事
殺人の追憶(2003)
韓国で実際に起きた未解決の連続殺人事件をベースにした作品。所謂シリアルキラーの猟奇殺人ものなので、デヴィッド・フィンチャー監督が手掛ける猟奇系サスペンス(特にドラマ『マインドハンター』)などが好きな方におすすめです。なおこの事件については昨年、時効ではあるものの犯人が特定されました。→感想記事
グエムル-漢江の怪物-(2006)
韓国では珍しいという怪獣映画。ざっくり「未曾有の怪獣災害によってウイルス等の報道に振り回されたりする人々の話」なので、このご時世にはタイムリーな作品と言えましょう。作曲家イ・ビョンウさんが手掛ける(鷺巣詩郎みのある)音楽がとても印象的で、そんなところも含めて思わず『シン・ゴジラ』を連想してしまう一本です。→感想記事
シェイキング東京 from TOKYO!(2008)
東京を舞台に3人の外国人監督が日本人俳優を起用して制作したオムニバス映画『TOKYO!』より。10年以上引き篭もっている香川照之が、宅配ピザ屋の蒼井優に一目惚れして外に出る、というだけの短編ですが、ポン・ジュノ監督のセンスが光りまくっています。この『TOKYO!』は残りの2作品も併せてかなりおすすめです。→感想記事
母なる証明(2009)
概要としては「我が子にかけられた冤罪を晴らすべく尽力する母親の物語」といったところですが、そこから想像するのとはだいぶ違う映画。重い題材に見えて、他作品同様シュールなコメディでもあります。母であることの証明、それは我が子を案じ、信じ、護り、ときに黙認すること。正真正銘、母の生き様を見よ。そんな一本です。→感想記事
スノーピアサー(2013)
地球が凍り、人類も絶滅した近未来。スノーピアサーと呼ばれる列車型の「方舟」にのみ“種の保存”として貧困層から富裕層までの人間が乗せられていたが、貧困層の人々は列車最後尾で奴隷のような扱いを受けており、ついにはクーデターを企てて前方車両への突撃を開始する─。あらすじに惹かれた映画です。凍ることに縁のあるクリス・エヴァンスが主演の、ポン・ジュノ監督ハリウッド進出作品。→感想記事
Okja/オクジャ(2017)
『スノーピアサー』から引き続いてのアメリカ資本作品かつ、所謂Netflix映画。とても愛くるしい「豚」を中心とした、それでいて社会派な一本です。『グエムル』同様CGによる架空の巨大生物が重要な役割を果たしますが、日本のCGに比べて非常にクオリティが高いなと感じます。
→感想記事
パラサイト 半地下の家族(2019)
というわけで、上記7作品を経ての『パラサイト』です。過去作の要素や空気感を存分に盛り込みつつ、新海誠監督における『君の名は。』のような圧倒的バランス感覚を持った集大成的作品になっている、と思います。と言うのも、過去作履修後まだ2回目の『パラサイト』を観ていないからなのですが。→感想記事
以上8作品、簡単にご紹介してきました。『パラサイト』を抜きにすると、個人的おすすめ度が高いのは『ほえる犬は噛まない』と『シェイキング東京』です。どちらも多分プッシュされないと優先順位が下のほうになってしまう作品じゃないかと思うのですが、むしろ逆にこの2作品が非常にポン・ジュノっぽい! という感想をわたしは持ちました。特に『パラサイト』から入った方はぜひ観てみてください。