昨日8月5日が命日だったということもあり、引き続きマリリン・モンロー関係の備忘録。前回の記事(下記リンク)で書ききれなかった本の話と、もう一本観た映画の話です。
まずはこちらの本から。
マリリン・モンローという生き方 劣等感を持つ女は美しい(山口路子 著/2012)
マリリン・モンローという生き方 劣等感を持つ女は美しい (新人物文庫)
- 作者: 山口路子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2012/09/07
- メディア: Kindle版
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マリリンに関する本は非常に沢山出ているようなのですが、真実を暴くというよりは彼女をより魅力的に思えるような内容のものが読みたかったので、これが良さそうだなと。Amazonの商品説明欄にある「序章」からの抜粋文を引用しておきます。
ひとりでも多くの人に伝えたい、届けたい。
ひとりの、真摯に生きた女性の人生を。
あんなにも美しく魅力的なのに、優越感とは無縁で、劣等感を抱き続けていた。
そんなマリリンが、劣等感のかたまりのマリリンが、どのような人生を送ったのか。どのように人生を切り開いたのか。どのように劣等感を克服し、すばらしい人間になろうとしていたのか。
ひとりの人間としての、ひとりの女としてのマリリン・モンローを、私は伝えたいと願う。
さくっと読み終えられるページ数で、内容も求めていたものでした。銀幕以外のマリリン・モンローを知る最初の一冊として、とても良かったです。
葬儀の際「虹の彼方に」が演奏されたのは初耳だったのですが、それを知ると「SMASH」1-1冒頭のシーンが早くも泣けてしまう…。そう、「SMASH」は「虹の彼方に」から始まるのです。キャサリン・マクフィーの十八番だからというメタ要素だけではなく、きっとそういう意味も込められてますよね。
RGBTのレインボーフラッグもこの曲が由来となっているそうですし、もはやアメリカの文化を語る上で「虹の彼方に」は絶対外せない一曲なのだなあ。
マリリン・モンロー 瞳の中の秘密(2012)
- 発売日: 2014/08/02
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現代の役者たちがマリリン・モンローほか当時の関係者たちに「憑依」するかたちで、「語り部」として回想を進めていく、ちょっと変わった手法のドキュメンタリーです。ちなみに「SMASH」劇中で一時マリリン役を演じたユマ・サーマンも本作の「マリリン」の一人。おもしろいですね(笑)
内容はやはり前述の書籍と同じような(原題が「LOVE, MARILYN」なのでコンセプト的にも同様と思われる)、マリリンの生涯を追いながら銀幕以外の姿を多く見せてくれるものになっており、近年見つかったという直筆のメモや手紙なども盛り込まれています(字が綺麗で驚いた)。
とてもいい内容です、ただ、例の「ちょっと変わった手法」をわざわざ使う必要はあったのだろうか…と。資料写真・映像をぼかしてまで語り部の役者たちを写す必要があったのか?と思わなくはありません。ドキュメントに斬新な手法は求めていないので、普通に作ってほしかったかな。
遺体が運び出されるシーンから始まる少々ショッキングな作品ではありますが、命日の夜、思いを馳せながら鑑賞するにはふさわしい一本でした。
(2019年74本目)
生涯かけて「マリリン・モンロー」を提供してきたひと
今回いろいろな記録から受けたマリリンの印象は「真面目なひと」。一生懸命、ぶれない、色々な言葉で形容できるけれどやはり「真面目」、なんなら「大真面目」がしっくりきます。
もちろん、彼女を語る上で外せない「遅刻・欠席癖」というのは個人的には目をつぶれない問題なんですが(笑) ただこれはまあ当事者じゃないのでそこに必要以上のマイナスな感情を抱くこともまた難しい。正当にマイナス評価したいんだけどな、あの笑顔の前じゃむずかしいな!
没後60年近く経った現在、マリリン・モンローと聞いて多くの人が思い浮かべるのはアンディー・ウォーホルの絵だったり、スカートがまくれ上がってるあのシーンだったり、要は派手なセックスシンボル的イメージだと思うのですけど、調べていくと実際のマリリンは素朴で純粋で真面目で、じゃああのイメージはというと彼女の卓越したセルフプロデュース力によって作り上げられた「マリリン・モンロー像」なのだということが分かってきます。
業界内でお騒がせだったのは間違いないのでしょうが、今でも「マリリン・モンロー」がセックスシンボルのイメージを保ち続けているのは、どんなに中身が壊れようともオーディエンスには常に「マリリン・モンロー」のガワを提供し続けてきたからなのでしょうね。そして深く知ろうとすると今度はギャップにとてつもない魅力を感じてしまう。どちらにせよ魅力的という無敵なひとです。
ひとつ不謹慎なことをいうと…、マリリンは「永遠の恋人」なんて言われ方もしますがあらためて確かにそうだなと。だって誰も老けたマリリンを知らないんですよ。晩年まで最高潮に可愛いんですよ。検索してもおばあちゃんのマリリン出てこないんですよ。
マリリンがもし今なお96歳で存命だったとしたら、もしかしたらここまでの存在にはなっていなかった可能性も。スターというのはそういうところまで含めてスターなんだよなと思ってしまったりもするのでした。